蒸し暑い日の調理は、火を使わずにできるだけ短く済ませたいもの。伝統的な加工食品である納豆や豆腐は、栄養価も高く手軽に主菜や副菜に活用できます。ぜひ冷蔵庫に常備しておきたいですね。
日本が誇るスーパーフードとして、海外でも需要が伸びている納豆。近年の発酵食品ブームで国内でも年々市場規模が拡大しているそうです。今回は、あらためて納豆の食べ方のコツを確認してみましょう。


できれば加熱は避けたい!その理由とは

納豆は、煮た大豆に納豆菌を加えてつくられる発酵食品です。「ナットウキナーゼ」は、発酵過程で納豆菌が生産する酵素。その名が物語るように納豆にしか含まれない特別な栄養素で、ネバネバする納豆の糸に含まれています。
納豆栄養素を損なうことなくいただくために覚えておきたいのが、ナットウキナーゼは熱に弱いということ。水分が多い少ないといった状態でも異なりますが、50度以上になると急激に活性が低下してしまうのです。
納豆チャーハンや納豆オムレツ、納豆汁。炊き立てのホカホカごはんと納豆。納豆の美味しい食べ方は多々ありますが、納豆に熱を加えるのは控えめにした方がよさそうです。調理する場合は最後に納豆を加え、その後は高温で火を入れたり煮立てないようにしましょう。納豆ごはんにする場合は、ごはんを少し冷ましてから納豆を加えるのがおすすめです。


粘りも美味のうち!魯山人に倣う納豆の「ねり方」

納豆といえば、糸引く粘りが特徴です。この個性を最大限に引き出すには、どのようにまぜればよいのでしょうか。美食家として名を馳せた北大路魯山人(1883〜1959年)は、著書『魯山人味道』のなかで下記のように記しています。
「納豆を器に出して、それになにも加えないで、そのまま、二本の箸でよくねりまぜる。そうすると、納豆の糸が多くなる。蓮から出る糸のようなものがふえて来て、かたくて練りにくくなって来る。この糸を出せば出すほど納豆は美味くなるのであるから、不精をしないで、また手間を惜しまず、極力ねりかえすべきである。」
納豆をどのくらいまぜるかは好みもあると思いますが、粘りには旨味を司る成分が含まれているそうです。魯山人に倣って自分好みの粘りが出るまでねりまぜてみましょう。魯山人は、「最初から醤油を入れてねるようなやり方は、下手なやり方である。」とも述べています。確かに、最初に醤油などの液体を入れてしまうと、なかなか粘りが出ませんね。充分に納豆をまぜてから調味料や薬味を入れるのが、粘りを引き出すコツといえそうです。
定番のネギはもちろん、キムチ、山芋、アボカド、今の季節は青紫蘇やたたき梅などを合わせて、蒸し暑い季節を納豆パワーで乗り切りましょう!

参考サイト
全国納豆協同組合連合会
日本ナットウキナーゼ協会
おかめ「納豆サイエンスラボ」
参考文献
北大路 魯山人・著/平野 雅章・編 『魯山人味道』中央公論新社

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