欧州諸国の新型コロナウイルス(以後、コロナ)感染は、スウェーデンを除き、収まりつつある。

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 感染爆発時には、1日の感染者数が、英国(6000~9000人)、ドイツ(4000~7000人)、フランス(5000~7000人)、スペイン(6000~9000人)、イタリア(4000~6000人)であった。

 軒並み日本の400~700人の約10倍だったものが、現在では数百人規模に減少し、日本が200人前後で推移していることに比べると、大幅な減少になっている。

 そして、欧州諸国では、都市封鎖から徐々に経済活動を再開し始めた。

 前述の欧州各国では、移民などの外国人が占める割合が約6~10%である。移民の居住区の生活空間は悪く、犯罪も多い。

 感染予防対策の統制が行きわたりにくい中で、よくここまで抑えられたものだ。

 さて、日本はどうだろうか。感染者や死者の総数が、日本は、欧州や米国よりもはるかに少ない。

 PCR検査要領に影響を受けない死者の数値を見ると約10分の1から40分の1だ。この数字を見て、日本の政策や日本人の取り組みは正しかったと言える。

 だからといって、現段階でも正しい、そして安心だとは言えない。

 コロナ対策の最後の詰めの段階になって、経済を動かし始めた時に、最後の詰めの方策が上手くいってはいないからだ。

 感染者首都圏で大きく増え始め、さらに地方へ拡散しつつある。経済を動かし始めたら、小さな綻びから大きな裂傷に広がりそうな気配がある。

 では、どうすればよいのか。その答えは、

①欧州諸国のロックダウン後の方策

②いま日本で感染拡大の問題の一つである業種

 に答えがあると考える。

欧州各国のコロナ対策を学べ

 欧州各国は当初、日本方式も採用し、経済活動再開と同時に、国民の行動に対する規制を強めた。

 コロナ感染が拡大し始めた頃には、マスクを着ける人が少なかった。

 日本人がマスクを着ける習慣が「コロナにマスクが、『有効である』『ない』」と論じられてきた。だが、今、世界各国で取り入れられている。

 私は、「新型コロナウイルスが弱くなる環境、強くなる環境」『JBpress( 3月2日)』に、次のように書いた。

「東京に通勤する満員電車を利用する人々から爆発的に感染者が出てもいいはずだが、爆発的な数ではない。想像よりもかなり少ない」

「多くの人々からウイルスが発散されても、列車のドアが駅ごとに開閉され、乗客の移動により、列車内の空気が入れ代わると、ウイルスの数が減少し、感染は減少するのではないか」

 私の記事が発信されてまもなく、乗客が密集する首都圏の私鉄各社およびJRは、車内や駅構内の換気を始めた。当初は、空気を吹き出して流し、次に、窓の一部を開けて、換気を強めた。

 私の原稿を見たベルリンの友人に、地下鉄は相変わらず、列車の出入り口のボタンを押さないと開かないのかと尋ねてみた。以前と変わらないという答えだった。

 だが、約1か月後には、ベルリンの列車もすべて自動でドアが開閉されるようになったと連絡があった。

 つまり、ドイツ鉄道は、空気を入れ替えるために、自動ですべての電車のドアを開閉するようにしたのだ。

 日本の列車が換気を強め、この約1か月後にドイツの列車も換気を行うようになった。日本の手法を取り入れたと考えていいだろう。

 例えば、ドイツを例に取ると、通常マスクをしている人はいなかった。マスクは病人だけがするものだという概念がある。

 コロナの感染が拡大しても、ドイツ人は当初、マスクをしようとはしなかった。欧米はほとんどそうだ。

 だが、4月27日から、交通機関に乗車する時、店に入る時にはマスクを着けることが義務化された。

 最近では、着けていないと罰則が設けられ、守らないと罰金を払う羽目になる。すると人々は、交通機関を降りると、すぐにマスクを取り出す。

 ドイツでは、市民が守らなければならないことは、規則化して、絶対に守らせる対策を取っている。

 日本では、要請、お願いベースなので、守らない人も出て来る。ドイツのように規則化した方が、徹底しやすいだろう。

日本に必要な「詰め」のコロナ対策

(1)特定空間の感染防止策

 日本はこれまで、国民の自発的な予防措置、医療関係者の努力、非常事態宣言措置などが功を奏し、感染爆発は免れた。

 欧州各国のように感染数が多くなかった日本は、現段階で、概ね制圧した状態になっていてもいいはずだ。しかし、そうではなく、再び、感染者が一気に増加しそうで不気味だ。

 日本で感染者が増加している業種はというと、室内が密閉状態になっていて、従業員と客との距離は密接を超え密着している夜の街の歓楽街、新宿や池袋などの接待を伴うバーやクラブだ。

 これらの店の共通点は、窓はすべて閉じられていて、太陽の光は届かない、電気を消せば暗い、窓やドアを閉め切ってあって換気は悪い。室内の環境は、地下の倉庫と同じだ。

 コロナを宿しているとされる蝙蝠が住み着いているのは、日が差し込まない、暗い洞窟の中だ。前述の部屋は、洞窟の環境に近い。

 コロナがいったん入り込めば、店内のどこかに、生き残る可能性はある。人から吐き出されて、物について生き残る可能性も高い、そしてそこに人が触れて感染する。

 こういうところでは、従業員がPCR検査を受け、感染者を店内に入れないこと。同時に、強制的な換気と消毒を行って、昼間には太陽光の紫外線を入れ、ウイルスを消滅させることが必要であろう 。

 接待を伴う飲食店に、「保証金払うから休業してください」の論理は、当面の処置としては仕方がないことではあるが、長期的な対策としては、別の方策、厳しい制約を設定して、営業を再開させるべきであろう。

 私は、各種規定を設けて、守らない場合は、営業させない、守れば営業させるということが必要だと思う。このことが、コロナの感染を止めて、経済活動を行う場合の原則ではなかろうか。

(2)人が密集する空間の感染防止策

 密集せざるを得ない状況では、マスクを着用し、話さないことだ。

 三密の場合には、マスクの着用が必須だ。問題なのは、マスクの着用が要請であることだ。

 交通機関の車内でマスクをしない人、建物内に入る時にマスクをしない人がいる。

 自分は大丈夫と思っている人たちであろう。この小さな油断が、感染を拡大する要因の一つだ。三密の中で、全員がマスクをすると安心もできる。

 前述したように、欧州各国では、交通機関の車内ではマスク着用が条例で決められ、罰則規定もある。

 東京都の事業者向けのガイドラインには、従業員にはマスク着用をお願いされているが、お客への規定はない。

 店などの施設に入る時は、マスク着用を条例で規定すべきであり、事業者は、マスクをしていない人は入れない処置をするか、マスク着用を強要させるべきであろう。

 東京都は、店舗および事業所等(以後、店舗等)がチェックシートに基づき感染防止対策をすべて実施すれば、感染防止徹底ステッカーを取得できるので、それを店舗等の目立つところに貼るように依頼している。

 これも依頼ではなく、条例で定めて、ステッカーがない店舗等には、営業停止命令を出すべきであろう。

 感染防止対策を確実に実施することを条件に、事業を再開できるようにし、実施していない店舗等には、営業を停止させる強硬措置をとるべきだ。

最後の詰めをすべき時

 このようなことをきちんと実施してこそ、経済も再開でき、国民も安心して行動できる。国や自治体が、 「お願いベースでやってください」と言っても、守らない店舗や個人がいる。

 この守らない人たちの数は、概観して1~0.1%以下の極めて少数だ。これらの極めて少数の無責任な行為によって、いつまでも、コロナに打ち勝てずに、経済も動かない状態になってしまうのはとても残念でならない。

 国民や店舗等が実施すべき最小限のことを、法律できちっと規定し、感染を防止し、そして経済を回す。市民も安心して経済活動ができる。買い物をしたり、県外へ移動したりできる。

「生きていくために店を営業する」のだが、無法状態で営業にするのではなく、自治体が定めた感染を予防する手段を実行して、従業員もお客も守って営業することが、非常に重要なことだろう。

 このための法律や条例を定めるのが政治家の仕事だと考えるが、いまだに強制力がある法律や条例はないようだ。

 中途半端な制約であれば、また、経済を止める緊急事態宣言を「発する、発しない」の騒ぎになる。

 日本では、道路交通法で一時停止や駐車違反をすれば、容赦なく罰金がとられる。一時停止でも、タイヤが完全に停止することなく少しでも動いていれば、反則切符を切られる。

 運転者は車を止めた、警察官は止まっていないという押し問答が続く。東京都の区では、道路上での喫煙を係官に発見されれば罰金(過料)だ。

 コロナの感染防止の方が、前述の規定よりも、厳しく取り締まるべきであるのにもかかわらず、いまだにお願いベースだ。

 国民や店舗などを守るため、いま最も必要とされる規定を制定すべきではないのか。国も地方自治体の議員は、コロナ対策でどんな仕事をしているのだろうか。

 経済を回さなければならない今、この時期に、数が少ないとはいえルールを守らない極めて少数の店舗や人々に、コロナ対策を強制すべきだ。

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