元佐賀大学学長で海洋温度差発電の第一人者である上原春男氏 元佐賀大学学長で温度差発電の第一人者である上原男氏は、2011年6月15日に行われた自由報道協会催の会見で、東京電力福島第1原発事故をめぐる一連の原子力安全・保安院の対応について「わからない」を連発、「(保安院の)頭の構造が理解できない」と強く批判した。原発の全面停止以降、再稼動の是非で揺れる上原氏の地元・佐賀県の「玄海原発」について、そして原発でシビアアクシデント(過酷事故)が起きた場合の対策の是非に関して答えた。一方で、同氏のかつての教え子が保安院に勤務していることを明らかにし、「自分の教え方が間違ったのかと情けなくなり、涙が出る時がある」と自らを責める場面もあった。

 また、上原氏は再生可エネルギーへの転換についても言及。表層と深海温度差を利用してエネルギーを生成する『温度差発電』施設を早急に建設すべきと訴えた。同氏によるとプラントを洋に設置することにより、地震津波災害リスクを回避できるという。さらに全10カ所に大規模太陽光発電所「メガソーラー」を建設する構想を打ち出しているソフトバンク孫正義社長について上原氏は、「一緒にを合わせて国難を救おう」と意見が一致したと述べ、現在、再生可エネルギー政策の推進について「かなり緊密に話をしている」とった。

 上原男氏とニコニコ動画記者七尾功)との一問一答は以下のとおり。

七尾記者: 原発の全面停止から1ヶと1日たちました。停止直後から、点検停止中の原発立地自治体では、それでは自分たちの村の原発はどうなんだ、と再稼動に慎重になっています。例えば先生大学の学長をされていた佐賀県では玄海原発がありますけれども、当該町長が再稼動に積極的であるのに対し、古川(康)知事は非常に慎重な構えを見せています。これは福井新潟の首長も同様で、原発の安全性を説明してほしい、と各首長ともご発言されています。冒頭の先生の中長期的なお話はよくわかりましたが、直近の問題として、技術的な観点から見て玄海原発の再稼動についてどのようなご見解をお持ちでしょうか。

上原男氏: 福島と同じように、なぜ保安院が安全であると判定したかという理由をきちんと教えていただかないと、「安全ですから稼動してください」だけでは多分・・・、私も正直いって納得できませんね。緊急冷却装置がどういうふうに現在なっているか。だからこれは電が停止しても大丈夫です、というようなことを説明してもらって、電はどこにあってどういうふうにしたから、と具体的に言ってほしい。皆さんご存知ないかもしれませんけれども、耐震強度というのはガル・・・ガルというのは加速度のことで、ガルで決めるわけですけれども、何ガルで設計がされているのかというデータとか、津波対策も何メートルを想定しているのかとか、具体的にやはり言っていただかないと民は現段階でもやはり安心できないと思います。私自身もデータを出していただかないと、「安全ですか?」と聞かれたら「わかりません」としか言いようがないですね。

七尾記者: 中部電力が14日、原発で炉心が損傷するシビアアクシデントへの対策を保安院に提示しました。福島第1原発の事故では、津波ですべての電が失われて炉心を冷やせなくなり、大量の水素が建屋内にたまって水素爆発につながったわけですが、これを踏まえて中部電力が、水素の漏れ出しに備えて建屋の屋上ドリル60センチ四方のを2ヶ所開け、漏れ出した水素を外部に放出するという対策を提示したらしいのです。しかしながら、これでは結局(水素にまじった放射性物質等も)漏れ出すわけです。大した量ではないからということなんですけれども。を開けるしかないのですか。もう少し賢い方法があるのではないでしょうか。

上原男氏: 私の感覚からいったらね。あなたがおっしゃたようにまさになんでそんな幼稚なことを考えるのかというのが私、実はわからないんですよ。普通の専門からいったら、まず水素が出ないようにしないといけないと思うじゃないですか。水素が出るという前提で物事を考えるということ自体が、私はまずそれがわからない。出た時の対応として普通窒素を入れるんですよ。

七尾記者: 前回の会見でもそうおっしゃってました。

上原男氏: 窒素を入れるんです。それをなぜを開けるのか。私の頭から言ったら、今の人たちの頭の構造が私正直言って理解できないんですよ。

七尾記者: これだと保安院は認めてしまう可性大です。これ開けますと─―。

上原男氏: それがわからないと言っているんですよ。なぜそれを認めるのかということがわからない。とにかくね、私たちは・・・皆さんご存知ないと思いますが、原子力発電というのは日本で初めてのことじゃないですか。ですから初めにそれなりに勉強もして、いろいろな文献も調べて、こういう場合はどうするこういう場合はどうするということを、かなり対策を立ててきたはずなのに。大体水素が出るということをなぜ考えるのか、というのが私わからないんですよ。そこからわからないんですよ。なぜそのを開けるか・・・そのへんに至ったら本当にこの人たちは専門なのかなと言う・・・いろんな発言を見ていても。私は大学で学士を教えましたので。教え方が悪かったのかなぁと思って。

七尾記者: もしかして先生の教え子さんたち、(保安院に)いらっしゃるんですか。

上原男氏: 自分で自分の教え方が間違ったのかなと思って、時々そちらのほうで情けなくなって涙が出る時があるんですよ。私の女房なんか「あんたの教え方が悪い」といって怒られますけど。女房から怒られてもねぇ。要するにもう今は本当に私の頭の中と現実が違うもんですから、非常に混乱をしています。いろんなことに対してね。いろんな・・・。これは政府に対しても、なぜそういう発想をするのかがわからないんですよ。

七尾記者: はじめの段階からして違う─―。

上原男氏: 私の時代とは違うんですよね。

七尾功

関連サイト
・[ニコニコ生放送]七尾記者の質問から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv53276438?ref=news#53:38
・[ニコニコ生放送]上原男氏の「温度差発電」の説明部分から視聴 - 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv53276438?ref=news#1:10:55

元佐賀大学学長で海洋温度差発電の第一人者である上原春男氏