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多民族国家のアメリカでは人種や宗教的差別がたびたび問題となっており、最近では黒人への暴力に抗議するデモ「ブラック・ライヴズ・マター」が記憶に新しい。そんな中、米ミネソタ州のスターバックスではイスラム教徒の女性がバリスタから宗教的差別を受けたとして同従業員と店舗責任者の解雇を求める訴えを起こした。『Washington Post』『Mirror』などが伝えている。

7月1日、米ミネソタ州セントポールにある大手スーパーマーケットターゲット(Target)」内のスターバックスアイスコーヒーを購入したアイシャさん(Aishah、19)は、カップに記載された自分の名前を見て愕然とした。受け取ったコーヒーの名前欄には「ISIS」と書かれていたのである。これはイスラム過激派組織として知られ、イスラム国とも呼ばれるテロリスト集団のことだ。

アイシャさんはすぐさま注文を受けた従業員に詰め寄ったが、「名前が正しく聞き取れなかっただけ」と言われ、さらにアイシャさんが「店舗責任者と話をしたい」と伝えると「過剰に反応しすぎ」と非難されたという。話を聞きつけた店舗責任者は「お客様の名前を間違えてしまうことはたまにあるんですよ」とアイシャさんに新しいコーヒーと25ドル(約2600円)のギフトカードを手渡し、退店を促したそうだ。

しかしアイシャさんは「注文時に私は2回も、はっきりと名前を告げたのよ」「従業員がISISと聞き間違えるなんて絶対ありえないわ! ましてやアイシャなんて珍しくもなんともない名前なのよ!」と主張しており、従業員はアイシャさんがヒジャブイスラム教徒の女性が頭や身体を覆う布)をまとっていたことから故意に差別的用語を使ったと見ている。

今回の出来事を受けて、アイシャさんと米イスラム関係評議会のミネソタ州支部(CAIR-MN)は2人の解雇を要求。アイシャさんの弁護士は差別を受けたとして同州人権省に訴状を提出した。

ターゲットはこの要求に対し、「今回のことは故意の行為ではない」「今後二度とこのようなことが起こらないよう、従業員に対し教育を再度徹底するなどして適切に対応していく」「店舗責任者がやってきてすぐにアイシャさんに謝罪をした」と回答している。しかしながらアイシャさんは、謝罪を受けた覚えはないと地方テレビ局に語った。

なおスターバックスは一連の騒動に対し、従業員と店舗責任者はターゲットによって雇用されている従業員なので「コメントは差し控える」と述べている。

「CAIR-MN」代表のジャイラ二・フセインさん(Jaylani Hussein)は、『Pioneer Press』に「残念ながらイスラム教徒は、それを嫌う人々にとって差別的にテロリストと同等にみなされています」「ISISという言葉を私たちに向けるのは、黒人に対する差別用語“Nワード”を向けているのと同じことなんです」と明かしている。

なおネット上ではこの一連の騒動について「明らかに差別よ!」「信じられない」などの怒りの声があがる一方で、「アイシャISISって似ているし、コーヒーショップってうるさくて聞き取りづらいから従業員の間違いもわかるわ」「私なんていつも名前を間違って渡されているわよ」「ちょっと過剰に反応しすぎじゃない?」など従業員に対して同情するコメントも見受けられた。

画像は『Mirror 2020年7月7日付「Starbucks server writes ‘ISIS’ on Muslim woman’s cup leaving her humiliated」』『Washington Post 2020年7月9日付「Muslim woman files discrimination complaint after Target barista writes ‘ISIS’ on her cup」(CAIR-MN)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 YUKKE

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