「世界一長寿の結合双生児」として、2014年に63歳でギネス世界記録に登録されたロニーさん(Ronnie)とドニー・ガリヨンさん(Donnie Galyon)が今月4日朝、米オハイオ州デイトンのホスピスで68歳の生涯を閉じた。『WHIO』『Dayton Daily News』などが伝えている。

米オハイオ州デイトンでロニーさんとドニー・ガリヨンさんが誕生したのは、1951年10月28日のことだった。両親は男児が双子であることも結合双生児であることも知らず、帝王切開による出産だった。2人は胸骨から鼠径部にかけて結合し、心臓、胃、肺などは別々で、脚と腕は2本ずつあるものの、へそ、小腸、膀胱、男性器を共有していた。医師は分離手術が可能であるかを調べるため2人を2年間入院させたが、「手術はほぼ不可能」との判断が下り、双子は結合したまま一生を過ごした。

ガリヨン一家は子供が9人と大所帯で、父親はロニーさんとドニーさんが4歳になるとサイドショー(見世物小屋)に出演させて生計を立てた。両親は2人を学校へ行かせたかったが、学校から「他の児童が集中できないから」と入学を拒否され、ロニーさんとドニーさんは読み書きを学ぶことがないまま育った。

1970年代サイドショーが米国内で下火になると、2人は中南米まで足を延ばし、1991年に引退するまでエンターテイナーとして活躍した。この頃の生活について2人は「多くの素晴らしい仲間と巡り会うことができ、楽しかった。ショーでは僕たちはヒーローだったんだ。それに自分たちの稼ぎで一家を支えたんだからね。誇りに思ってるよ」と振り返っている。こうして35年間の興行で稼いだお金で家を買い、2人はオハイオ州デントンに住む11歳下の弟ジミーさんの近くに移り住んだ。39歳だった。

ジミーさんは兄2人について、こう語っている。

「2人が引退してからは、買い物でもなんでも協力できることはしたんだ。今までずっと世話になったからね。恩返しという気持ちもあった。でも2010年にロニーが肺血栓を患ってから、2人はずいぶんと弱くなってね。兄を我が家に迎え入れることにしたんだ。2人のことをジロジロ見てきたり、嫌がらせを受けたこともあったけど、優しい人たちも大勢いたよ。その時はNPO団体『Christian Youth Corps』が協力してくれてね。200人のボランティアがやってきて、私と妻が住む家を2人が住みやすいように改築してくれたんだ。コミュニティの助けによって兄と10年間も一緒に暮らせたんだから、本当に感謝しているよ。」

『All That’s Interesting』によると、24時間いつも一緒の2人が言い争いをすることはしょっちゅうで、殴り合いになることもあったようだ。しかし2010年に体調を崩し血栓溶解薬を服用するようになってからは、お互いの身体を労わるようになったという。またテレビを2台用意してそれぞれが違う番組を見るなど、性格や興味もかなり違ったようだ。それでも2人は“ベストフレンド”であり、医師に「医学の進歩により分離手術ができるかもしれない」と勧められても、頑なに断り続けたそうだ。

ここ数年は関節炎を患い外出もめっきり減っていた2人は、今月1日から体調を崩してホスピスに入院し、3日後に息を引き取った。結合双生児は約40%が死産で、約35%は生後1日で死亡すると言われるが、68年を生き抜いた2人はまさに偉業を達成したといっても過言ではないだろう。

画像は『Daily Star 2020年7月4日付「Record-breaking oldest-ever conjoined twins Ronnie and Donnie die aged 68」(Image: five)』『MLive.com 2019年4月3日付「World’s oldest conjoined twins answer frequently asked questions」(Photo courtesy of Galyon family)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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