ジャニーズ事務所を退所した元NEWS手越祐也の緊急記者会見。私が注目したのはここでした。

「手越、昭恵夫人と『定期的に会う会あった』花見否定」(ニッカスポーツ・コム6月23日

「昭恵さんは明るい方」

 自粛期間中の3月下旬に、安倍昭恵夫人と“花見”をしていたと報じられた件について、

「昭恵さんはプライベートでも良くしてくださっていて、ボランティアに興味がおありになる方で明るい方。僕も根っから明るい性格でお会いすることになって、自粛前からオフレコでボランティアに参加はしていた。定期的に会う会があった」

 超ポジティブな手越くんが昭恵夫人を「明るい方」と。

 さらに「世界が暗い現状を明るくしていけるかという話をずっとしていました。中身は健全というか、ビジョンについて話していました」。

世界平和の実現を考えています」

 ここまで聞いて、私はあれが花見かどうかより昭恵さんと手越くんが世界平和について考える会を定期的におこなっているほうが重要に思えてきた。

 現在『女帝 小池百合子』が話題のノンフィクション作家の石井妙子氏は3年前に安倍昭恵氏についてもルポを書いている。「自由奔放な振る舞いの源流を辿る 安倍昭恵『家庭内野党』の真実」(「文藝春秋2017年3月号)がそれだ。

 インタビューされた昭恵氏は日本をどうアピールしていくかを考えたい、日本の文化のすばらしさを日本人自身がよく知らないでいると述べたあとに、

「あとは世界平和の実現を考えています。いまだに紛争が続き、貧困もなくならない状況はどうしてなのか。やはり本質まで掘り下げて世の中の仕組みを変えていかなくてはと思う」

 やはり昭恵さんは世界平和を考えていた!

「私がみんなに元気を与えられる」という自負

 昭恵さんの著書『「私」を生きる』(海竜社2015年)を読んでみると、いろんな人に会い、全国を飛び回るのは「私がみんなに元気を与えられる」から、という自負を感じる。

 しかし、調べていくとそれは単なるポジティブさだけではないことが徐々にわかる。

 昭恵氏にインタビューした石井氏は、ファーストレディになった昭恵氏が日本とは何か、日本の国とは何かと考えるようになり、日本への思いを強くしていった気持ちはわからなくもないが、「『天皇、神社、大麻』にこだわる姿勢には危うさがにじむ。実際、昭恵の主張はともすると日本賛美に傾き、国粋主義的な面を見せる。日本は世界で称賛されている、日本人の精神性の高さが今後、世界をリードする、といった発言の数々」と書いている。

人は「選ばれて生まれてきたんだろうな」

 さらに昭恵氏はこんな発言をしている。

「主人が首相を辞めた2007年の秋頃から出雲大社を皮切りに、いろんなところに行きました。私は勝手に『神様から呼んで頂いて行った』と思っていて。岩手の神社もかなり回っていたんですが、翌年に地震があった。神様に呼ばれたんだと思っています」

 何を言っているのか。

 ジャーナリストの青木理氏は著書『安倍三代』(朝日新聞出版2017年)で、安倍晋三氏の父親や祖父らは政治家を目指してかなりの努力も尽くしていたのに、「晋三の周辺をいくら取材してもそんな様子は微塵も感じられない」と不思議に思った。なので「これはいったいなぜなのか」と昭恵氏に質問をしている。

 すると昭恵氏は「選ばれて生まれてきたんだろうなとも思う」「天命であるとしか言えない」「使命を与えられている」と答えているのだ。

 ……ザワザワする。

ポジティブ」ではなく、「スピ志向」と「思想」

 思うにこれは「ポジティブ」なのではない。日本スゴイ的な国粋主義にブレンドされたスピリチュアル志向。そして何より夫は天命として首相になったという自信。それが結集したゴリゴリの「思想」なのだと思う。

 だからこそ首相夫人として全国を飛び回ることは民への「施し」であり「ボランティア」であり「私がみんなに元気を与えられる」と思っているのではないか。それは勘違いであり、傲岸不遜と言ってもいい。

安倍首相の言葉も気になってくる

 しかしこうして昭恵氏の各インタビューやルポを振り返ると、安倍首相の言葉も気になってくるのだ。

 5月4日の会見では「私たちの暮らしを支えてくださっている皆さんへの敬意や感謝、他の人たちへの支え合いの気持ち、そうした思いやりの気持ち、人と人との絆の力があれば、目に見えないウイルスへの恐怖や不安な気持ちに必ずや打ち勝つことができる。私はそう信じています」

 一気に昭恵さんぽく思える。

 コロナ対応で具体的な説明を求められる会見でポエム的で精神論を連呼する首相。昭恵さんは日本の首相にまで影響を与える位置にいる(当たり前だが)と考えなおすとかなりの厄介さすら感じる。

 手越くんと昭恵さんのポジティブさはまったく別ものだと考えたほうがいいと思います。

(プチ鹿島)

「花見をやったわけではなく、行ったレストランの庭の桜がたまたま満開だった」と話した元NEWSの手越祐也 ©吉田暁史