声優としても活躍中の鈴村健一(月~木曜)と俳優の山崎樹範(金曜)、フリーアナウンサーのハードキャッスル エリザベスがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」7月8日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「球磨川が氾濫…ダムの必要性を考える」。元経済産業省の官僚で制度アナリストの宇佐美典也(うさみ・のりや)さんに話を伺いました。

※写真はイメージです



熊本県南部の記録的豪雨で1級河川・球磨川(くまがわ)が氾濫。県内各地で土砂崩れや浸水被害が発生しました。今回の甚大な被害を受け、2008年にダム建設計画を反対表明し、2009年に建設中止となった川辺川ダム(かわべがわダム)は、“やはり必要だったのでは……”という声があがっています。

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鈴村:群馬県の八ッ場ダム(やんばダム)は、工事を一時中断していましたが再開して、2019年10月の台風19号で治水効果を発揮しました。こうした事例や例年大雨による被害が相次いでいることから、「ダムの必要性」を訴える声が高まっています。宇佐美さんは、どう思われますか?

宇佐美:“治水”という意味でダムを超えるものは、なかなかありません。球磨川は多くの河川が合流して、そのあと川幅が狭まる地形です。1963年~1965年と3年連続で洪水が発生したこともあり、球磨川の治水の必要性は議論されていました。

そのうえで、ダムが良いか? ということになるのですが、ダムはメリット・デメリットがあります。それに、すべての洪水をダムがカバーできるわけではありません。結局は(ダム建設は)住民が決めることなので、“民主的な存在である”ということを考えることが大事だと思います。

鈴村:一般的なイメージですが、ダム建設の話になると「反対」の声がすごくクローズアップされるイメージがあります。反対の声が根強くあると思いますが、こちらはどう思われますか?

宇佐美:よくダム建設反対運動と言うと、生態系に対する影響や環境問題が第一にあげられますが、それは本質的な話ではないと思っています。ダムが作られる河川の下流域では、現状の自然を前提とした観光や食品産業などが存在しています。そのような方々はダムができると生業が奪われるので、その人たちが反対運動するのはすごく自然なことだと思っています。

鈴村:なるほど。ダムのメリット・デメリットに関して解説いただけますか?

宇佐美:ダムのメリットは大きくわけて3つあると言われています。

<メリット>
①治水
水を貯めることで、大雨のときに河川に急激に水が増える被害を軽くします。

②必要なときに水を使える(利水)
ほかにも、飲み水や干害など必要なときに水を使えるようにするメリットがあります。

③水力発電
水力発電ができるので、メンテナンス費用があまりかからないという技術的なメリットもあります。

<デメリット>
①自然・生態系への影響
ダムは河川を分断して本来の流れを変えてしまうので、必然的に自然や生態系に影響をあたえてしまいます。例えば、“砂浜がなくなった”ということの主因はダムと言われていたりもします。

②漁業や食品産業などへの致命的な影響
あと、一番影響が大きいのは、漁業や食品産業など“水を使う産業”に致命的な影響をあたえてしまう可能性があるということです(放流先の海域において、漁業の漁獲などへの影響が大きく懸念されること……など)。

鈴村:治水においては、番組冒頭で“ダムによる治水”が一番だというお話もありましたが、“ダムによらない治水”は、やはり難しいのですか?

宇佐美:経済的・社会的にダムを上回る方法というのは、ほとんどありません。実際、今回の熊本県の場合、(ダム建設反対を表明した)2008年の段階で、“ダムが一番いい”と認めているわけです。そのうえで、“ダムによらない治水”の方法を考えると、やはりダムより難しい。お金的にも社会的にも受け入れられるのが難しい治水になるわけです。“ダムによらない治水”と言われると、ダムと同じ効果を発揮すると思ってしまいますが、そういうわけではないということです。

鈴村:僕らは、これらにどう向き合うのがいいですか?

宇佐美:先ほど申し上げたように、ダムにはメリット・デメリットがあります。(2008年にダム建設計画に反対・中止した)熊本県にとっても、“ダムによらない治水”というのが苦渋の選択だったはず。ただ、今回の(甚大な被害を受けて)議論をするときに、都合のいいこと、悪いことなどのすべてを俎上に載せて議論したか? ということが問われるところです。やはり、メリット・デメリットがあるので、そこをきちんと議論することが大事なことだと思います。

鈴村:そうですね。これは本当に難しい問題ですよね。どちらにも意見があって、どちらも正しく聞こえますし。人のテクノロジーによって、何かがどんどん変わっていくというのはどうなんだろう? という意識もありますし、でも命を守らなければいけない。これは議論を続けなければいけないのかもしれませんね。

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番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:鈴村健一(月~木曜)、山崎樹範(金曜)、ハードキャッスル エリザベス
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/
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