子供を産む仕組みとして女性の身体に備わっている、月経(以下、生理)。一般的に12歳前後で初潮を迎えるといわれています。

生理は大切な仕組みですが、およそ1か月に1週間ほど出血をしたり、月経前症候群PMS)に悩まされたり、激しい腹痛に襲われたりと、多くの女性が悩む原因です。

中でも、生理が始まったばかりの子供はまだ生理の仕組みに慣れておらず、身体の作りが不安定のため苦労も多いでしょう。

大阪市に届いた『生理中のプール強要』の苦情

2020年7月、大阪市のウェブサイトに掲載されている『お寄せいただいた市民の声』の中の1つがネットで話題になっています。

このメッセージがウェブサイトで公開されたのは、2019年12月。そこには、中学生の娘を持つ親と見られる市民からの意見がつづられていました。

なんと、投稿者の娘は生理中であるにもかかわらず、体育の授業でプールに入ることを強制させられているというのです。

女子中学生は、体育水泳の時間に、生理で休むことは、病気ではないので、お腹がいたくない限り出なくてはいけない。

休むともちろん体育授業としてみなされず、出席にならないため成績にひびく。生理は病気ではないので、参加しなければならない。

男子と同じプールにつかるが、離れているため男子に気づかれにくいから入れる。水の中では出血しないので授業をうけれる。

水の中では、生理中であっても病気にかからない。プールからでたら、ズボンをはいて、生理がわからないようにする。

親子ともに納得できないルールは、どうかと思います。安心できる環境を提供するべき中学校が、どういう考えでしょうか。不信感しかありません。

生理も個人差があるのに、腹痛があっても、貧血でも水温が低くても、休みにくい精神になる、言わせない環境をつくりだしていないでしょうか。まして、来月にでも、女子を集め、生理は病気でないため、休むことではないと先生から言われた場合、どうですか。

どこの産婦人科医が、生理でプールに入ることに、雑菌はありません、水の中では血はとまります、大丈夫ですと証明したか、教えてください。

大阪市 ーより引用

「生理は病気ではない」「水圧があるから出血しない」「水中なら血が流れていても病気にならない」という主張から、生理中の女子を授業に参加させようとする教師。

体調不良で欠席した場合、女子は成績を落とされてしまうといいます。そのため、無理にでもプールの授業に参加せざるを得ない女子もいるでしょう。

一般的に生理中は身体を冷やしてはいけないとされており、個人差もありますが人によっては動くことすらできないほどの痛みに襲われます。

また、血が流れている状態でプールに入り、大勢の生徒が泳ぐ状態は明らかに不衛生です。タンポンを使うという手もありますが、使用には向き不向きがあります。

大阪市の回答は…

我が子の体調を気遣う親の意見に対し、大阪市はこのように返答しました。

文部科学省 学校体育実技資料 第4集 「水泳指導の手引き」(二訂版)には、「近年スポーツ医学の進歩に伴って、科学的な研究が積み重ねられ、現在のところ、水泳を実施することで月経に伴う諸症状が悪化することはない」と示されております。

しかしながら、教育委員会では、水泳指導に配慮のいる生徒については、その状況も様々であることから、生徒一人ひとりの心身の状態に応じて、本人や保護者と話し合い、本人の立場を十分に理解してその方向等を検討することが重要であると認識しております。

この度のご指摘を受けまして、各校の生徒及び保護者さまに対し誠実に対応し、教育活動について、充分にご理解いただける丁寧な説明を行うよう、改めて各校に対し指示してまいります。

なお、ご不安な点やご不明の点につきましては、改めて当該中学校もしくは下記担当までご連絡いただきますようお願いいたします。

大阪市 ーより引用

大阪市は意見を真摯に受け止め、教育方針について市内の学校に指示をしていくとのことです。

以前から多くの女性が悩まされてきたという、『生理中のプール強制参加問題』。きっと、子供の頃に嫌な思いをした人は多いのでしょう。

この質疑応答は拡散され、主に女性から「『生理は病気ではない?』思わず二度見した」「衛生的にも問題あるでしょ」「いや、風呂の中でも出血するけど!?」といった声が上がっていました。

生理の苦痛を少しでも軽減するため、性別や年齢問わず多くの人が正しい知識を持ち、思いやる心を持ちたいですね。


[文・構成/grape編集部]

出典
大阪市
※写真はイメージ