ウィズコロナとともにテレワークを継続する企業が増えている中、慣れない在宅勤務で「体調不良を起こしました」と語る人達がいる。テレワークに潜む病気の危険性とは。

◆右耳が聞こえづらい…

 都内のコンサル会社に勤務する浅野琢磨さん(仮名・38歳)は、緊急事態宣言をきっかけにテレワークになった。それから間もなく経った頃、体に異変を感じるようになったという。

「一人暮らしで部屋が狭くデスクを置くスペースがなくて、ローテーブルテレワークが始まりました。しかし、ソファーが低いので床に座って作業するようになって1週間ほど経った頃、朝起きたときに右耳が聞こえづらいことに気付いたんです。最初は単なる耳鳴りかと思い、耳抜きや耳掃除をしたのですが治る気配はなく、さらに2日後には左耳も……。テレビの音量を普段なら22で十分なのに30近くまで上げても全然聞こえないので、これはマズイとなり病院に行ったんです。

 聴力検査で高い音や低い音を交互に聞かされて、その結果、内耳にリンパ液がたまっていてメニエール病と診断されました。メニエール病って目眩のイメージがあったのですが、言われてみればテレワーク中に何度か立ちくらみがあったんですよね。医師によると右耳の聴力がかなり下がっていたようで……1週間分の薬を処方されました」

 診断されてから最初の1週間は、かなり苦労したと話す。

「電話やオンライン会議の声が全然聞こえないんですよ。相手の声が籠もっているようになってしまい、1回じゃ聞き取れなくて、会議は録画して何度も見直しました。友人や彼女との連絡もLINEのみ。テレビは音量を上げると近所迷惑になるので、感染情報やニュースネットで見ていました。目眩もつらくて、スーパーへ向かおうと歩いてる時に急に立ちくらみがするんです。家で仕事中にふと目眩と吐き気に襲われて、ソファーで横になってしばらく動けなかったこともありましたね。

 また、薬は子供用の風邪薬のような液体薬を1日2回飲まなければいけないのですが、とにかく甘ったるくて……。最初は飲みやすいと思ったのですが、途中から甘さが気持ち悪くなってきて、すぐにお茶とか飲んでごまかさないと飲めないくらい苦痛でしたね。さらに錠剤と粉薬も飲まないといけないのですが、何気に薬代が高いんですよね。それに加えて毎回、聴力検査をしないといけないので1回の診察でかかる病院費は5000円ほど。すぐには治らず、4回目の診察でやっと聴力が回復したのですが……。ちょうど、東京の緊急事態宣言解除が発表された頃ですね」

 メニエール病にかかった原因に心当たりはない……と浅野さんは語るが、医師いわく、テレワークでの在宅環境やストレスが原因ではないか? とのことだ。

テレワークであわや死ぬところに

 一方、「テレワークであわや死ぬところでしたよ……」と語るのは、大阪のIT関連会社に勤務する松井浩二さん(仮名・35歳)。解除後もテレワークが継続されていると話す松井さんは、この時期ならではの危険性を身を持って体験したという……。

「機密情報が多いので、テレワーク中は同じ部屋に人がいないことや周囲の音が入らないことが絶対条件です。うちは子供が1人いるし、PCの機材を置くことも考えた結果、納戸で在宅勤務をすることになりました。4月、5月はまだ良かったのですが、6月に入ると急に暑くなったんですよね。締め切った中でエアコンもないし、さらにPCの排熱。あまりの熱さに納戸の中で倒れてしまったんです。最悪なことに妻はパートに出ていて、子供も学校が再開してたので家に誰もいなかった。

 その後、帰宅した子供が納戸で倒れている僕を見つけたのですが、まだ小学生なので救急車を呼ぶことができなかったようです。妻に電話しても、パート中なので出られず。でも、子供がクーラーを入れて納戸のドアを開けていてくれたので、目が覚めた頃には体調は少しマシになっていました。その後、電話に気付いた妻が慌てて帰宅したのですが、時間はすでに20時近く。頭痛が酷かったので、その晩は鎮痛剤を飲んで眠りにつきました。念の為に翌日、病院に行くと熱中症と診断されましたね……」

 現在は熱中症対策とPCの熱暴走対策に備えて置型クーラーを購入したという浅野さん。このようなリスクは夏に向けてますます高まっていくだろう。ウィズコロナの今、企業は在宅勤務の環境のサポートを見直して行くべきなのかもしれない。<取材・文/結城>

浅野さんが処方されたメニエール病の薬の一部