世界最大の迷路

 イタリアパルマの小さな町フォンタネッラートには、世界最大の迷路「メゾン・ラビリンス」がある。

 出版者でデザイナー、美術品収集家、蔵書家でもあるフランコ・マリア・リッチが考案した竹の壁でできた迷路を持つ星形の巨大な庭園は、『伝奇集』で知られているアルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスとリッチの1977年の交流がきっかけだった。

 その時ボルヘスは人間の状態の暗喩ともいえる迷宮に魅せられていたのだ。

―あわせて読みたい―

15年以上かけ家の中を大改造、猫が喜ぶ迷路ハウスを作り上げたアスペルガー症候群の男性(アメリカ)
死んでから一度は行きたい!死後の世界における20の観光名所
世界中を旅した気分になれる!みんなのインスタ旅行写真をつなぎ合わせて2分間で世界旅行「インストラベル」
一度は行きたい!のか?77匹のライオンに囲まれながら泊まれるレンタルハウス「ライオンの家」(南アフリカ)
電子楽器好きなら一度は行きたい!世界最大数のシンセサイザーを集めた「スイス電子音楽博物館」

フランコ・マリア・リッチはこの巨大迷路の作成から公開までをこう語る。

迷路をつくることを初めて夢みたのは、およそ30年前のこと。当時何度か、パルマ郊外のわたしの田舎家で、経営していた出版社の友人で、大切な貢献者でもある、アルゼンチンの作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘスを招いてもてなしました。

彼が迷宮好きなのはよく知られていました。目の見えない彼が、わたしのまわりで手探りで歩みを進めていると、幾重にも道が分かれた不可解な迷路の真ん中で動き回っている人たちの心もとない心境が思い浮かびました。

彼らが織りなす奇妙な旅についてホルヘス話していたとき、このプロジェクトの最初の芽が形成され、ついに2015年6月に初めて一般公開される運びになりました


片道3km越え、世界最大の竹の迷路

 メゾン・ラビリンスは、およそ8万平方メートルの広さの土地に、全長3キロにもなる迷路が広がる世界最大の迷宮だ。高さ30センチから15mの20万本もの多種多様な竹林が通路の壁になっている。ここは、我を忘れ、夢想し、熟考するための迷路ともいえよう。

 「ミラノのわたしの家の裏には、高い壁に囲まれた小さな庭があります」リッチは竹を選んだ理由を説明する。

最初、竹をどうすればいいのか、わかりませんでした。でも、あるとき、親切で物知りの日本人庭師が、小さな竹林を植えればいいと勧めてくれたのです。

早速、わたしは竹を購入するためにフランスのプロヴァンスへ向かいました。そこは、ヨーロッパ最大の竹の栽培場で、200種類以上の竹の苗木があるのです

2_e

ミラノの小さな庭ですぐにぐんぐん育つ竹の魔法に、わたしはすっかり虜になってしまいました。再び、プロヴァンスへ向かい、今度はもっと大量に竹を購入しました。

フォンタネッラートの田舎家のまわりに竹の庭を作ろうと決めたのです。この実験は成功しましたが、そのときまでは、まだ竹と迷路を結びつけてはいませんでした。でもある日、ひらめいたのです。竹は迷路を作る完璧な材料になると!


 メゾン・ラビリンスは、プロジェクト全体を設計するところからまず始まった。伝統的な迷宮の形には3つの型がある。

 7本の螺旋をもつクレタ、互いにつながる4つの迷路が合わさった四角いローマン、そして11本の螺旋のあるシャルトルタイプクリスチャン

 リッチは2番目のローマンを採用したが、厳密に一筆書き一本道)のローマン迷路にはない、合流点や隠れた通路といったちょっとしたトラップをあちこちに仕掛けて造り直した。

3_e

中世の城塞都市やルネッサンス風庭園を意識した構造

 全体は、フィラレテ(フィレンツェの建築家)の建築論文で初めて登場した星型をしている。この形は、16世紀にヴェスパシアーノ・ゴンザーガによって建設された城塞都市サッビオネータや、イタリア北東部フリウリ地方のパルマノーヴァの町づくりにも採用されている。

 リッチのこの迷宮プロジェクトは、建築家のダヴィーデ・デュットが時間をかけて入念に進めた。彼はリッチのために、「ポリフィロの夢」(15世紀のイタリアルネッサンスを代表する挿絵本)風の庭園を仮想再建して編集し直した。

 この迷路の中には、迷路と信仰の間の古代のリンクを記念するピラミッドのような形をしたチャペルがある。


Get Lost in a Giant Bamboo Labyrinth | The Daily 360

 メゾン・ラビリンスは、ADI(工業デザイン協会)とAIB(イタリア竹協会)の後援を受けている。2019年10月4日と5日の2日間、竹を使った革新的なデザインと創造のための国際コンテストが行われた。   

4_e0
References:world’s largest labyrinth: labirinto della masone by franco maria ricci/ written by konohazuku / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52289667.html
 

こちらもオススメ!

―動画の紹介記事―

ハンドルを握ると変わる系かよ!ゲームを前にすると性格が荒ぶる犬
ビーチが大好きなゴールデンレトリバー、人間の作ったウォータースライダーに果敢にトライ!
カピバラの集団が道路を横断。歩道からちょっとずれたけど、ちゃんと渡れたよ!
「可愛い」に季節なんて関係ない!キュート過ぎるもこもこマラミュートの子犬たち
今年もサケを狩りに帰ってきた!アラスカのヒグマたちのライブ映像配信中(アメリカ)

―自然・廃墟・宇宙についての記事―

未知との遭遇に期待度アップ。わずか11光年先でスーパーアースを発見(ドイツ研究)
1万2800年前、彗星の爆発で滅亡した古代の村。それは農業の始まりとも関係がある可能性(シリア)
空が裂けた!全長700キロの巨大雷「メガフラッシュ」が世界最長記録を更新
ブラックホールをエネルギーとして利用する地球外文明がある可能性(英研究)
木の化石の中に美しい青緑色のオパールが!貴重な宝石「レインボーツリー」(オーストラリア)
そこは迷宮のラビリンス。世界最大の竹でできた迷路「メゾン・ラビリンス」(イタリア)