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メルセデス・ベンツ、淡々と

「単なる、タイミングイッシュー(時期的な問題)だ」

メルセデス・ベンツカーズのオラ・ケレニウスCEO(最高経営責任者)は、そう答えた。

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CES 2020で公開されてメルセデス・ベンツビジョンAVTR。    メルセデス・ベンツ

だが、その答えを鵜呑みにする業界関係者は少ないだろう。BMWとの関係についてである。

メルセデス・ベンツと、アメリカの大手半導体メーカー「エヌビディア」は日本時間の2020年6月24日午前2時30分から、2社のCEOが独シュトゥットガルトと米シリコンバレーからオンライン参加した共同記者会見をおこなった。

会見の主旨は、エヌビディアが今後、メルセデス・ベンツに対して、自動運転技術などに関わる人工知能など関連するソフトウェアのプラットフォームを総括的に供給する、という内容だ。

2024年までに自動運転レベル2またはレベル3などを含む量産化をおこなう。

この5日前に、メルセデス・ベンツBMWと自動運転に関する共同開発を一時的に棚上げすると発表している。

今回の会見で、後半におこなわれた報道陣からのメールによる質問で「エヌビディアとの協業が、先に発表されたBMWとの関係解消の原因なのか?」という質問が出た。

その答えが「単なる、タイミングイッシュー」だったのだ。

世界をリードするドイツ大手2社でいま、何が起こっているのか?

ユーザーにとって、それはどう影響するのか?

クルマがスマホ化される日

今回のメルセデス・ベンツとエヌビディアとの会見で、改めて分かったのが、いわゆる「クルマスマホ化」問題だ。

将来、電動化や自動化が進むと、クルマは単なる動くための箱(ドンガラ)になってしまい、ソフトウェアなどデータを管理するシステムが主役になるという解釈だ。

スマホの四隅にタイヤをつけた風刺画を2010年代中頃からよく見かけるようになった。

もし本当にそうなったら、メルセデス・ベンツBMWレクサスポルシェも中身は大差なく、違いは見た目(デザイン)だけ、という時代がやってくるのかもしれない。

そんな究極論にも通じるような内容の会話が、今回の記者会見では両CEOから聞かれ、筆者としてはかなり驚いた。

むろん、「そうなる」とは発言していないのだが、将来のクルマデータの書き換えによって様々なアップグレードが可能となる、という話だ。

OTA(オン・ザ・エア)という、スマホのように通信で車載データの書き換えについては、テスラを筆頭に大手メーカー各社が本格的な導入を進めている。

エヌビディアは、単なる人工知能、単なる自動運転、単なるソフトウェアの書き換えではなく、クルマシステムを統括するレベルの極めて重大は出来事だ、と強調するのだ。

今回の会見、いろいろ観点から意味深な部分が多過ぎる……。

裏にあるのは半導体大手2社の競争

話をメルセデス・ベンツBMWとの関係に戻そう。

2社が自動運転を含む、車載ソフトウェア関連の共同開発を棚上げにした理由は、2社それぞれが組むソフトウェア系企業が違うから、と考えるのが、自動車業界内では常識的だろう。

BMWは、米半導体大手インテルとの関係が深いのだ。

インテルとエヌビディアはもともと、同じ領域で戦う業種ではなかったのだが、自動運転を筆頭とする「自動車におけるビックデータ」については、ガチンコのライバルとなった。

筆者はその立ち上げ時期から、米シリコンバレー現地で各種の取材をしてきており、現場の生の声や、経営陣の考えなどを直接聞いてきた。

両社は、場合によっては将来に向けた開発で協調することもあり得るとしてきた。

だからこそ、メルセデス・ベンツBMWも、自動運転での協調を模索してきたはずだ。

自動運転で活用する高精度三次元地図でも、2社は共同出資してる関係にある。

ところが、結局のところ、2メーカーとの関係が深い半導体大手2社を含めた、4社の間で目指す方向が一致しなかったのだと考えるのが妥当だ。

では、今回のメルセデス・ベンツBMWとの連携棚上げは、ユーザーにとってどのような影響があるのだろうか?

連携棚上げ ユーザーにとって影響は

今回の提携棚上げとは、「一時的に保留し、将来関係が復活することもあり得る」としている。

例えるなら、離婚ではなく、冷却期間を持った別居、といった感じだ。

とはいえ、結婚してから1年強での別居であり、そう簡単に復縁しそうもない。

ユーザーにとっては、自分クルマの車載システムが、他のメーカーとどのように連携していようが、日常生活の中で支障があったり、またはプラス要因になることもないだろう。

EVなど、電動化技術についても同じだろう。

各種の次世代技術が同時進行で一気に進んでいる、クルマの世界。

その中でも、ジャーマン3(ダイムラーBMWフォルクスワーゲングループ)に関わる連携は、日本を含めて世界自動車産業全体に大きな影響力を及ぼす。

だが、その実態がユーザーには極めて分かりにくい。

今回の、メルセデス・ベンツBMWの別居で、改めてそう感じる。


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