暗闇に閉ざされた海の深淵には我々の想像もつかない奇妙な生き物が潜んでいる。
今回、太平洋の深海で発見された新種は、単細胞生物でありながら20センチにも及ぶ種がいることで知られる「クセノフィオフォラ」という原生生物の仲間だ。
新種は4種で、そのうち3種のために2つの新しい属まで設けられた。
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未知なる生物たちのホットスポット
ハワイ南方、太平洋海底に横たわる「クラリオン・クリッパートン断裂帯(CCZ)」は、キリバスとクリッパートン島とほぼ同じ緯度を東西7240キロに渡って走る広大な断裂帯で、貴重な有価金属やレアアースが豊富に存在することで注目されている。
だが、お宝は鉱物資源だけではない。水深5キロの深海に潜む、未知の生物たちである。
たとえば、CCZの深海平原にはクセノフィオフォラという有孔虫の仲間がいる。外来物を殻として身にまとい、単細胞生物でありながら20センチにも達する仲間がいる奇妙な生物だ。
初めて記載されたのは19世紀のことだが、何しろ海の奥底に潜んでいるために、詳しいことはあまり分かっていない。
4種の新種と2属の発見で、CCZに生息するクセノフィオフォラの記載数は17に増えました。ですが、知られていながら記述されていない仲間がまだたくさんいます
と、生態学者のアンドリュー・グッデイ氏(イギリス、国立海洋学センター)は話す。
17という記載数はクセノフィオフォラ全体の2割を占める数で、彼によれば、CCZはクセノフィオフォラのホットスポットであるという。
深淵に潜むもの
海洋観測艦キロ・モアナ号による2018年の調査で発見されたクセノフィオフォラの新種は全部で4種。
そのうちの2種「Abyssalia foliformis」と「Abyssalia sphaerica」は新しい属の仲間で、新たに「Abyssalia」属が設けられた。海の深淵(abyss)に潜んでいることにちなんだ名称だ。
クセノフィオフォラの特徴の1つは、体の分泌物と外部の膠着物がくっついてできた殻(テスト)だ。Abyssalia属の仲間の場合、テストは海綿骨針の均一なメッシュでできており、はっきりと区別される表面層はない。
一方、やはり新種の「Psammina tenuis」と「Moanammina semicircularis」は、デリケートな薄い板のようなテストを持つ。
前者はすでに知られている「Psammina」属の仲間だが、後者はもう1つの新属の種。新しい属の名称「Moanammina」は、ハワイやマオリをはじめとするポリネシアの言葉で「海(Moana)」を意味する言葉にちなんだものだ。
泥団子のようなクセノフィオフォラ
じつはさらに新種と思わしきクセノフィオフォラも発見されていたそうだ。
こちらはまるで泥団子のような奇妙な姿をしていたのだが、残念なことにきちんと調査する前に溶けてしまったとのこと。デリケートで謎に満ちた深海生態系のメタファーのようだ。
これらの発見は『European Journal of Protistology』(2020年8月、75巻)で報告された。
Xenophyophores (Rhizaria, Foraminifera), including four new species and two new genera, from the western Clarion-Clipperton Zone (abyssal equatorial Pacific) - ScienceDirectReferences:eurekalert/ written by hiroching / edited by parumo
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0932473920300456
全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52292405.html
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