7月1日より始まったレジ袋有料化。初日は全国各地のスーパーで対応が話題になったのも記憶に新しいのですが、レジ袋有料化によってクローズアップされるものがごみ袋。自治体によっては異なりますが、ごみを捨てるときはレジ袋に入れてという方は多くおられるのではないでしょうか。かくいう筆者も全国津々浦々で住んできましたが、ごみ捨ての際はレジ袋のお世話になったものです。

 さて、そんなごみ袋ですが同じく7月1日にリニューアルをしたとある自治体のごみ袋のデザインが大きな話題となりました。

【さらに詳しい元記事はこちら】

 「ええ~!!!何?!この男鹿市のゴミ袋~!!!めちゃくちゃ可愛いんですけど~!!!」

 そう絶叫しながら投稿したのは秋田県男鹿市在住のなもみはぎ丸さん。なもみさんが投稿したゴミ袋ですが、確かにごみ用という記載はあるものの、袋の色はピンクでなまはげが描かれており、まるでどこかのノベルティグッズのような愛らしいデザインとなっております。「作ったの誰~!!!」となもみさんが気になるのも頷けますね。一体誰が作ったんでしょうか?

 「私!!!」

 そう、実は投稿者のなもみはぎ丸さんはこのゴミ袋を作った人。実はなもみさんは男鹿市の地域おこし協力隊の一員として昨年まで男鹿市役所で臨時職員として勤務されていたとのこと。ちなみに地域おこし協力隊というのは、地方暮らしに興味のある都心部の若者向けに国が補助金を拠出して地方自治体がその補助金を活用して、実際に雇用してみるという制度で2009年より総務省から制度化されました。

 そんななもみさんですが地域おこし協力隊所属の頃はデザイン担当として様々な活動をされていたとのこと。ちなみにその一部を創作物関連の販売サイトであるBOOTH内でも販売されております。

 そんな経緯もあり、なもみさんは男鹿市側の担当者から依頼されたそうです。しかし今回デザインを起こす際に使用してほしいといわれたのがなんと「なまはげ」。

 「なまはげ」とは、冬の時期になまはげのお面に藁の衣装をまとった村の若者が出刃包丁片手に民家を訪れる……という秋田県男鹿半島の伝統行事の「神の使い」。国の重要無形民俗文化財に指定されているほか、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。しかし、いくら男鹿が全国に誇る文化財とはいえ、これをゴミ袋に描いていいのかと悩んだそうです。

 なぜ「なまはげ」にしたのか?今回編集部では男鹿市側の担当者の方にも事の経緯を伺いました。

 今回お答えいただいたのは男鹿市生活環境課の方。実は男鹿市は家庭ごみの1人1日あたりの排出量が県内ワーストで、これを改善するために家庭系ごみの有料化に踏み切ったとのこと。その上でごみ袋もデザインを一新することとなり、「あえて男鹿市にとってのシンボルであるなまはげを起用することでごみ減量に繋げれば……」と決断したのだそう。そこで声をかけたのが、地域おこし協力隊でデザイン関係を担当していたなもみさんでした。

 ちなみになもみさんのイラストの腕前は男鹿市の職員の中ででも評判で、今回の件は男鹿市長からも「お願いしてみては?」と話があったそうです。すごい!

 そのような経緯もあって内容を一任されたなもみさんがデザインしたなまはげゴミ袋ツイートですが、Twitter上では大反響。「かわいい!」「ごみを入れて出すのが躊躇しちゃうレベル」「男鹿市民じゃないけどお土産に買いたい」と大きな話題となりました。

 またこのごみ袋には目の不自由な方向けに、どのごみ袋か分かるように袋の横部分に燃えないごみは×、資源ごみには〇といった突起を施しており、バリアフリーにも対応しています。

 今回の反響には担当者としても大変驚いたそうで、「ごみ減量について意識してもらうきっかけ作りができました。担当として本当に嬉しいです」とのこと。また最後に担当者の方はこう言っておられました。

 「”ごみ”というフレーズは一般的にはあまりよくない印象を持たれます。でも今回のようなイラストでイメージアップに繋がったと感じます」

 ちなみになまはげといえば「悪い子はいねえが~!!」という掛け声も有名。ひょっとしたらこのごみ袋を見てそれを思い出すのかもしれませんね。

<記事化協力>
なもみはぎ丸さん(@kmkanikti)

男鹿市生活環境課

 

(向山純平)

「なまはげ」を採用した秋田県・男鹿市の新ごみ袋 可愛すぎて「お土産に買いたい」との声も