テレワークのインフラが徐々に整い、家ごはんや家飲みの機会も増えましたが、栄養バランスに留意しながら毎日の献立を考えるのは大変ですよね。そこで身近な食材を用いて、いつもと違う一皿を味わってみませんか?
今回はさまざまな料理にアレンジしやすく、スーパーや鮮魚店で安く買える「しらす」に注目! 「しらすって何?」という疑問から、その栄養価や、お家で簡単に作れる絶品レシピまでをご紹介します。
「しらす」はいったいどんな魚? その正体とは?
「しらす」とは、どんな魚なのかを正しく理解している人は意外少ないのではないでしょうか? まずはその正体を探っていきましょう。
「しらす」とはイワシ・ウナギなどの稚魚に用いられる総称で、市場に流通しているのはカタクチイワシの稚魚を原料魚としたもの。生後1~2か月の白くて半透明な体長2cmほどのミニサイズの魚です。低脂肪なうえ栄養バランスが良く、カルシウムや鉄分、ミネラルも豊富。さらにビタミンDやタウリンなども含まれており、小さいながら体に大切な栄養が詰まったパワフル食材なんです。
良質なしらすの漁場として有名な湘南の名店『しらすや』
都心から近く、相模湾沿岸に広がる“湘南”は、良質なしらすの産地としても有名です。元旦から 3月10日の禁漁期間を除けば、いつでも新鮮なしらすをが食べられるという恵まれたエリア。「しらすが食べたい!」と観光がてら、訪れる人も多いのが頷けます。
しらす料理を提供する店はたくさんありますが、中でも有名なのが、鎌倉・腰越漁港の目前にある網元「勘浜水産」直営の『しらすや』。日の出とともに漁に繰り出し9~10時頃に帰港。ランチにはピッチピチの生しらすが味わえます。ほっかほかご飯との相性抜群な丼ぶりや定食のほか、サラダやグラタン、コロッケほか1品料理も豊富で、定番メニューとはまた違う美味しさも楽しめるのです。店には朝獲れしらすの直売所も併設しています。
呼び名もいろいろなしらす、生、釜揚げ、ちりめんの違いは?
一口にしらすといっても、加工の仕方によって種類も調理法もさまざま。水揚げしたてのものを「生しらす」、茹でたものを「釜揚げしらす」、天日干しした「ちりめんじゃこ」、天日干しして板状に加工したものを「たたみいわし」、醤油に漬け込んだ「沖漬け」は酒精のアテにぴったりです。
そこで店長の柴田さんに、店で提供するメニューから家でも簡単に再現できる、“しらす料理のレシピ”を教えていただきました!
やっぱり外せない! 定番の「しらす丼」
これぞ、定番のしらすメニュー! 大きめの茶碗に炊きたてのご飯、そしてしらすを豪快にのせていただきます。「贅沢に生&釜揚げの2種類をのせてこそ“しらす丼”の醍醐味ですが、生は鮮度が急激に落ちてしまうため、家では釜揚げ1種を用いた丼もオススメです」と柴田さん。
店メニューの薬味は、浅葱と千切りにした大葉、切り海苔、すり下ろした生姜ですが、刻みネギやゴマなども合うとか。ここは少々行儀が悪くても、口を茶碗に添えてかっこむのが流儀。自然な塩味を持つしらすはそのままでも美味ですが、醤油ひと垂らしでさらに美味しく! 好みで卵黄をのせて、つぶし混ぜながら食べるのもイケるのです。
手間なしで美味しい「盛り盛りしらすの冷奴」
夏の定番おかずといえば、冷奴。副菜に便利ですが、頻繁に食卓に上がると飽きがくることも。でも釜揚げしらすを使えば、簡単にマンネリを解消できます。
「豆腐半丁に釜揚げしらすをどっさりのせて、薬味はシンプルに切り海苔とすり下ろした生姜です」(柴田さん)。新鮮なしらすの塩気が豆腐の旨みも際立たせてくれる一皿。ミョウガや刻みネギ、大葉の千切りなどを添えれば、映える一品にグレードアップしますよ。
ビールのお供に最高! 「しらすの唐揚げ」
生しらすは水揚げしたてをそのまま食べるのが一番! ですが、カリカリに揚げるとまた違った味わいが楽しめます。揚げ物というとかき揚げが定番ですが、この「しらすの唐揚げ」が最高のつまみになります。
ほどよい塩分があるので下味はつけず、ビニール袋に生しらすと片栗粉を入れてよく振って、180℃に熱した油に30~60秒サッと火を通せば出来上がり。スナック感覚で口に運ぶと、たまらなくビールが恋しくなります。つまみとしてだけでなく、白飯のふりかけに、サラダのトッピングに食べ方のアレンジも自在!
ポイントは、しらすのミニマムなボディにしっかり衣をまとわせることですが、難しそう…。柴田さん曰く、「やはり鮮度が重要なポイント。生しらすは鮮度が落ちると粘りが出て癒着しやすくなるので、そうなる前に調理することが大切ですね」
漁師のオススメ! 「生しらす ユッケ風」
生しらすを使ったレシピをもうひとつご紹介! それがこの「生しらす ユッケ風」です。生肉の代わりに生しらすを使うのですが、なかなか酒好きのツボを心得たメニュー。生しらす独特の旨みと、ねっとりとした食感がたまらな~い!
作り方も超簡単。小皿に千切りキュウリと生しらすを盛り、卵黄をのせれば完成。醤油を適量たらして、混ぜ混ぜしてからいただきます。
プロならではのアレンジ「たたみいわしのポテトサラダ」
最後は「たたみいわし」を使った一品。みんなが大好きな“ポテトサラダ”です。茹でたメークインをマッシュして粗熱がとれたら、ベーコン、タマネギ、ニンジン、キュウリ、マヨネーズを加えてよく和え、基本のポテサラを作ります。
ここからが“しらすや風”。ポテサラを盛った小皿に、火で軽く炙ったタタミイワシを手でフレーク状にしながらトッピング。好みで温玉をのせれば完成です。香ばしくパリパリ食感のたたみいわしが加わっただけで、普段とはガラリと違う一皿に。ちょっぴり和風テイストになりますが、ワインとの相性もバグツンですよ。
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しらすは専門店でなくてもスーパーなどでも購入できますが、しらす料理のプロ・柴田さんですら、一番のこだわりは鮮度だそう。美味しさを追求するなら、新鮮なものを使うのがオススメです。網元直営の『しらすや』では湘南しらすのリアルな美味しさを堪能でき、直売所では鮮度抜群のしらすもゲットできます。生しらすは時化や不漁などにより、現地に赴いても食べられないこともあるので、お店に問い合わせてから出かけるのが懸命です。
(取材・文◎大山ユミ)
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