対立が深まる米中関係。新型コロナウイルス問題でサプライチェーンが寸断されたことで、米国企業の中国離れが進んでいるようだ。これは日本でも同様の傾向があるわけだが、中国メディアの騰訊網はこのほど、「米国のアップルがベトナムでの生産を加速させるようだ」と伝える記事を掲載した。日本もそれに続くのではないかとの懸念を示している。

 記事はまず、米アップル社がこれまでいかに中国市場を重視してきたかを紹介。中国進出してからの歴史は長く、アップル社は巨大な中国市場を重視し、中国市場もアップル社の製品を受け入れてきたと伝えた。中国のスマホ保有率は非常に高く、高性能のアイフォンも中国人に受けが良く、中国メーカーが台頭してくるまではアップル社は安定してシェアを獲得してきた。

 しかし記事は、同社が「ベトナムでの生産拡大」の方向性に舵を切ったようだと伝えている。「性能も見た目も良い」アップル製品はベトナム人に受けており、ベトナム市場に期待して進出、生産拠点も移すようだと伝えた。実際、アップル社ベトナムでの求人活動を強化しているとの報道があり、ベトナムに正式な拠点を置く可能性があるとの見方が広がっている。

 記事は、アップル社に続いて日本の企業の一部も中国からベトナムに生産拠点を移すのではないかとの懸念を示している。そして外国企業の中国撤退はある程度中国に影響を与えると認めつつも、「わが国の製造業を甘く見ない方が良い」と主張。中国にも非常に多くの企業があるため影響は多少あってもすぐに調整できると自信を見せた。

 記事は強気の見方をしているが、中国では新型コロナ問題で日本企業などの海外企業の撤退が増えるのではないかとの懸念が強いようだ。ベトナムは世界でもいち早く新型コロナ感染抑制を成功させた国であり、今年の経済成長率もコロナ感染下では考えられない5%という高水準を目指している。「中国からベトナムへの移転」が進み、中国撤退が加速すれば、中国にとってはやはり大打撃になるのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

米国企業や日本企業はベトナムに生産拠点を移すのか? 中国を甘く見るな=中国報道