アジア系の客を侮辱した脚

アジア系の客を侮辱した客 image credit:jordanelichan/Instagram

 アメリカでは、最近起こったジョージ・フロイドさんの事件以来、人種差別問題が注目されている。

 そんな中、カリフォルニア州のレストランで、客として訪れていた、ある企業のCEO(最高経営責任者)の男性が、誕生日を祝うために訪れていたアジア系アメリカ人一家に対し、侮辱的な人種差別発言をした。

 その時の動画がネット上でシェアされると全米で大注目を集めた。男性はその後一家に謝罪の声明文を出し、CEOを辞任。

 一方、男性を厳しく注意したレストランのウエイトレスには称賛の声が寄せられ、クラウドファンディングサイトにて多額のチップが集まっている。『Lad Bible』などが伝えた。

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レストランでアジア系アメリカ人客に差別発言をした白人男性

 7月4日、アジア系アメリカ人のオロサ一家とチャン一家はカリフォルニア州カーメルバレーにある『Luciana Restaurant』で、マリー・オロサさんの誕生日を祝っていた。

 しかし、楽しいはずの席が1人の男性によって台無しになってしまった。両家のテーブルから少し離れた席に座っていた白人男性が、アジア系であることに関して、突然差別発言をしたのだ。

 この男性は、米カリフォルニア州テクノロジー企業『Solid8』の創設者およびCEO(最高経営責任者)のマイケルロフトハウスさんで、両家とは過去に面識はない。

 ロフトハウスさんの不快な発言を聞いたジョーダンチャンさんは、動画で撮影を始めた。

 すると、撮られていることを意識したロフトハウスさんは黙ったが、ジョーダンさんが「あら、急にしゃべらないの?もう一度言ってごらんなさいよ」と言うと、ロフトハウスさんはカメラに向かった中指を立て、席を立ち、このように言い放った。

お前らなんか、トランプが(アメリカから)追い出すさ。この国から出て行け!アジア人の最低野郎どもが!


動画がネット上で拡散、ロフトハウスさんは謝罪文を発表

 チャンさん一家が撮影した動画はSNS上で拡散した。自身のインスタグラムアカウントに投稿したジョーダンチャンさんは、次のように綴っている。

7月4日という日に、この男があのような露骨な人種差別をしたというのは、偶然ではないでしょう。

白人至上主義者は、愛国心を装って人種差別する悪名高い習慣を持っています。カリフォルニアのような民族的・文化的に多様でリベラルな州でも、人種差別主義者の表面化は現在では非常に一般的なものとなっています。このような社会には、変化が必要です!


 チャンさんのインスタアカウントには、他の人に対しても差別発言をしているロフトハウスさんのメッセージがシェアされている。


 チャンさん一家に差別発言をした後、ロフトハウスさんはCEOを辞任し、下記のような謝罪の声明文を発表したようだ。

動画内の私の行為は、許されるものではありません。私は、明らかにコントロールを失い、信じがたいほど酷い発言をしました。チャンさん一家に深くお詫びしたい。

彼らが、私の言動によりどれほどの痛みとストレスを感じたかは、想像に難くありません。

私は、全ての人種を尊重するよう教えられてきました。自身の行動を反省し、周りの多くの人々が日々直面している不平等をよりよく理解するよう努力したいと思います。


 これを受けて、レイモンド・オロサさんはこのように語っている。

彼を許しはしますが、謝罪は心からのものとは到底信じられません。彼は、自分の立場を擁護したに過ぎないし、私たちはあの場でのあの発言は彼の本心だったと思っています。

私は26年間アメリカに住んでいますが、このような人種差別は初めてのことではありません。

両家を擁護したウエイトレスに多額のチップが集まる

 この日、実際に店にいたウエイトレスのジェニカ・コクランさんは、彼の聞き捨てならない言葉に怒りを露わにし、ロフトハウスさんに怒鳴った。

店の大切なお客になんてこと言うの!今すぐに店から出てってください!もう二度と来ないで!!

 ジェニカさんの怒る声は動画に捉えられており、多くの称賛の声がネット上で寄せられた。

 後にメディアの取材に応えたジェニカさんは、次のように話している。


Waitress who stopped SF tech CEO's racist rant describes what happened

これまでにも、差別的状況を目にしたことは何度もありますが、あれほど酷い差別発言は許せないと感じました。

ロックダウンが終わり、家族で楽しく集まって誕生日を祝っている席で、あのように一方的に憎しみをぶつけられる理由はどこにもないはずですし、私自身大切なお客様を守らなければと強く感じました。

見た目で誰かを嫌悪するというあのような言動は、私の理解を超えています。許されるべきことではなく、どんな時も私は黙って見過ごすことはできません。

ロフトハウスさんの謝罪文については、私も彼は反省などしていないと思います。バッシングの後で出される人種差別主義者の典型的な謝罪文でしかなく、彼の一言も信じることはできません。

勇気がいることではありますが、このような状況に遭遇した時には、立ち向かってやさしさを見せることが大切だと思っています。


 レストランを運営しているショーン・ダメリー氏は、この1件について「非常に不運な状況だった」と、記念すべき誕生パーティーが台無しになってしまったチャンさんとオロサさん一家に深く同情し、ジェニカさんの行為を称賛した。

 その後、クラウドファンディングサイト『GoFundMe』にはジェニカさんのためにアカウントが設置され、現在83000ドル(約890万円)近くもの多額の“チップ”が集まっている。

 このアカウントを立ち上げた人物は、「この寄付はジェニカさんが頼んだことでは決してありません。あらゆる形態の人種差別に日常的に対応している人たちは、世界をより良くするためにできることをしてくれています。そんな英雄に感謝の気持ちを示す意図で作成しました」と述べている。

written by Scarlet / edited by parumo
追記:(2020/07/14)本文を一部訂正して再送します。

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52292724.html
 

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