ファン・ダイクが“世界最高のDF”と称される理由は? 栗原氏が指摘「だから、フェイントにも引っかからない」

 現在、“世界最高のDF”と称されているのが、リバプールオランダ代表DFフィルジル・ファン・ダイクだ。最終ラインで圧倒的な存在感を放っているが、一体どのような要素が彼を世界最高のセンターバック(CB)にさせているのか。元日本代表DF栗原勇蔵氏が「Football ZONE Web」のインタビューに応じ、CB視点でファン・ダイクの凄みを解説している。

 2018年にリバプールへと加入したファン・ダイクは即座にディフェンスリーダーとしての立場を確立すると、昨季は14年ぶりとなるUEFAチャンピオンズリーグ優勝、今季は30年ぶりのプレミアリーグ制覇の立役者となった。プレミア年間最優秀選手に輝き、バロンドールバルセロナアルゼンチン代表FWリオネル・メッシに次ぐ2位に入賞するなど、文字通り“世界最高のDF”に君臨している。

 果たして、このオランダ代表DFは他の選手に比べ、どのような要素が突出して優れているのだろうか。昨季限りで現役を引退した栗原氏は、CB視点でファン・ダイクプレースタイルを解説している。

「大柄な選手だと出せないはずの足やステップワークが突出している。日本人であの身長があったら、動きもノソノソしてしまう。それが、とにかく速い。これまでにいなかったタイプのCB。横浜F・マリノスで言えば、チアゴ(・マルチンス)が近いかな。それをプレミアリーグのレベルで、しかも圧倒的に発揮できるというのは相当ヤバい。化け物クラスが集うプレミアのアタッカーに化け物と言われているんだから。すべての能力が高いからこそ、判断もギリギリまで見極められる」

 そして、同じCBのポジションでプレーしてきたからこそ分かる、ファン・ダイクの特性についても言及している。

「将来、サッカーがどんどん発展していったら、目が強化されていく時代がくるかもしれない」

「おそらく……ですけど、(ファン・ダイクは)視力がかなり良いはず。CBにとって動体視力はかなり大事。将来、サッカーがどんどん発展していったら、目が強化されていく時代がくるかもしれない。突き詰めたら、そういう部分のトレーニングが導入されていくと思う。だからファン・ダイクフェイントにもなかなか引っかからない。昨季メッシとのマッチアップで対等に戦えていたのも、そういう要素があるからではないかと思う」

 DFのバロンドール受賞は2006年の元イタリア代表DFファビオ・カンナバーロ氏以来遠のいているが、ファン・ダイクならばサッカー界の頂点に立つ日もそう遠い未来ではないのかもしれない。(Football ZONE web編集部・城福達也 / Tatsuya Jofuku)

ウルブズFWラウール・ヒメネスとマッチアップするリバプールDFファン・ダイク【写真:Getty Images】