サッカーにおいて、1試合で3得点以上を決めることを表す「ハットトリック」。元々はクリケットで打者を三者連続アウトにすることをそう呼んでいた。(クリケットにおいて打者を連続でアウトにすることは相当難易度が高い)

サッカー選手にとって、「ハットトリック」は実力を証明する功績でもあるが、そう簡単にはお目にかかれない。

この企画『HAT-TRICK HEROES』では記憶に残る「ハットトリック」を紹介していく。

今回は、元スペイン代表FWのフェルナンド・トーレス氏がチェルシー時代に決めたハットトリックだ。



2012年4月29日に行われたプレミアリーグ第36節のQPR戦。チェルシーは試合開始早々にFWダニエル・スタリッジとDFジョン・テリーの得点で2点を決めると、トーレスもそれに続く。

まずは19分、相手の最終ラインの綻びを見つけると、持ち前のスピードでスペースに走りこむ。FWサロモン・カルーの見事なスルーパスに抜け出し、最後は得意のGKとの1対1を制した。

さらに25分、相手守備陣のミスを見逃さず、ゴール前でボールを奪うと、左足で無人のゴールへと放り込んだ。

エンドが変わった64分、相手の最終ラインの背後を取ったトーレスはMFフアン・マタのスルーパスに反応。スピードで相手を置き去りにすると、しっかりとGKとの1対1を決めきった。

チェルシーでは中々リーグ戦で結果を残せなかったトーレスだが、この日はリバプール時代を彷彿とさせるような裏への抜け出しと決定力を見せ、5000万ポンドの移籍金に見合うことを証明してみせた。これにはクラブオーナーローマン・アブラモビッチ氏もスタンドで満面の笑みを浮かべている。

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