堅実女子たちのお悩みに、弁護士・柳原桑子先生が応えてくれる本連載。今回の相談者は、高岡みさきさん(仮名・33歳・通販関連会社勤務)です。

「近所の野良猫に、無責任にエサをあげているおばさまが迷惑なんです。私が住むマンションの隣にある空き地であげているのですが、鳴き声もひどいし、糞害もあります。それに、エサに釣られてゴキブリネズミも来るし、エサそのものも臭いんです。

別に無視すればいいとは思うのですが、私は犬派で猫が苦手。自宅の近くに猫がいると、とても嫌な気持ちになりますし、家に帰りたくなくなります。そもそも、野良猫にエサをあげることは法律違反だと思うのです。

繁殖期になると、声もうるさくて、おばさまが猫にエサをあげている皿を捨てたくなります。もし、そこに置いてある猫グッズを捨てたら、私は罰せられるのでしょうか。

エサやりをやめさせる方法があれば、お伺いしたいです」

柳原桑子先生のアンサーは……!?

野良猫へのエサやり問題については、法律では規制されていないと思いますが、地域により条例で規制しているところはあるようです。

野良猫へのエサやり行為を対象とした条例のあるなしにかかわらず、例えば、継続的に野良猫にエサやりをした結果、付近が猫の排泄物で汚れたり、猫が特定の場所にいついたことで鳴き声が日常生活上気にさわるなど、近隣住民の生活環境に悪影響を及ぼすようなことになってしまったとします。

こういった損害を被っている人が、エサやりをした人に対し、損害賠償請求をしたならば認められる可能性があります。

この場合は、損害賠償請求という形をもって紛争当事者間における解決を想定しており、あくまで民事事件としての話になります。

ちなみに、民事事件とは金の貸し借りに伴うトラブル、不動産の賃貸借に伴うトラブル、近隣トラブル等、民間人の間の紛争のことを言います。

これに対し、刑罰の発動の有無や程度が審理される、いわゆる犯罪行為についての事件は刑事事件と言います。

条例において、野良猫へのエサやり行為に対し刑罰を規定しているという場合には、条例に違反した場合、刑罰が科せられるか、その程度はどうなるかという刑事事件になりえます。

次に、エサの器を捨てたらどうなるかという質問についてですが、他人の所有物を、あなたの自己判断で処分することは違法となります。

形式的には、器物損壊罪等犯罪に該当するでしょう。ただ、犯罪に該当するとしても、違法性の程度が小さいと判断されれば刑罰は科せられないこともあります。

猫のエサ、鳩、アライグマなど、地域に生息する動物へのエサやり問題は、多い。

プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/

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