あまりこういうことは書きたくないのですが、ちょっとおかしいと思いましたので、率直に記します。
7月2日、東京都の新規コロナ感染者は107人と、5月の連休以来の「100人超え」と派手に喧伝しています。
「天城越え」で男心をつかんだつもりが、現在は獄の中、というケースなども思い出しつつ「100人超え」でもなかろうに・・・と、冷ややかに報道を眺めざるを得ません。
前日の7月1日に「評価指標」が変更され「都民の皆様に、より充実した検査と医療の体制を提供」と緑色のカードを示す現職知事候補者の写真なども目にした翌日に「5月2日以来の100人超え」の報道。
もう少し客観的に見てみましょう。確かに全国で患者数は増えている。これは間違いありません。
7月2日、日本全国で194人との報道ですが、その内訳を見れば東京が107人、それ以外87人です。
これを前日の7月1日と比較してみると、合計127人が、東京の67人とそれ以外が60人ですから、東京単体の増加率は約1.6倍、それ以外の増加率1.45倍に比べ有意に突出しています。
また前日数67に他の各県平均1.45倍を乗じても天城越え、もとい100人超えにはなりません。東京都の感染者数は頭一つ抜きん出ています。
こんなものをマスメディアで報じれば、当然ながら一般生活者=都民は緊張し、災害が迫っているのだなと思って当然であるのに加え、都民は有権者でもあるので、現在進行形で疫病対策を講じている現職に有利に働く可能性があります。
学歴詐称を筆頭に、何かとメディアではかまびすしい現職都知事ですが、都内のコロナ感染が拡大し、対策を講じたところ、それが功を奏したように見えれば、どのような選挙活動よりも有効に集票キャンペーンに結びつく可能性があります。
投票日直前の週、7月1日から評価指標を変え、翌2日は投票日の3日前ですが感染者が100人超え・・・こうした数字はどれくらい客観的なのか?
率直に申すなら、かなり恣意的にコントロールされているのではないか、という疑念を、客観データから抱かざるを得ないのです。
検査数を増やせば、陽性者数は増やすことができる。検査の総数を減らせば、当然ながら新規感染者も減る。
コントロールは匙加減次第、自由自在の側面があることを、最初に指摘しておきます。
データで見る陽性者数変化
まず6月1か月間の東京都「新型コロナウイルス陽性者数」の変化を見てみましょう。元のデータは東京都の発表そのままです(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/?tab=reference)。
客観的にデータを見て、急激に増加している場所が2~3挙げられるでしょう。一つは6月11日。前日の6月10日は22人であったのが、一挙に約2倍の43人に増えている。
次に顕著なのは6月18日で、直前の17日が26人、直後の19日が32人なのに61人と突出しています。
私は大学公務の一貫で、新型コロナウイルス対策に関してはコンスタントに定量解析を手がけています。
このコラムには専門的な内容を多く記しませんが、データの推移を毎日見ていて、気になることというか、いやだなと思うことがありました。それを率直に記します。
突然、陽性者が急増した「6月11日」は「東京アラート」が解除された日にほかなりません。
そもそもなぜ「6月11日」にアラートが解除されたのか。その根拠はデータから見る限り、さっぱり分かりません。
「総合的に判断」したのでしょう。何と総合したかが問題ですが・・・。
データが示すのは「東京アラート」が解除されると、直後に陽性者が2倍になり、しばらく高止まりする、という「データ挙動」だけです。
これだけなら、偶然といえるかもしれません。
しかし、次がいけません。なぜか陽性者数が突出している6月18日。これはまさに2020年度東京都知事選挙の公示日にほかなりません。
なぜ公示日だけ突出して増え、直前直後が低いのか・・・。
これも「偶然」といえばそれまでかもしれませんが、「東京アラート」の偶然と、「都知事選挙公示日」の偶然、この2つが重なり合って、6月1か月のデータ推移に登場する確率は、極めて低いものとなるでしょう。
もっとも、作為があれば別です。作為的に数字をコントロールすれば、ピンポイントで狙った日に陽性者を大量に作り出すこともできる。
実際どうなのか、やはりデータに即してみてみましょう。
政治的日付の前日、前々日
先ほどのデータに加えて、東京都が実施する「健康安全研究センター」(http://www.tokyo-eiken.go.jp/)での感染検査数を、やはり東京都が公開しているデータから示してみます。
献体採取日を基準とするもので、「健康安全研究センター」のほか、各医療機関が実施する、はるかに多くの数の検査がありますが、それらは順次報告されてデータとなるもので、都の第1報はまずこのデータに即して作成されると考えていいと思います。
いずれにしても、公表値そのままで、グラフに示してみます。
グラフの青い棒は、前掲のデータと同じ「陽性確認数」、銀色の棒が健康安全研究センターが実施した「検査数」の日ごとのデータです。
「東京アラート」解除の前々日は、顕著に少ない検査数になっている。それが前日から、多数の検査が実施されているのが分かります。
あるいは「都知事選公示日」の前々日は、顕著に少ない検査数になっている。それが前日から、多数の検査が実施されているのが分かります。
さらに「7月1日、新指標に基づくアラート体制」に変化する前々日、6月28日の84件と打って変わって、6月29日には異例の「227件」の検査が実施されている。
たくさん測れば、たくさん陽性も陰性も出る。当たり前のことに過ぎません。
何が「本当のデータ」なのか?
この原稿は7月2日の午後、新規感染者が107人との「報道」が出たので、これはあまりだ、と思って緊急出稿しているものです。
なぜ「東京都知事選」投票日直前の「木曜日」に危機感満点の報道が、選挙活動などではなく「事実報道」のごとくして、このように流布されているのか?
こののち、金曜、土曜とどのような「推移」をデザインして、日曜日の投票日に向かうのか。
上記「東京アラート」ならびに「都知事選公示」と同期する、感染者数推移の「不思議な数字」を単にデータをグラフとして示すことだけで考察してみました。
それ以上、あれこれの詮索をあえて私はここに記しません。
すべて「偶然」と官僚答弁で逃げ切ることもできる、でも、仮に偶然であるとしたら天文学的に僅少な確率でしか起きないような挙動は、現実に観察されている。
あまりといえばあまり、と言わざるを得ない現状であることは、間違いありません。
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