新型コロナウイルスの感染拡大で延期されていたF1が約4カ月遅れで開幕した。舞台はオーストリアGP。開幕戦が欧州内で実施されるのは1966年以来、実に54年ぶり。今年も南半球オーストラリアGPが3月に初戦として設定されていたが、フリー走行開始直前に中止が決まり、開幕時期が7月にずれ込んだ。

初表彰台を逃したレッドブルホンダのアルボン(ホンダ提供)

・今すぐ読みたい→
F1日本GPが中止決定した反面、F1側が中国GPを中止にできない理由とは https://cocokara-next.com/athlete_celeb/reason-why-china-gp-cannot-be-canceled/

 オーストリアGPの決勝は5日にレッドブルリンク無観客レースとして実施された。ホンダからパワーユニット(PU)の供給を受ける地元グランプリのレッドブルは、優勝候補として呼び声が高かったものの、結果は2台ともゴールにたどりつけなかった。

 エースのマックス・フェルスタッペンオランダ)は序盤で2番手を走行していながら、11周目に電気系トラブルに見舞われてリタイア。相棒のアレクサンダー・アルボン(タイ)も終盤まで2位争いを繰り広げていたメルセデスの王者ルイス・ハミルトン(英国)にぶつけられてスピン。上位戦線から脱落し、直後にPUの電気系と見られるトラブルでストップ。記録上は13位だった。

 特にアルボンは同情を禁じ得ない。接触したハミルトンには接触行為に対し5秒加算のペナルティーが科されたのだが、被害者となったアルボンには何も救済はない。レッドブルクリスチャン・ホーナー代表も「悔しくて言葉が出ない。優勝を逃した。(ハミルトンへの)5秒ペナルティーは何の意味も持たない。ハミルトンには謝罪をしてもらいたい」と怒りをぶちまけた。

 ホンダ陣営ではレッドブルジュニアチーム的存在のトロロッソ改めアルファタウリの2人も入賞争いをしていたが、ダニール・クビアト(ロシア)が終盤にパンクで離脱。唯一、チェッカーフラッグを受けて7位入賞を果たしたのはピエール・ガスリーフランス)だった。

マスク姿で陣頭指揮するホンダの田辺豊治テクニカルディレクター(ホンダ提供)

 サーキットは標高が高く、空気の薄いレースでの相性の良さが喧伝されていた。それだけにホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは「3台リタイアという非常に厳しい結果となりましたが、発生したトラブルをすべて解析し、対策を打った上で、来週末に行われるレースに臨みます」とマシントラブルが出たことに悔しさをにじませた。

 優勝はメルセデスバルテリ・ボッタスフィンランド)で、2位はフェラーリシャルル・ルクレールモナコ)。3位には自身初表彰台となるランド・ノリス(英国)が入った。ちなみにハミルトンは2番手でゴールしたものの、レースタイムに5秒が加算されたことで4位に沈んだ。チェッカーを受けたのは出走20台中11台(完走扱いは13台)だった。

 次戦の舞台もレッドブルリンクだ。今年は当面は前半8戦の日程が固まっており、オーストリアと英国で2週連続開催のダブルヘッダー戦が実施される。同一サーキットでの2週連続開催はF1史上初。F1は1国1開催が原則とされており、12日決勝のオーストリア2戦目はサーキットのある州名を使って「シュタイアーマルクGP」の名称で開催される。

 決勝終了後はホームストレート上に表彰台が設営され、そこでマスク姿の選手3人がシャンパンファイトを繰り広げた。通常はピット棟の上に表彰台は用意されるが、ソーシャルディスタンスを踏まえると、コース上でそのまま実施する方が理にかなっている。それにサーキットが大都市から離れた山間部にあったために、大きなトラブルも起きなかった。今のところ関係者のコロナ感染の知らせも届いておらず、無観客興行としては成功したとみられる。

[文・写真/中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

・今すぐ読みたい→
F1日本GPが中止決定した反面、F1側が中国GPを中止にできない理由とは https://cocokara-next.com/athlete_celeb/reason-why-china-gp-cannot-be-canceled/

F1が約4カ月遅れで遂に開幕 ホームストレート上の表彰台でマスク姿の選手3人がシャンパンファイト!