新型コロナウイルスの感染拡大による医療機関の減収が相次ぐ中で、千葉県船橋市内の病院の労働組合の1つが夏のボーナスカットに抗議してストライキを行い、ツイッター上などで話題になっている。

病院側は、「労組からの要求は承知しているが、ボーナスへのコメントは差し控えたい」とJ-CASTニュースの取材に話した。全国各地の医療機関では、ボーナスカットが相次いでいると報じられていることから、ネット上では、国などがもっと医療機関を支援すべきだとの声が上がっている。

「スト決行中」のゼッケンを着け、街中や電車内も歩く

白衣姿の医師や看護師らの組合員8人が、背中を向けてずらりと病院の玄関横に立っている。背中には、赤字で「スト決行中」のゼッケンがあり、「ストライキ決行中」との横断幕も掲げられた。

これは、船橋二和病院の労組の1つが2020年7月10日に行ったストの様子だ。労組のフェイスブックに7枚の写真が投稿され、そのうちの2枚がツイッター上で紹介されて、反響を集めている。

白衣の医師らがゼッケンを着けて、街中や電車内も歩いており、かなり目立っていたようだ。

フェイスブックなどの情報によると、この病院では、2019年冬のボーナスが過去最低の1.0か月分になり、20年春までに70人もの医師や看護婦らが辞め、病棟も一部閉鎖された。コロナへの対応が迫られる中でも、残った医師らは働き続けたが、夏のボーナスがさらに下がって0.9か月分になった。しかし、病院側は、診療報酬改定による減収や病院建て替え計画、さらにコロナ減収でつぶれてしまうと我慢を求めてきたという。

労組は、7月7日に団体交渉を行い、ボーナス1.5か月分の支給や退職金の減額提案の撤回、安全を守るための増員などを求めた。しかし、交渉は決裂してストの実施を決め、10日に実行に移された。

「労組の要求は承知しているが、ボーナスのことはコメントしない」

労組の執行委員長が組合員にあてたストの指示書では、「なぜ、『コロナ減収』の補填に労働者の賃金がつぎ込まれなければならないのか」と不満を訴え、「われわれは、もうこれ以上我慢し、『仕方ない』と受け入れることは出来ない! 」と決意をつづっている。

ストでは、20人ぐらいの支援者も集まって、船橋市千葉県にも申し入れを行った。県に対しては、病院労働者への一律10万円の独自給付や病院の減収補填などコロナ禍に対応できるような環境整備を求めている。同時に、記者会見も行ったが、告知が遅かったこともあってか、1社だけしか参加しなかったという。

ストの様子を伝えるフェイスブックコメント欄には、「応援します!頑張ってください」「国を動かす力にもなります!」などとエールが相次ぎ、労組側も、1つ1つお礼の返信をしていた。

船橋二和病院を運営する千葉県勤労者医療協会は7月13日、「労組から要求が出ていることは、承知しています。しかし、ボーナスについては、コメントしていません」と担当者がJ-CASTニュースの取材に答えた。

ただ、70人退職とされたことについては、定年退職やグループ内での移籍も含まれていると説明した。病棟閉鎖についても、複合的な理由があり、退職者が多かったからとは一概に言えないとしている。労組は複数あり、ストをしたのはそのうちの1つという。

NHKなどの報道によると、コロナ禍で医療機関の受診控えが相次ぐなどしており、日本医療労働組合連合会の調べで、夏のボーナスを前年より引き下げた加盟医療機関が3割にも上った。また、2つの医療機関でボーナスゼロの報告があり、そのうち東京女子医大病院は、看護師400人以上が退職を希望していたという。

こうした状況について、ツイッター上などでは、「医療スタッフの善意におんぶに抱っこで甘えていたら、いつかは先細る結果になる」「現場を離れる医療関係者が続出したら、それこそが医療崩壊につながりかねない」「国が何らかの補償をしないと、他の病院でもストが起きると思う」といった意見が出ている。

J-CASTニュース編集部 野口博之)

医療従事者へのボーナスカットが相次ぐが…(写真はイメージ)