タロット占い

タロット占いの人気が復活 / Pixabay

 最近海外では、タロット占いにハマる人が続出中なのだそうだ。普段は信仰心を持たない人でも、困ったときは神頼みするように、終わりの見えない新型コロナの影響は我々のメンタルに多大なる影響を与えており、不安になった多くの人たちが、未来を占うタロットカードにハマるのは不思議なことではない。

 これは疑似科学の再燃だろうか?そうではない。不安を抱える現代人にとってタロット占いは、不確実な事象を根本から見つめなおし、現実と折り合いをつけるための創造的な手段なのだ

 ここではタロットカードの歴史と、各時代におけるその使用方法をのぞいてみよう。

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タロットカードとは?

 タロットカードは、通常のトランプカードと同様、4つのスート(マーク)をもつ78枚のカードセットがもっとも一般的で、その内訳は1から10までの数札、4枚の人物札をスート(マーク)とした4スート56枚の小アルカナと、神話上の人物や、"死"や"魔術師"などの原型を表わす22枚の大アルカナに分けられる。

 マルセイユタロットや、エッティラタロットなど、カードの数や絵柄の違う別の種類のものもある。

 こうしたタロットカードの違いは、その人がなにを求めているかによってそれぞれ意味が異なってくる。オカルト的な意味合いや危うい詐欺であることもあれば、癒しの形、実用的なアドバイス、ときに娯楽のためのものでもあった。

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対となるふたつの神話


 タロットの歴史にはふたつの神話がある。ひとつは、18世紀から19世紀のフランスで神秘主義者たちによって普及した前向きで建設的なもの。

 牧師のアントワーヌ・コート・ド・ジェブリンや、神秘主義者のジャン・バプティスト・エッティラ、詩人エリファスレヴィらは、カード古代エジプトユダヤ教の魔術の伝統だと信じていた。

 こうした説にはなにも根拠はない。初期のタロットカードは15世紀のイタリアにさかのぼるが、さまざまな神話によって、神秘主義者たちがカードは隠された古代の謎を暗号化したものだと主張するようになった。カードの複雑な意味を理解した占い師は、未来を予言する力を授かったというわけだ。

 同時に国の権力者たちによって、タロット伝説のネガティブな面も広められた。フランスでは、1789年の革命後、占いに反対する新たな規定が導入され、メディア、警察、政治家などが、タロットカードの使用は詐欺の証拠だと決めつけた。

 古代の知恵と近代の詐欺という正反対のふたつの神話は、占ってもらった人々がカードが示すことにどう左右されるかに、いまだに大きな影響を与えている。しかし、ここで言いたいのはそれだけではない。

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かつての歴史家は政府の判断よりもカード占いに注目していた


 歴史家たちは、神秘主義者たちの書いたものや、時の政府の判断よりも、カード占いをする者やその客が言ったことに注目したようだ。

 フランスにおける1790年から1940年の間の魔術研究の中で、数ある占い師の例から、カードのさまざまな面が明らかになってきた。

 まず、タロットは決してカード占いの主流だったわけではなかった。占い師は大アルカナではない、標準的なカードを使っていたようだ。安価だったため、依頼者はより簡易な占いを好んだ。

 タロットカードをフルに使うときでさえ、占い師は神秘主義者が言う象徴的な意味合いをもつ複雑なシステムは採用せず、シンプルなやり方にこだわった。4つのスートのうちふたつはたいていいいことを示し、残りのふたつは悪いことを表わしていた。

 占い師は、引いたカードを見て、すぐにその意味を解釈したのかもしれない。下のカードは、有名な占い師マドモアゼル・ルノルマンが解釈したカードセットからのものと言われている。

 左の"運命の輪"は、結婚によって富がもたらされることを意味しているが、右の"破壊の塔"は、気前が良すぎることを示している。

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マドモアゼル・ルノルマンによるマルセイユタロットから、ふたつのカード
image credit:Bibliotheque Nationale de France

 占い師は、カードから独自の解釈を編み出した。例えば、1889年の北西フランスのフージェールの場合、占い師は2枚のカードを引いて、客にこう言った。
スペードのクイーンはあなたの妻、クラブエースはお金を示しています。これはあなたの妻があなたから金を盗んでいるという意味です

 意味不明の解釈もある。1834年、東フランスのブザンソンの占い師は、カードがサルのように見えるので、これは客が魔法をかけられている証拠だと解釈した。

 サルのイメージと魔術が結びつくものなのだろうか? 昔のシンボルをすべて完全に解釈するのは不可能だ。

娯楽やセラピーのため

 政府など権威機構はタロットを詐欺として封じ込めようとしたが、多くの依頼者は金を払って占ってもらったことに対してもっと柔軟な理解を示していた。1888年のルーアンでの若い女性はこう言っている。

すべてがナンセンスだなんて信じません。友だちを喜ばそうと思って、占い師ののところへ行っただけです

 結局のところ、依頼者たちは占い師を、未来を予言してもらうためではなく、目下の問題に対処する手段として考えていた。

 現在、多くの人はタロット占い師をセラピーの一部としてとらえている。


The Little Known History of Tarot | Gaia

 ある意味タロットは精神分析のひとつの形なのかもしれない。1990年、作家のジョゼコントレラスと民族学者のジーン・ファブ=サダが、占い師との体験から、タロットで占ってもらうという方法は、現代のセラピーと同じような効果があると主張した。

 タロットが現状に対処するために使われることの多くの問題は、今日でも身近にある。

 依頼者は、盗まれたり失くしたりした物、不可解な病気の原因、雇用の見通しに関するニュース、恋愛関係の保証などを求めてタロット占いに走り、タロットの歴史の中で、依頼者を騙した詐欺師の例は確かに少なくない。

 だが、依頼者たちは、占いの評論家が思うほど騙されやすいわけではなく、カードを読んでもらう行為は、神秘的というより実用的なものなのだ。

 大多数の人にとって、必ずしもカードは未来を見ようとするための間違った試みというわけではなかった。不確実な現在を解釈し直し、折り合うための創造的な手段なのだ。

References:Tarot Resurgence: People Turn to Occult in Uncertain Times | Ancient Origins/ written by konohazuku / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52292045.html
 

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