イタリアで猫が狂暴化、ウイルス感染

イタリアの猫が珍しいウイルスに感染 /iStock

 ウイルスの侵略が止まらない。コロナパンデミックの最中、アメリカで「ウサギ出血病」が広まっているかと思えば、イタリアでは、非常に珍しいウイルスが確認されたそうだ。

 トスカーナ州アレッツォで、ペットの猫が突然狂暴化、飼い主に噛みつくようになり、その後死亡した。検査の結果、この猫から、狂犬病に似たコウモリ由来のリッサウイルスが検出された。

 これを受けて、イタリア当局は、猫や犬の飼い主に対して、普段と違う様子があれば気をつけるようにと注意勧告を出した。また、情報収集のため、保健省は専門家を集めた研究チームを結成した。

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ある日突然狂暴化した飼い猫

 その2歳のメス猫は突然攻撃的になり、飼い主の家族3人に噛みついたほか、呼吸困難・震え・千鳥足といった症状を示すようになったという。

 かかりつけの獣医に対しても攻撃的で、検査のために別の動物病院に搬送されたが、結局発症から4日後に死亡したとのこと。

 脳の検査から、リッサウイルスの一種「西コーカサス・コウモリ・リッサウイルス(WCBV)」が検出された「リッサウイルス感染症」であることがわかったという。

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Pixabay

コウモリが媒介するWCBVリッサウイルス


 リッサウイルスは、ラブドウイルス科リッサウイルス属のウイルスで、現在14種が確認されている。狂犬病ウイルスもその1つだ。

 食虫コウモリや食果実コウモリなどが媒介し、ウイルスは唾液に含まれている。それを宿したコウモリに噛まれたり、傷口を舐められたりしたときに感染する。

 「西コーカサス・コウモリ・リッサウイルス(WCBV)」が初めて発見されたのは、2002年のこと。コーカサス山脈西部に生息するユビナガコウモリから検出され、これまでその一例しか確認されていなかったという。

感染経路は不明

 死亡した猫の飼い主宅付近には、コウモリのコロニーがあったそうだが、詳しい感染経路は不明だ。ただ基本的に、猫は昼も夜も自由に家を出入りできたらしい。

 また、その家ではほかにも猫1匹、子猫3匹、犬1匹が飼われているとのこと。今のところ、一緒に飼われていた子たちに感染した兆候は見られないそうだ。

 ちなみに一般的な狂犬病に関しても、イタリアでは2011年のキツネの事例を最後に感染例はなく、2013年には国内に狂犬病のウイルスはないと判断された。

人間の感染事例はなし

 この事態を受けて、アレッサンドロ・ギネッリ市長は、ネコやイヌの飼い主に対して、ペットの様子に注意するよう発令。

 万が一、リッサウイルスの感染が疑われるようであれば、すぐに報告するよう求めている。人を噛んだり、麻痺の兆候が見られるネコ・イヌは、10日間の検疫にかけられることになる。

 またイタリア保健省は、情報を収集するため専門家による研究チームを発足させたそうだ。

 なお、WCBVが人間に感染した事例は報告されていない。

References:wantedinrome / toscana-notizie/ written by hiroching / edited by parumo

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http://karapaia.com/archives/52292546.html
 

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