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 ナルシシスト・ナルシシズムはよく聞く言葉である。
 日本においては「ナルシスト」という言葉で浸透している。

 自己愛と称されるそれは、自己を愛するあまり、自らを性的対象とみなす状態を意味する。語源はギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソスが水面に映る自らの姿に恋をしたというエピソードに由来している。

 それが転じて「自己陶酔」「うぬぼれ」といった意味で使われることも多いため、この言葉は濫用され、気軽に投げかけられているのが現状だ。

 実際のナルシシスティックな行動は危険なものがある。ここではナルシシストについて研究を重ねているマクブライド博士の見解を見ていくことにしよう。

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ナルシシズムに隠された危険性

 ナルシシストの行動の全てが問題というわけではない。実際には大したことないような特徴もある。例えば、自分の弱さを隠すための分かりやすい自慢話、といったものだ。

 しかし、彼らの行動が他の人々、特に子どもたちを傷つけるなら、それは大きな問題となる。25年間、ナルシシズムについての研究と被害者のケアを行い、ナルシシストの害を直接見てきたマクブライド博士が、ナルシシズムについて解説する。

 ナルシシズムという言葉を気軽に使う前に、我々はもう少し理解を深めた方がいいだろう。例えば、もし、国の指導者がナルシシストなら、そのことは国民の最大の関心事とすらなるだろう。これは診断を下しているのではない。さらに読み、学ぶことで、それぞれで判断してほしい。

 重要なのは、臨床的な立場から「精神障害/疾患の診断・統計マニュアル(DSM)」を手引きとしてナルシシズムを解体することだ。精神保健の専門家のためのこの手引きは、ナルシシズム、すなわち自己愛性パーソナリティ障害に見られる9つの特徴を挙げている。

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ナルシシズムに見られる9つの特徴

1. 自身が重要であるという誇大な感覚を持っている。例えば、実績や才能を誇張し、実際以上に優れたものとして認識されることを期待する。

 我々の多くは尊大な人を何人も知っているし、人が自分を大きく見せようとするときは脆弱さを隠そうとしているものなのだということに気付いている。自信があり賢明な人間は、それが事実であろうとあるまいと、自慢話を必要としない。

 しかし、ナルシシストが、自分の方が相手より優れているので相手を支配してもいいと考え始めると、有害となりうる。特に親子関係や親密な関係においては。

例:ジャックは、妻と5人の子どもたちが「不十分である」ことを常に思い出させ、こういうのだ。「君がトラックを走り始めたのはすばらしい、もっとも、私が君の歳にはすでにマラソンを走っていたけどね」

2. 際限のない成功、権力、才能、美、あるいは理想の愛といった幻想にとらわれている。

 「とらわれている」という部分が問題だ。これはナルシシストの「自分が全て」で「他人は問題にならない」という思考だ。この「とらわれ」は多くのエネルギーを必要とするので、人間関係で問題が起こる。

例:ボブは自分の体型を完璧な状態に保つため、毎朝のジョギングを欠かさない。例え妻や子どもたちが病気で、助けを必要としていてもだ。

3. 自身は「特別」で独特であるため、他の特別な人々、または機関にしか理解され得ない、あるいは関わるべきでないと信じている。

 相手の人格を尊重せず、実績しか見ない。「どんな人か」ではなく「何を成し遂げたか」で相手を測るのだ。また、友達についても同様だ。健全な関係なら、相手のすてきな性格や人格的特徴に価値を見い出しているだろう。

例:子どもたちのためのセラピストを探す際に、ナルシシストはセラピストの能力と経験ではなく、肩書きに価値を見い出す。

4. 過度の賞賛を要求する。

 臨床で関わった人のうち、ナルシシストの親、あるいは配偶者や恋人を持った全員が「疲れ果てた」と口を揃えた。

 ナルシシストの感情のいれものは常に空であり、賞賛というエネルギーを継続的に必要とするのだ。相手のニーズはかえりみられず、ギブ・アンド・テイクといった相互の関係にはならない。

5. 特権意識を持っている。例えば、(理由もなく)特に優遇されるべきである、自分の期待は自動的に満たされるべきである、など。

 ナルシシスト自身のニーズが最優先で、他人のニーズは全て後回しになるので、摩擦が起こりやすい。ナルシシストは自分が最上級の扱いに値すると考えており、協力的でない人物を罵倒し、批判し、傷つけようとする。

6. 個人間の関係において搾取的である。例えば、自分の目標を達成するために他人を利用する。

 ナルシシストにとって、他人は自分の役に立つかという点だけが問題なのである。他人を利用することについて何とも思わない。このような気配を感じたら、その人との関係をもう一度見直すことを勧める。

 

例:メアリーが、プロのイベントプランナーである友達のベティーに電話するのは、ガレージセールやそのほかのイベントで、急遽助けが必要になったときだけ。

7. 共感に欠ける:他人の感情やニーズを認識しない、あるは気づこうとしない。

 共感の欠如がナルシシストの行動の基礎にある。愛するフリは可能だが、ナルシシストはそれを継続できない。やさしく共感的に見えた人が、物事が思い通りにならなかったら掌を返すのを見たことはないか?

 

例:離婚を考えていると母親に打ち明けると、あなたの感情の痛みや失望よりも、世間体を気にする。ナルシシストの親や配偶者を持つことで一番大変な部分は、彼らの「愛するという能力の欠如」に気がつくことだ。この気づきによる衝撃は大きい。

8. しょっちゅう他人を嫉む、あるいは嫉まれていると思い込む。

 ナルシシストは自身を命より重いと考えているので、他人に嫉妬されてると思い込む。だが、よりしょっちゅう見かけるのは、彼ら自身の他人に対する嫉妬だ。

 彼らの対処法は、自分より優れた相手に対する継続的な批判、批評的な判断、中傷、悪口だ。同時に自分自身を持ち上げる。これらの合わせ技が効果をあげるのである。

例:リンダは同僚のサマンサに嫉妬している。サマンサの方が美しくスタイルもいいからだ。自身の体重に悩むリンダは、「サマンサは摂食障害のようなもので不健康だ」という噂を流し、サマンサが自信をなくすようしむける。

9. 尊大で傲慢な行動、態度を見せる。

 これも脆い自我と低い自己評価の隠れみのである。ナルシシストは一見、高い自己評価を持っているように見えるが、その実は自己嫌悪に陥っており、少しでもマシに感じるために他人を利用する必要があるのだ。

 尊大な人物は付き合い難いが、そのこと自体はさほど厄介ではない。ナルシシストがそれを利用して誰かを傷つけようとしているのでない限りは。

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それは本当にナルシシズムか?

 重要なことは、ナルシシズムは0か100かといったものではなく、ちょっとした特性レベルから典型的な自己愛性パーソナリティ障害まで、スペクトラム性の(連続した)障害であると理解することだ。誰であれ、人生のある局面においてはこのような行動を見せることがあり得る。

 ナルシシズムが危険なのは、このような性格上の特徴が継続的であり、人間関係を破壊し、他者を傷つける場合だ。何を犠牲にしても勝ち続け、他人より優れていることのが主要なテーマとなっている人の場合、危険が感じられる。

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ナルシシズムの犠牲者の兆候

 ナルシシストに見られる特徴を付け加えるなら、責任の欠如だ。そのため、常に他人を責め、自分の感情を他人に投影している。そのため、周囲の人は常に自身を疑い、次に来るものを警戒していなければならない。

 投影は突然行われ、予測不能である。ナルシシストの内面の事情によるものだからだ。彼らは衝動のコントロールができず、自分の感情を撒き散らす。これが、犠牲者に過覚醒とPTSDの症状が見られる傾向がある理由だ。

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 さて、ナルシシズムは有害で危険か?その通り。周囲を傷つけ、消耗させ、解明して治療するのには何年もかかるのだ。

via: Psychology Todaytranslated by K.Y.K. / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52240312.html
 

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