緊急事態宣言が解除されたとはいえ、自粛生活を強いられた約3か月。その間に「体力が落ちた」「疲れやすくなった」「物忘れがひどくなった」「うつ病気味になった」といった不調を自覚し始めた人々は実に多い。これらがリカバリされないままだと、社会全体に停滞をもたらすことは必至だ。男性300人へのアンケート結果と具体例から“コロナぼけ”、アフターコロナ症候群の実態をみていこう。

◆電車に乗れなくなる、筋力低下、血圧上昇……体にともる危険信号

 在宅勤務中、身体機能が大幅に衰えたことにより日常生活に支障をきたす例が増えている。アンケート結果で、回答数の多かった「通勤したくなくなった」(104人)は顕著な例の一つだ。

 2月末から約3か月間の在宅勤務をしていた会社員瀬戸内宏伸さん(仮名・42歳)。緊急事態宣言解除に伴い、ついに会社から「とりあえず一度出勤するように」と通達され久々に朝の通勤電車に乗った。時間差通勤などもあり以前のようなラッシュではなかったが、瀬戸内さんは突然目まいに襲われ、その場にへたり込んでしまった。その上「この人、コロナかも」と思われたのか、手助けをしてくれる人は皆無。次の駅で下車してホームのベンチで休んでいたが回復せず、結局会社を休んでしまった。

「驚いたことに、私と同じ症状に見舞われた同僚が2人いました。それ以降、電車に乗るのが怖くなってしまって……今後も通勤できるか不安なので、会社を辞めるかもしれません」

 一方、開業を目指し、ラーメン店で修業中の伊藤和也さん(仮名・38歳)も同じく「復帰できる自信がない」と話す。理由は、自宅待機中に運動機能がひどく衰えてしまったからだ。自室でつまずいたり転ぶことが増えたが、深刻なのは、コップや皿をよく落とすこと。つかんだつもりが落としてしまい、割った食器は数十枚にも及ぶという。伊藤さんは「現場では7時間くらい立ちっぱなしだったし、中身の入った重たい丼を両手で持つなどして自然と筋力がついていたのだと思います。一応、YouTubeを観て筋トレなどをしてますが、手遅れのような気がしています」と嘆く。

◆「肉が食えなくなる」ナゾ症状を訴える例も

 食べる力が衰えたという例も。佐藤真司さん(仮名・45歳)の仕事後の楽しみは、お気に入りのキャバクラ嬢と焼き肉を食べに行くことだった。自宅で過ごすようになってからは、ネットなどで牛肉を取り寄せて食べてみたが、喉を通らなかった。

「そこで初めて、俺は肉ではなく、女のコと焼き肉をつつくのが好きだったんだなと気づきました」

 そして先日、久々に現場復帰の知らせを受け、さっそくキャバ嬢を呼び出し焼き肉店へ。だが、着席して10分で帰りたくなったという。

「肉の焼ける臭いで胸やけし、早く帰って寝たい、テレビ観たい……と思っている自分に驚きました。いつもなら肉を食べながらその先のことを考えて興奮することもあったのに……。カネだけ置いて先に帰ってしまいました」

◆同居の親にこき使われ、ストレスで血圧上昇

 もともと在宅中心の仕事でも、外出自粛で劣化が加速するケースも。ウェブデザイナーの金田雄一さん(仮名・50歳)は自粛中、一睡もできない日が続いた。

「同居の高齢の母親が、私が常に在宅しているのをいいことに通常の何倍も用事を頼んでくるようになったのが原因だと思います。それにより仕事が頻繁に中断され、ストレスが溜まる一方でした」

 そしてある日は、頬が真っ赤に火照り、足がフラつき、頭痛と吐き気が同時に襲ってきた。

「『いよいよコロナ感染か』と思い熱を測ると平熱だったため、血圧を測ってみると、なんと上が252に! 急いで病院に駆け込むと『よく血管が切れなかったね』と言われるほど危険な状態でした」

 睡眠薬を処方され、ようやく熟睡できるようになったが、血圧はいまだ160と高め。体調が戻る兆しもないようだ。

 コロナウイルスに罹患せずとも、身体機能は着実に奪われていた。

 擬似的ベッドレスト状態による筋力と内臓機能の低下。そしてストレス耐性も下がっていく。

<自粛後に身体面で衰えた点>
※35~55歳男性300アンケート(都内近郊・5月下旬に実施・複数回答)

・体力が衰えた 157
・通勤したくなくなった 104
・体が太った 102
・疲れやすくなった(もしくは回復しにくくなった)85人
・長距離を歩けなくなった 35人
・記憶力が衰えた 33人
・言葉がうまく出なくなった 33人
・視力が落ちた 29人
・白髪が増えた 27人
・思考能力が衰えた 24人
・趣味を楽しめなくなった 22人

<取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/根田拓哉 モデル/豊沢朱門 アンケート協力/リサーチプラス



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