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次期M3の主役は新開発のシャシー

text:Greg Kable(グレッグケーブル
translationKenji Nakajima(中嶋健治)

 
BMWは正式な運動性能の数字は明らかにしていないが、次期M3とM4の0-100km/h加速は4秒を切るはず。ドライバーズ・パッケージのオプションを選択すれば、後輪駆動のM3でも、最高速度は280km/hに届くだろう。

エンジンも印象的だが、M3の主役かと聞かれれば、答えはシャシーの方。まったくの新設計で、標準の3シリーズとの共通点はサスペンションの取り付け部分程度だという。アダプティダンパーは標準装備されるが、こちらは3シリーズとシェアするものだ。

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BMW M3 プロトタイプ

BMW Mディビジョンは、専用のストラットブレースも開発。フロント周りの剛性を大幅に高めている。結果、標準の3シリーズと比べて、滑らかでバランスの高い操縦性を獲得している。ちなみに、次期M3のフロントドレッドは過去最も幅が広い。

軽量な鍛造ホイールは、フロントが19インチ、リアが20インチと異径サイズ。M3 CSと同様に、ステアリングのレスポンスを引き上げる狙いがある。

タイヤはフロントが275/35で、リアが285/30のミシュラン・パイロット・スーパースポーツ。こちらも、過去最も幅の広い面積で、路面を掴む。

現行のF80型M3を始めに数周走らせ、ベンチマークを確認してからの印象だから、自信を持っていえる。次期M3は、標準モデルであっても、ドライバーとの一体感が間違いなく高い。

ボディサイズを裏切る機敏な身のこなし

最新のBMW M8やフェイスリフトを受けたM5にも採用されているが、次期M3とM4にも、各部位で個別の設定を指定できるインディビジュアル・ドライブモードが備わる。iドライブ・コントローラーを介して、エンジンやサスペンション、ステアリング、ブレーキの設定を、ドライバー好みで指定できる。

四輪駆動を選択した場合、前後のトルク配分を変更し、完全な後輪駆動を選ぶことも可能だ。サーキットでは特に有効だろう。

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BMW M3 プロトタイプ

後輪駆動のM3は、ステアリングでも秀でていた。操舵感は極めて正確で、重み付けも完璧。ザクセンリンクカーブが連続する区間で、しっかり違いを確かめることができた。

次期M3は、ライバルモデルと並んだときの強みだった、ボディのコンパクトさは削がれている。しかしボディサイズを裏切るように、身のこなしは機敏。鋭く進行方向を変え、コーナリング時の振る舞いはとてもダイレクトだ。

グリップ力の向上も明確。275サイズのフロントタイヤは、確実に路面を捉える。重心移動は小さくないはずだが、姿勢制御は鮮烈。コーナーの旋回速度が高まっているだけでなく、脱出時のニュートラル感にも驚かされる。

高性能モデルの割に、サスペンションストロークは長い。それでも、ザクセンリンク・サーキット名物のオメガカーブをハイペースで走らせても、落ち着きが失われることはなかった。

過去最もダイナミクス性能に長けたM3

コーナーを攻め込んでいくと、Mスポーツ・デフが実力を示し始める。最適なトラクションを得るために、左右のリアタイヤ間でトルク割合を調整。固有の優れたバランスを活かし、確実にボディを進めていく。

DSCをオフにすれば、グリップの限界を破ることも可能。追加されたパワーと向上したレスポンスの助けもあり、次期M3はアクセル操作によるコーナリングラインの調整もしやすい。

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BMW M3 プロトタイプ

路面が平滑に整えられたサーキットでは、クルマの正確な印象を掴むことは難しい。それでも、伝統のBMW M3のパフォーマンスとハンドリングが、さらなる高みへ到達したことは間違いない。

まだまだ確かめたいことは沢山ある。現行モデルと比較試乗できたことで、ストレートでの速さだけでなく、限界領域での懐の深さも広がっていることは体感できた。新たに獲得した、繊細な操縦性のおかげだろう。

2020年の末には、生産版の試乗も許されるはず。少なくとも、これまでで最もダイナミクス性能に長けたM3とM4とはいえそうだ。

従来以上に大きく、重くなる、次期型BMW M3とM4。プロトタイプを運転した第一印象は、従来以上に刺激的なものだった。

BMW M3 プロトタイプのスペック

価格:6万5000ポンド(858万円/予想)
全長:−
全幅:−
全高:−
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:−
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:−
パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:480ps/5950-7200rpm
最大トルク:61.1kg-m/2600-5950rpm
ギアボックス:8速オートマティック


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