平穏な日常にある日突然“修羅場”が訪れる。見て見ぬフリをしているだけで、誰もが常にそんなリスクと隣り合わせで生きている。一寸先は闇、人生の落とし穴にハマったとき、生還できるかどうかの分岐点はどこにあるのか? 修羅場を突破する秘策がここにある!

SNSで忍び寄る悪意の人。不用心なスマホ管理が自分も家族も危険にさらす

●篠田 創さん(仮名・41歳)/大手スーパー勤務
 インスタグラムの鍵アカウントに、家族旅行などプライベートな写真を載せていたんです。そんななか、あるフォロワーから「娘さん、いつもかわいいですね」など、ちょっと気味の悪いダイレクトメッセージが届くようになりました。同時に、娘も高校に通う道すがら、不審な人影を感じると怯えだしたので、父親の勘で「フォロワーに不審者が紛れていたんだ!」と思い、即座にアカウントを消去。その後も娘に危害が加わらないかと心配で、毎日送り迎えをしています。

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 自分が許可した人のみ閲覧できる鍵アカウントに安心していると、知らぬ間に悪意の第三者に身元がバレてしまう。スマホリスクに詳しい元埼玉県デジタル捜査班班長の佐々木成三氏によれば、からくりはこうだ。

ネットストーカーは用意周到にターゲットの趣味などを探り、興味を持ちそうなプロフィールでこまめにツイートし、フォロワーをある程度増やして捨てアカウントではないと信頼させてから近づいてきます。そのため、ターゲットは友好的なアカウントからのフォローリクエストだと勘違いし、案外簡単に鍵を開けてしまうケースが多い。友好的とは真逆の悪意のフォロワーにもかかわらずです」

 SNSでのセキュリティ意識の欠落は、自分の身どころか家族を危険に晒しかねない。

「着ている制服を見れば学校を絞れますし、家の近くの建物や駅などが写真に写り込めば、普段の行動範囲が特定されます。最悪の場合はSNSをきっかけとして誘拐事件に巻き込まれるケースもありうる。家族の属性や住所地の地名がバレるような情報は極力アップしないようにすべきです」

 それでも万が一脅迫まがいのことをされたらどう対処すればいいのだろう。元警視庁刑事の吉川祐二氏はこう語る。

SNSでつきまとわれただけでは警察は動けません。しかし、明確に『殺す』『夜道に気をつけろ』などの文言がなくとも、『かわいい娘さんがどうなっても知りませんよ』といった“におわせ”でも脅迫として刑事事件になります。身の危険を感じるようなやり取りがあれば、すぐに警察に相談してください」

 しかし、こうしてガードを固めてもまだ大きなリスクがある。スマホ自体のロックだ。ここからは再び佐々木氏に聞いた。

スマホロックを簡単な文字列やパターンに設定している人は意外と多く、電車の中などで後ろから簡単に覗き見されてしまう。それでドアが閉まる瞬間にひったくられたらアウトですよ。ロックを突破されてあらゆる情報を抜かれ、グーグルマップタイムラインから行動範囲や自宅・会社の場所を容易に特定されてしまいます。画面ロックを解除する文字列やパターンを複雑なものにしたり、静脈認証にする、あるいはアプリごとに設定するなど、ロックを厳重にするのが鉄則です」

 パスワードロックを解除されれば、ログインしたままのEコマースサイトやキャッシュレス決済でバカ買いされたり、貯まっているポイントを勝手に使われてしまうこともある。

スマホを盗まれたり紛失したりしたら、早急に遠隔操作で端末内のデータを消去して決済関連アプリの利用を停止してください。誰かが拾って戻ってくるかもと思って躊躇しがちですが、そのためのリスクを考えたら諦めるべきです」

 スマホは楽観論者が持つには危険な情報が詰まりすぎている。

◆<ネットストーキングの突破術>

1:SNSのプライベートアカウントは知人に限定し、画像アップも慎重に
2:スマホロック解除用のパスワードは複雑なパターンに設定する
3:データよりも大切なものがある。スマホを紛失したら即消去

佐々木成三氏】
埼玉県デジタル捜査班班長。埼玉県警にてデジタルデータの押収解析を担当。退官後は学生を犯罪リスクから守るための講演活動などに取り組む。新著『刑事力』(小学館

【吉川祐二氏】
警視庁刑事。防犯コンサルタントオフィスワイズ調査探偵事務所代表。映画・ドラマなどの警察監修を務める。ワイドショーコメンテーターや講演など、幅広く活動中

<取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/神林ゆう>

―[修羅場の突破術]―