TISと日本マイクロソフト7月8日ヘルスケア業界のデジタルトランスフォーメーションの推進に向けて連携すると発表した。

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 両社は、パーソナルヘルスレコード(PHR)分野でヘルスケア情報の取り扱いで要求される各種ガイドラインに準拠したクラウドベースの技術を「ヘルスケリファレンス アーキテクチャー」としてパートナー企業に提供することで、システムやデータの最適化、イノベーションの加速を支援する。

 ヘルスケリファレンス アーキテクチャーは、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を利用したヘルスケアサービス開発に必要となるシステム共有部分を定型化したもので、7月8日からGitHub上で公開され、無償で利用することができる。

 これにより、ヘルスケア業界向けサービス提供者は、PHRで求められるセキュアで統一された基準でのシステム構築が可能になるほか、システム構築期間を短縮し、運用と開発コストを削減できる。また、臨床関連の6学会による「生活習慣病コア項目セット集(第2版)」「生活習慣病自己管理項目セット集(第2版)」と、経済産業省の「健康情報等交換規約定義書」を参照したサンプルプログラムの利用が可能となる。

 ヘルスケア業界にとっては、同業界向けにサービスを提供する企業へのヘルスケリファレンス アーキテクチャーの提供を通してPHRの標準化を推進し、相互運用性を向上して、データの有効活用を促進することができる。

 また、日本マイクロソフトでは、業種ごとに最適な方法で顧客のデジタルトランスフォーメーションを支援するために、パートナー企業とのエコシステムの構築を推進しており、今回、その取り組みの一環として、ヘルスケアリファレンスアーキテクチャーを理解し、技術活用できる技術者の育成を目的に、7月下旬から「ヘルスケリファレンス アーキテクチャ技術者育成プログラム」をTISと協力して開始する。

 このプログラムでは、ヘルスケリファレンス アーキテクチャーのコンセプトから、国際標準規格でもあるHL7 FHIRの情報提供、AIやIoTをはじめとする先進テクノロジを活用したシステム構築や実装まで、総合的なトレーニングを提供する。TISは、同プログラムに向けたトレーニングコンテンツの開発に協力する。

 今後、日本マイクロソフトとTISは、ヘルスケリファレンス アーキテクチャーの提供を通じ、ヘルスケア業界向けにサービスを提供する顧客のPoC(概念実証)や、PoCをきっかけとした事業化に数多く携わることで、PHR取扱の標準化への貢献を目指す。また、この活動を通じて蓄積したノウハウから、さらなるリファレンス アーキテクチャーの拡充と普及、PHR取扱の標準化を進め、健康寿命延伸という社会的課題に向けたヘルスケアエコシステムの活性化を推進していく。