「解散風」が吹くのは、政権支持率が安定して「余力」がある時が多い。だが、新型コロナウイルスの対策には批判が集まり、河井克行・案里夫妻の逮捕で自民党への逆風が強まるなかでも、与野党から、解散を意識する発言が増えてきた。

2021年になると、7月22日東京都議の任期、9月30日には安倍氏自民党総裁としての任期、10月21日には衆院議員の任期が満了。重要な政治日程が次々に控える中で、解散ができるタイミングはそれほど多くない、との見方だ。

その中でも、「お盆明けから9月にかけて」と、とりわけ早いタイミングでの解散を予想するのが、民進党代表などを歴任した岡田克也元外相だ。野党にとっては小選挙区での候補者一本化が不可欠で、岡田氏は「大きな固まり」に向けた動きを加速させるように求め、「今度の選挙はラストチャンス」などと危機感を示した。

「第2波」来る前に、都議選前後は避けたい

解散をめぐっては、安倍晋三首相は20年6月18日記者会見で、

新型コロナウイルス感染症対策に全力を尽くしている中にあって、頭の片隅にもないが、様々な課題に真正面から取り組んでいく中で、国民の信を問うべき時が来れば躊躇(ちゅうちょ)なく解散する、解散を断行する考えに変わりはない」

などと発言。その後も同様の発言を繰り返している。

一方、安倍氏の「盟友」として知られる自民党甘利明税制調査会長は6月18日に行われた時事通信インタビューで、

「秋にやった方がいいと言う人もいる。秋以降、経済対策と合わせて(解散)する可能性はゼロではない」

と言及するなど、与党内でも解散を意識する発言が出ている。

そんな中で、8~9月説を唱えるのが岡田氏だ。6月11月に国会内で語ったのに続いて、6月24日にも記者団に対して、

「お盆明けから9月にかけて、というのが、ひとつの大きな機会だと思う」

と話した。冬に向けて新型コロナウイルスの「第2波」が来れば選挙は困難になることと、都議選の前後3か月程度は他の選挙を避ける慣例を根拠に、

「解散できるタイミングとしてはお盆明けから寒くなるまでの間と、予算明けぐらい(編注:20年度の本予算は3月27日に成立した)の2つぐらいではないかと思っている」

などと説明した。

「ここでまた負けてしまうと、非常に再建が難しくなってしまう」

課題は野党間の候補者調整だ。立憲民主党国民民主党の合流協議は20年1月に打ち切られたが、岡田氏は両党の執行部に対して「大きな固まり」をつくって準備を急ぐように求めた。

「両党の執行部には、解散するタイミングもありうるということを真剣にとらえて、しっかりとした話し合いをしてもらいたい。執行部、特に両党のリーダーにとって、有為の人材を1人でも多く当選させるということが最大の責務。そのためにどうすればいいかということをしっかりと真剣に考えてもらいたい」

「過去20年ぐらい育ててきた人材が、あちこちで討ち死にしてしまうということは絶対避けたいし、そもそも政権交代可能な政治ということのためにも、今度の選挙はラストチャンスというか、ここでまた負けてしまうと、非常に再建が難しくなってしまうので、是非、間に合うタイミングで、しっかりとした固まりをつくってもらいたい」

上記の発言は、岡田氏の冒頭発言で出た内容だ。記者からの質問を受ける前の段階で、ここまで強い危機感を示すのは珍しい。さらに、記者から「ラストチャンス」の意味を問われると、野党統一会派が大きく勢力を減らし、戦力の多くが永田町を去ってしまう可能性を指摘した。

「そこで(野党統一会派に)120人いる衆院議員が、かなり減る。下手すれば60~80人ぐらいになると思っているが、そういうことになると、昔の民主党で築き上げてきたものがもう1回白紙に戻ると思う。ほとんどの人が表舞台から消えてしまうわけだし...。それから、そのくらい減るときには、他の野党が増えているということだから、野党はもう1回、(勢力図を)一から作り直すことになる。また10~15年は、かかりますよね」

野党が結集することは「私は結構なことだと思う」

ただし、両党の執行部からは、「大きな固まり」に向けた動きを加速させる動きは見えない。立憲の福山哲郎幹事長は6月23日記者会見で、

「もうあと1年ちょっとで衆議院の任期が来るということを考えれば、いつあってもおかしくない。ましてや、来年都議選があるということを考えると、解散の時期というのは一定(程度)限られてくる。そう考えれば、おのずと早い時期の解散もあり得ると考えざるを得ないので、それは党の幹事長としては、準備を早く進めていかなければならないと考える」

などとして選挙の準備を急ぐ考えを示したものの、野党共闘や「大きな固まり」論については

「準備を進めるにあたっては、どういう形での野党側が体制になって戦うかについても考えないといけない。できれば大きな固まりになって、野党が結集した形で戦うことが、私は結構なことだと思うが、それはいろんな各党の事情もあることだと思うし、そのことについて我が党としては努力をしていきたい。候補調整やその他候補者の擁立については、別に解散の時期がいつであっても、日頃からずっと継続的にやっていることなので、それは今も変わらずにやり続けていくということだと思う」

とするにとどめた。

国民の玉木雄一郎代表は6月24日記者会見で、合流協議について

「改めて今、幹事長レベルでも、様々な協議をしている。ただ、選挙があるから合流するということではなくて、そのためには大義が必要」

とした上で、国民側が協議にあたって求めてきた(1)衆参一体となって取り組む(2)対等な立場で交渉・協議していく(3)前提として参院で信頼醸成の努力をする、の3つの原則に改めて言及。「その中で話を進めていきたい」とした。

J-CASTニュース編集部 工藤博司)

「解散風」は吹き始めたのか(写真はイメージ)