Instagramの次に来るのは“ビジュアル探索ツール

 ここ10年ほどで急速に拡大したInstagramFacebookYouTubeといったSNSやプラットフォーム型のサービスインフルエンサーYoutuberといった新しい職業を誕生させ、既存のビジネスも影響を受けてきた。それでは、20年代に新たに流行するプラットフォーム型サービスは何か? 今注目されているのが、ビジュアル探索ツールの「Pinterest(ピンタレスト)」だ。

 最近はネットでその名前が取り上げられることも増え、「名前は聞いたことあるけれども具体的にどう使うのか分からない」という人も少なくないはず。今回は、Pinterest Japan広報担当者の高橋氏に、Pinterestの詳細や使い方について解説してもらった。

◆趣味や興味のあるものの写真をコレクションするように使う

Pinterest とは自分が気に入った画像や動画を発見・保存・整理できる検索ツールです。気にいった画像を保存していくことで、自分の興味のあることをコレクションするような感覚で使います。たとえば、床屋に髪を切りに行くときに“男性 ショートカット”で検索するとします。すると多数のショートカットの男性の髪型の画像が表示されます。それで自分が気になった髪型があれば保存します。同時に類似画像が下に表示されていくので自分の好みの髪型が集まっていきます」

「男性 ショートカット」で検索すると、写真が検索できる

 気に入った画像があれば、赤い「保存」ボタンを押して保存

 下にスワイプすると、その写真に似た画像が表示されている

 髪型だけでなく、ファッションや車、グルメなどさまざまなジャンルの画像がPinterestには保存されている。それだけ多くのユーザーPinterestに投稿しているという証拠だ。

「すでにヨーロッパアメリカでは知名度があり、月間利用者数は3億6000万人に上ります。社内の数字は公開できないのですが、2019年5月のニールセンが公表した調査によると、日本でもすでに月間利用者数が530万人を超えています」

 Instagramの国内月間利用者数が3300万人(2019年6月Instagram内部データより)なので、後発のサービスとしては順調にユーザー数を増加させている。

「我々の収益は広告収入ですが、まだ日本では実装していません。というのも、日本ではまだ認知拡大のフェーズであると考えているためです。アジアは急成長しているマーケットでして、日本でのユーザー数も伸びています」

 なかなか外出しづらかったコロナ禍でも、在宅時間を楽しむための利用が増加した。

新型コロナウイルスの影響で、去年3月と今年3月を比べると、検索数が2.5倍に増えています。レシピや子供との工作のアイデア、自分で髪を切る方法など、自宅での時間を充実させるための検索が目立っていましたね」

PinterestSNSとはまったくの別物

 Pinterestの大きな特徴としては、自分で投稿する必要がないことが挙げられる。すでにPinterestに上がっている写真を保存してコレクションするだけで利用できる。

「よく勘違いされるのですが、ピンタレストはSNSではありませんビジュアルで直感的に物事を検索することができるツール、いわば“画像検索エンジン”です。SNSとの違いは、機能面とユーザーマインセットにあります。まず、Pinterestタイムライン型ではなく、ユーザーに合わせてピン(画像)を表示します。ユーザーのエンゲージメントによってオススメを表示するようなアルゴリズムを採用しています。また、ハッシュタグ検索ではなくて、複数のワードで検索できるのも特徴です」

 SNSに特徴的なタイムライン型ではないから、投稿したコンテンツはすぐに消えない。平均3か月間はその写真が好きそうユーザーに表示される。つまり、コンテンツの寿命が長いというわけだ。

「また、ユーザーマインセットにおいては、SNSだと“過去”や“現在”起きたことについて投稿しますよね。たとえばSNSでは『ホームパーティをしました(あるいは、している)』という様子を投稿などでアップすると思います。Pinterestの場合は、ユーザーの関心は“未来”に向いています。『今週末にホームパーティをします。その時にどういった飾りつけをしよう、どういった服を着ようかな』というアイデアを探すために使っています。SNSでは他の人の暮らしを見に行きますが、Pinterestは自分の暮らしのために使うツールといえるでしょう」

 さらに大きな違いは、いいね機能がないことだ。

SNSであれば、“映える”ような写真を撮るというプレッシャーがありますが、Pinterestにはそれがありません。また、「いいね!機能」と呼ばれるものはなく、コメント機能もありません。それゆえ他人からリアクションをもらうプレッシャーがなくなります。数年前までは、Pinterestにもハート機能があったのですが、その機能はそれほどユーザーに必要とされていなかったので、繋がりのあるユーザー間のグループボード内で感想を伝えるためのリアクション機能に改善しました」

著作権に違反した写真はつねチェックされている

 Pinterest内の写真は、ユーザーウェブサイトから保存したもの。それゆえ、その写真をクリックすると保存元サイトに繋がり情報を確認できる。

「気になるピン(写真)を見つけたら、赤い保存ボタンクリックすると自分のボードに保存できます。そして保存しているピンとボードの内容からその人の好みをPinterestが理解し、視覚的に類似している写真を表示するという仕組みです」

 ただ、気になるのは、自分が作成していないウェブサイトの写真をアップしてもいいのだろうか。著作権についてはPinterestはどう考えているのか聞いた。

コンテンツクリエイターの持ち物という認識でおります。ですので、他人が作成したウェブサイトコンテンツを、個人がピンタレストに挙げるのはNGです。もちろん自分が作成したウェブサイトからPinterestに投稿するのはOK。基本的には社内の専門チームや機械学習で著作権に違反した投稿がないかチェックしていますし、あれば BANしています」

 Pinterestの通常の使い方としては、投稿されている写真を保存するだけだから問題はない。だが、自分で写真を投稿する場合は注意したい。

◆自社のアイテムを投稿し売り上げ増に繋げる企業が増加

 そういった特徴から企業がビジネスアカウントを作り、商品の購買へと効果的に繋げているところも多いという。

ユーザーは『何かをしよう』とマインセットなので、そこから購買というアクションに結び付くことが多いんです。オープンマインドで見ている人が多いので『これもいいな!』『あ、これも魅力的だ!』と繋がっていき購入に結び付きやすい。例えば、ネイビーのスーツを探している人であれば、いろんなブランドのネイビーのスーツがたくさんヒットします。ユーザーはその大量の画像から気に入ったものを選んで、保存元のURLに移動して購入していきます」

IKEAのショッピングピンでは、商品の値段などが分かり「アクセス」をクリックするとIKEAウェブサイトに飛んで商品を購入できる。

 どういったジャンルビジネスアカウントが多いのだろう?

インテリアリフォーム会社やあとはECサイトのビジネスアカウントが多いですね。あとはフード系のアカウントも増えています。料理レシピを投稿しているブロガーや、媒体などが自社のコンテンツを投稿されていますよ」

Pinterestから有名になった中小企業

 また、ビジネスアカウントになるとPinterestのアナリティクス機能も活用できる。どれくらいの人に見られ、どれくらいクリックされたかといったデータから、ユーザーの指向を分析可能だ。さらに企業がPinterestを活用するメリットとして、ブランドの認知向上効果もあると高橋氏は説明する。

ユーザーの97%はブランド検索をしていません。たとえば『コンバース スニーカー 白』という検索の仕方ではなく『スニーカー 白』と検索する人が大半。たとえば、アメリカジョージア州でパイを作っていた小さな企業が、Pinterestでトラフィックが伸びて、世界中でもパイを送るようになったとか。インクボックスというカナダ発の2週間で消えるオーガニックタトゥーの企業があるのですが、そこもPinterestが成長を後押ししたなった企業のひとつです」

 欧米と比べるとまだまだ日本の企業はPinterestに注力しているところは少ない。だが、そこには無限の可能性が秘められているのだ。ビジネスとしては“売り上げ貢献”や“自社のウェブサイトへの流入増”を期待でき、個人としても趣味や興味において新しい発見ができるのがPinterestの魅力。周りの人より先に始めておけば、将来得すること間違いなしのアプリだと断言できる。後編の記事では、どうやってPinterestを始めるのかを解説するのでそちらも是非読んでみてほしい。

<取材・文/すずきおさむし>