メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」のスマートフォン(スマホ)決済サービス「メルペイ」をNTTドコモのウォレットサービス「d払い」と統合するのか、ドコモ側の出方を含めてまだ決めあぐねているようだが、企業ビジョンは明確だ。

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 出品者・出品件数の底上げを図り、今年7月2日をもってサービス開始7周年を迎えた「メルカリ」を新たな価値を生み出す、世界的なマーケットプレイスに成長させ、必要なモノが、必要な人に、必要な量だけ届くような循環型社会を目指す。メルカリ出品者が実践している不用品はそのまま捨てずに売り、現金化する行為こそ、「エコ」で「堅実」な生き方であり、今後、確実に到来する大幅な人口減少下で、企業活動を継続するヒントとなり得る。

 そのビジョンを多くの企業と共有し、多くの学生・社会人が生きにくさを感じる日本の社会を本気で変革しようと試みているように思える。生産性最大化を目指し、自宅・オフィス以外で働き方の検証を行う「merpay work lab」の立ち上げ、個人・チームの裁量に合わせ、リモート/出社の有無、出社時間・頻度など自由に選択可能な新しいワークスタイルメルカリ・ニューノーマル・ワークスタイル」のトライアルといい、共感することばかりだ。

 7月8日には、新しいモノの循環に取り組む実験的な枠組みとして「Mercari Experiments」の開始を発表。共同研究・共同実験実験パートナーの募集も開始した。

 Mercari Experimentsの第一弾として、繰り返し利用可能な梱包材「メルカリエコパック」プロジェクト、廃材×デザインによるアップサイクルプロジェクト、循環型社会について子どもたちに考えるきっかけを与えるプロジェクトを紹介。特に、エコパックは出品のハードルを下げ、フリマアプリの利用者増につながりそうだ。

 春以降の新型コロナ禍が後を引きずりそうな今、消費者は、これまで机上の空論だった限りある資源をより活かす「循環型社会」を前提に、何が本質的に重要なのか、何が生産性を下げているのか、それぞれ考えるべきだろう。

 メルカリをはじめとする、フリマアプリや宅配買取サービスの浸透、売却を前提としたリセールバリュー重視の商品選びに便乗するECモールや販売店の多さをみると、1年前に掲載した記事、「メルカリ浸透で一億総商売人化 変わる『おすすめ』の根拠」の通り、総商売人化の下地は整いつつある。(BCN・嵯峨野 芙美)

メルカリが提唱する新しいモノの循環