2020年7月現在も、感染がとまらない新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)。

日本で感染が確認され始めた頃は、その恐ろしさや感染対策はあまり認知されていないものでした。

患者や医師、看護師など214人がコロナウイルスに感染し、クラスターが発生した東京都の永寿総合病院。

同月2日に、永寿総合病院の湯浅祐二院長が会見を開きました。

湯浅院長は、面会できないまま亡くなった患者や家族に謝罪し、感染拡大の原因や今後の対策について語りました。

また、看護師、医師の手記も紹介され、永寿総合病院のウェブサイトでは全文が公開されています。

3つの手記のうち、看護師の手記の一部がこちらです。

なかなか正体がつかめない未知のウィルスへの恐怖に、泣きながら防護服を着るスタッフもいました。防護服の背中に名前を書いてあげながら、仲間を戦地に送り出しているような気持ちになりました。

家族がいる私も、自分に何かあったときにどうするかを家族に伝えました。
幼い子供を、遠くから眺めるだけで、抱きしめることができなかったスタッフ、食事を作るために一旦は帰宅しても、できるだけ接触しないようにして、ホテルに寝泊りするひとり親のスタッフもいました。家族に反対されて退職を希望するスタッフも出てきましたので、様々な事情を抱えながら、永寿が好きで働き続けてくれるこの人たちを何とかして守らなければ、今の業務を続けていくことはできないと強く感じました。
4月4日、「頑張れ、永寿病院 地元有志一同」の横断幕が目に入り、「まだ私たちはここにいてもいいんだ」と思えました。涙を拭きながら非常口を開けたのを覚えています。支えて下さった地元の皆様には、本当に感謝しかありません。

私たちは、今回のウィルス感染症で多くのことを学びました。
人の本質は、困難な状況に直面するとより露わになることを実感しました。 困難な状況であるからこそ、思いやりのある行動や、人を優しく包むような言葉を宝物のように感じました。 育児休業中のスタッフが、「メディアで医療従事者が感謝されていますが、私はまだ何もできていない」と話してくれたときは、「その気持ちこそが宝物ですよ」と答えました。

7/1日本記者クラブでの院長会見について ーより引用

横断幕を見て涙を流し、励みになったという看護師

会見の後、永寿総合病院はTwitterで近隣住民や患者、患者の家族からの励ましの様子を公開しました。

「頑張れ、永寿病院」「医療関係者ありがとう」などと書かれた横断幕やメッセージ。

地域の医療機関として、多くの人が助けられてきたのでしょう。

ネット上にも、たくさんの励ましの声が寄せられていました。

・横断幕を見て涙が出た。頑張ってください。応援しています。

・手記を読んで涙が止まりませんでした。病院を誹謗中傷することはやめましょう。

・医療従事者は想像以上に頑張ってくれていると思う。感謝しかありません。

病院が少しでもひっ迫しないよう、私たちにできることは移動の自粛や感染対策などをすることでしょう。

このような状況下でも命を救おうと懸命に働く医療関係者に感謝したいですね。


[文・構成/grape編集部]

出典
@eijuhp「新型コロナウイルス」(32) 湯浅祐二・永寿総合病院院長永寿総合病院