◆ビザのない外国人への偏見が強い日本

入管収容施設の窓からこちらを見る被収容者たち。彼らは本当に犯罪者か?

 出入国在留管理庁(入管)の収容施設では、ビザのない外国人たちが長期に渡り無期限に閉じ込められている。そこには、どんな人たちが収容されているのだろうか。

 難民申請が却下された人や、職場で日本人経営者に暴力を受けたり搾取されたりした実習生や留学生。やむを得ず逃亡した人、日本人配偶者との離婚によりビザが更新できなかった人。そのほか刑事事件や何らかのトラブルによりオーバースティになってしまった人など、とても一口では言いきれないほどさまざまな理由を抱えている人たちがいる。

 日本では、ビザのない外国人に対する偏見が強い。良くないのは、事実を知ろうとせずに「悪いもの」と決めつける傾向があることだ。

 例えば、収容されている人たちについてネット上などで「不法入国」「正規の手続きで入ってこい」「密入国するからいけない」と悪意を込めた意見を述べる人がかなり多い。

織田朝日氏のTweetに寄せられたリプライ

 しかし、これはちゃんと根拠をもとにした発信だろうか? よく知らないで、ただの思い込みで言っているのであれば、それは差別の助長であり、タチが悪い。

◆難民は、正規のビザを用意することができない場合もある
 そこで外国人支援団体「SYI(収容者友人有志一同)」が、いわゆる入管白書、最新版の『出入国在留管理』(2019年度版)をもとに調べてみた。

入管白書、最新版の『出入国在留管理』(2019年度版)をもとにSYIが調べてみた

 最新の2018年データによると、入管法違反者1万6269人、うち「不法残留」1万4353人、「不法入国」409人「不法上陸」140人。つまり、ビザのない外国人の中でも不法入国はたった3%に過ぎず、非常に少ないと言える。

 しかもその3%の中には難民が含まれている場合もある。難民は、正規のビザを用意することができない場合もある。急いで危険な母国を離れるために、ブローカーに多額の金を支払い、偽装パスポートで入国せざるをえない。

 しかし、日本も曲がりなりにも難民条約を結んでいる国だ。難民という立場、その人のバックグラウンドを十分に配慮しなければならない。

【難民条約(難民の地位に関する1951年の条約)第31条(抜粋)】
 許可なく当該締約国の領域に入国しまたは許可なく当該締約国の領域内にいるものに対し、不法に入国しまたは不法にいることを理由として刑罰を科してはならない。

 ちなみに、長く入管の面会活動をやっている筆者でも、「不法入国をしている」という人の話はほとんど聞かない。だいたいの人は正規の観光ビザで入ってきて、何らかの形で更新できずオーバーステイになってしまった人がほとんどだ。

◆日本のやり方は、難民条約や国際法上の原則に反している

入管前で、強制収容に抗議する人たち

 また、「なぜ日本を選んだのか」と疑問に思う人もいるだろう。これもまた理由はさまざまではあるが、日本のビザは比較的早く取得しやすく、「急いで母国を離れるには日本を選ぶしかなかった」という証言をよく聞く。

 ところが日本に来るのは簡単でも、入ってしまえばそうはいかない。入管は空港で、相手が難民だとわかると追い返してしまうことがある。いくら帰るように促しても、どうしても帰れない人は入管の収容施設行きとなる。

 2018年パキスタンから逃れてきた男性が、観光ビザで羽田空港に上陸した。彼は何の理由も教えてもらえることなく東京入管に連れていかれた。そのまま1年以上も収容されたというケースもある。

 日本は難民条約やノンルフールマン原則(「難民を、迫害が予想される地域に追いやってはならない」という国際法上の原則)に反していると言える。また入管は、被収容者に対する虐待的な扱いについても国連から再三、勧告を受けている。

「これは日本のやり方だ」と思考を完結させないで、外国人であれど人間を苦しめるやり方が本当に正しいのかどうか、日本にいる1人1人が考えなければならない課題ではないだろうか。この人権侵害は日本で行われていることだからだ。

 ただ思い込みやイメージだけでものを言うのは非常に簡単だが、相手からしてみれば身に覚えのないレッテルを張られることは、この上ない苦痛でしかない。

◆「外国人犯罪」の8割が「入国管理法違反」。一般の犯罪は全体の0.4%程度 
 国際人権団体「アムネスティインターナショナル日本」のウェブサイトには、「『外国人犯罪増加・凶悪化』のウソ」と題したページがあり、そこにはこう書かれている。

「総検挙人員に占める外国人の割合は2%前後で、ここ15年ほどほとんど変化はありません」「外国人の特別法犯の8割は入国管理法の違反であり、これは日本国籍者にはほとんど適用されません」

 これをもとに単純計算すれば、日本人と同じ一般の犯罪(入管法違反ではない)を犯す外国人は、0.4%程度しかいないということになる。

 同サイトには「日本のマスコミは、『外国人犯罪』を日本人の犯罪以上に大きく取り上げたり、『外国人犯罪過去最多』『急増』という警察発表を検証することなくそのまま報道する傾向があると指摘されています」とも書かれている。

 正しい知識を持たないで人に悪意をぶつける人間は本当に卑劣だ。知りもしないで、一方的犯罪者扱いされることは誰でも耐え難いことである。

<文・写真/織田朝日>

【織田朝日】
おだあさひTwitter ID:@freeasahi外国人支援団体「編む夢企画」主宰。『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』(旬報社)11月1日に上梓

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