―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―


◆あまりにも短かったカーマニアの春

 無人の荒野を行くが如く高速道路ガラガラだった今年のGWは、新型コロナの怖ろしさとともに、自粛のお願いだけでここまでできる日本人の美徳を再確認しました。加えて、カーマニアは秘かに「クルマ持っててよかった!」「渋滞しない道路最高!」と歓喜しておりました。しかし、そんなカーマニアの春は終わりました。短い春でした、涙。

永福ランプ(清水草一)=文 Text by Shimizu Souichi

◆渋滞復活で天国から地獄へ! 今年の夏の渋滞はどうなるのか?

 うおおおお~っ! この世から渋滞が消えてしまった……。

 今回のコロナ禍は、大都市圏に住むカーマニアにとって、そのような形で現れた。つまり天敵の消滅である。時節柄口には出せなかったものの、「(道路は)天国だ……」というのが、実感でございました。

 なかでも首都高は、「県をまたぐ移動の自粛」が叫ばれていた最中でも問題なく走れた。近県のドライバーだって、感染の中心地に行くんだから、「コロナを運んでくるな!」と石を投げられることもない。ドライブが主目的で首都高から降りなければ、3密とも無縁。ホントに気持ちよく走らせていただきました……。

 警視庁は「ルーレット族の取締強化」に乗り出したけれど、ルーレット族なんて実際にはほぼ絶滅しているし、首都高の一部PAが閉鎖されたところで、痛くも痒くもありませんでした。

 GW中の高速道路の交通量は、首都高で前年比4割減。NEXCO3社+本州四国連絡高速道路(本四)にいたっては7割減! ともに自然渋滞は完全に消滅したのであります

 ただ、緊急事態宣言が解除されてからは、交通量が徐々に回復している。当たり前のことですが。

 首都高に関しては、平日の交通量は漸増し、6月第3週時点で、約10%減まで戻っている。ボチボチ朝夕の渋滞も復活。それでも交通量が1割少なければ、渋滞はいつもの半分かそれ以下。時間帯さえ選べば、まだ天国は続いていた。

 NEXCO3社+本四の交通量も、平日に限っては15%減あたりまで回復したが、休日だけは30~40%減が続いていた。つまり、お仕事需要は回復しても、レジャー需要はまだまだで、このぶんなら当分戻らない(渋滞しない)だろうと考えていた。

 が、「県をまたぐ移動の自粛」が解除されて初の土曜となった6月20日。「えっ、こんなに急に!?」という感じで、渋滞が戻ってきたのです。ほぼ首都圏限定だけど。

 一番渋滞が激しかったのは、東京湾アクアラインだ。房総は首都圏における最も手近なレジャーの目的地。天気が良かったこともあり、「とりあえず千葉でも行こっか」という感じで、遅めに出発した人が多かった模様。そのぶん下りの渋滞の開始も遅く、午前10時くらいから急に激しくなった。

 私も急遽、アクアラインに向けて出撃したが、首都高湾岸線で「海ほたるまで120分」の渋滞表示を見て、つい回避ルートを取ってしまった。渋滞回避研究家の性であります

 この日(6月20日)の首都圏の交通量がどうだったかというと、対前年比で見ると、首都高で90%、NEXCOで93%。つまり例年並みまでは戻っておらず、前年比で増えたのは、アクアライン京葉道路館山道のみ。近場の日帰りレジャーの目的地として、千葉方面に需要が集中した形になった。

 翌21日の日曜日首都高84%、NEXCOが91%へ低下。土曜日は、県をまたぐ移動の自粛解除による解放感と、好天の効果が大きかったことがうかがえる。日帰りは増えているが、宿泊をともなうレジャーは、まだまだこれからという感じでしょうか。

 果たして今後、渋滞はどれくらいのペースで戻ってくるのだろう。

 この夏は、学校の夏休みの短縮の影響で、レジャーのお盆時期への集中が必然だ。政府が実施する予定のGO TOキャンペーンもある。移動手段も、密になる鉄道や飛行機よりクルマが選ばれることは間違いないので、お盆には例年以上の渋滞になるかもしれない。これまで公共交通機関を使っていた層がクルマに切り替えることで、慣れてないドライバーが増加し、上り坂での速度低下などによって、交通量の割に渋滞が増す可能性も高い。

 ただ、多くの人は、まだそんなに遠くへは出かけないだろうから、渋滞も近場に集中するはず。どうせなら遠くに出かけて、経済活性化に貢献しましょうか?

新型コロナ緊急事態宣言

▼移動自粛でGWの高速道路は渋滞ゼロ

 今年のGWは、渋滞ゼロどころか交通量が前年比60%減! 東京近郊でも高速道路はスッカスカ!(5月2日東名高速首都高ガラガラになり、カーマニアがヨロコビを噛みしめながら走っておりました。

緊急事態宣言解除

▼それでも首都高ガラガラ

 緊急事態宣言解除だけでは交通量は戻らず、首都高は相変わらず渋滞が激減していた6月前半。大井JCTを比較すると交通量は激減したように見えたが、実際には2割減った程度。

◆移動自粛解除後初の週末

▼さっそく渋滞が戻ってきた! 今年のお盆渋滞やいかに?

 県をまたぐ移動の自粛解除でいきなり交通量が復活! それも千葉方面に集中! 東京湾アクアラインは例年以上の大渋滞に。ただし渋滞したのは首都圏だけで、それ以外は中京や関西を含め、渋滞はほんのわずかでした。

【結論!】
追加情報ですが、日本最大の渋滞ポイントである東名・大和トンネル付近は、「オリンピックまでの拡幅完成」が目標でしたが、新型コロナオリンピックの延期により、完成が「今年中」に変更されております。ガックリ。

【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―


移動自粛でGWの高速道路は渋滞ゼロ(写真は5月2日の東名高速)