年間1億円以上の役員報酬を受け取る役員の氏名などを公表する「個別開示」が義務付けられて3年が経過した。これに関連して週刊朝日(7月26日号)と日経ビジネス(9月2日号)が、具体的な「1億円超役員」を紹介している。

両誌とも企業利益や株式時価総額などを踏まえて、報酬金額が妥当かどうかを分析している。中には「赤字なのに役員報酬が1億円超」の企業も12社あり、スクウェア・エニックス・ホールディングスや資生堂といった有名企業も並ぶ。

このうち、赤字かつ無配当にもかかわらず、年間報酬1億超の役員を2名も抱えているのが輪転印刷機械専業メーカーの東京機械製作所だ。キャリコネの口コミによると、この会社はかつて採用担当者が給与面の魅力を強調して新卒をかき集めていたという。

2005年頃新卒で入社したという20代後半の研究開発の男性は、「人事が給料の良さを学生にアピールしていたのはこの会社だけだった」と語る。ところが入社した途端、「坂道を転げるように業績が転落して行き、私が夢見たレベルの給料はもらえなかった」。

 経営陣は役職名を変えて居直り?

同社の業績の落ち込みの背景には、主力製品である印刷機械が新聞業界の部数減少により大きく受注を減らしていることがある。2012年までには多くの希望退職者を募ったようだが、経営陣にメスは入らなかったようだ。

その一方で、ベテラン社員が大量に辞めた現場は、業務に支障が生じている状況である。

「人員削減が続けば、もの作りの会社としては将来が非常に危うい。現に55歳の希望退職により業務進行に支障が出始めている。経営陣は責任を取るといいながら、違う役職で今後も残るようである」(機械設計担当の男性、30代後半)

同社は4年連続の赤字で、2012年の決算短信に企業の継続の疑義があることを示す注記がなされるなど、経営危機に陥っている。

前出の男性が「本当に会社を再建させたければ、きちんと責任を取り、新たな体制で経営を行わなければ非常に悲惨な結末が予想される」と指摘するとおり、業績がずっと悪いのに役員が高額な報酬をもらい続けていれば、社員のモチベーションは下がり続ける。上場企業として投資家に対する説明もつかないだろう。

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