北朝鮮国営の朝鮮中央通信は30日、警察庁により「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者」(=特定失踪者)とされていた女性2人が国内で発見されたことを受けて、「『拉致』問題の荒唐無稽さ、欺瞞性を見せる確証の例はより増えるようになった」と主張した。

富山県警は19日、1996年に失踪した少女2人について、北朝鮮による拉致ではなかったと明らかにした。2人は、同県射水市の港の海底から引き揚げた車から遺体で見つかり、今年4月にDNA型鑑定などで身元が確認された。

論評は、「日本では一定の捜査期間が過ぎ、対策がなければ行方不明者が自動的に拉致被害者に変身するのが現実である」と指摘した。

また、「日本人行方不明者問題を政治的・外交的な問題に極大化、国際化して不純な利をむさぼろうとする日本の反動層の対朝鮮敵視政策の一環である」と述べた。

さらに、「日本は根深い拉致王国である」とし、「20世紀に朝鮮を占領して840万人余りの青壮年と20万人の女性を誘拐、拉致、強制的に連行して死の戦場と工事場に駆り出したし、100余万人の罪なき人民を無残に殺りくした特大型反人倫犯罪国家である」と非難した。

そのうえで、「日本の反動層は、古びた『拉致』問題を引き続き世論化することで自殺者、失踪者が絶えず増えている反人民的な社会制度の実状を隠し、国内の反政府機運を国外に回し、ひいては再侵略野望の実現に有利な雰囲気をつくろうとしている」と強調した。

7日、朝鮮労働党中央委員会第7期第13回政治局会議に参加した金正恩氏(2020年6月8日付朝鮮中央通信)