謎の天体を発見

説明のつかない謎の天体が発見される / Pixabay

 これまで一度も観測されたことがない、説明のつかない謎の天体が宇宙で発見された。新たに発見された電波を放つ4つの天体は、きわめて円形に近く、その辺縁ほど明るく輝いている。

 どことなく環状に並ぶ島を思わすというその天体は、これまで観測されたどんな天体にも似ておらず、その正体も不明だ。

 さしあたって「不規則電波サークル(OCR/odd radio circle)」と呼ばれている。

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衝撃波の残滓?電波銀河の活動?それとも別の何か?

 その正体は不明で、謎に包まれたままだが、いくつかの候補なら挙げられている。

 ウェスタン・シドニー大学(オーストラリア)をはじめとする研究グループは、超新星・星が形成されている銀河・惑星状星雲・重力レンズといった可能性を除外した上で、銀河系外の現象で生じた衝撃波の名残か、電波銀河の活動ではないかと推測している。

 「これまで観測されたことのない新しい現象かもしれません」と、カナダ王立軍事大学とクイーンズ大学に所属するクリスティン・スペッケンズ氏は第三者の立場からコメント。すでに知られていながらまだきちんと検証されていない天体に関連するとも考えられるとのことだ。

 4つの「不規則電波サークル(OCR/odd radio circle)」はそれぞれ異なる現象である可能性もある。

 いずれも電波という点では明るいが、可視光・赤外線・X線という点では目に見えない。ただし、ORCのうちの2つは、その中心に可視波長で見ることができる銀河がある。このことは、この2つがその銀河によって形成された可能性を示唆しているという。

 また2つは、非常に距離が近く、関連のある起源で誕生した可能性があるそうだ。

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image by:NASA/CXC/RIKEN & GSFC/T.

少なくとも誤作動やエラーの類ではない


 3つのORCは、36枚のパラボラアンテナで広い範囲を見渡すことができるオーストラリアのASKAP電波望遠鏡アレイによって検出された。

 「宇宙の進化マップ(EMU/Evolutionary Map of the Universe)」というプロジェクトの一環として、2019年7月から11月にかけて夜空の電波周波数をマッピングしていた最中のことだ。

 いずれも天の川の銀河面から離れたところにあり、「角直径」は「1’と月の3%」しかない。しかしその距離ははっきりとせず、そのために実際の大きさもよく分かっていない。

 4つ目のOCRは、インドの巨大メートル波電波望遠鏡によって収集されたデータアーカイブの中から発見された。別の望遠鏡からも発見されたために、最初の3つがASKAPの誤作動やデータ解析のエラーによるものでないことは確かであるようだ。

オーストラリアのASKAP電波望遠鏡アレイ


さらに7000万個の電波ミステリー


 なお宇宙の進化マップ・プロジェクトでは、新たに7000万個の電波天体が発見されるだろうと期待されている。

 現在知られている電波天体は、わずか(?)250万個に過ぎない。宇宙にはまだまだミステリアスな現象がどっさり隠されているということだ。

 この研究は『Nature Astronomy』(6月26日投稿)に投稿された。現在、『arXiv』で未査読バージョンを閲覧することができる。

[2006.14805] Unexpected Circular Radio Objects at High Galactic Latitude
https://arxiv.org/abs/2006.14805
References:vice / nypost/ written by hiroching / edited by parumo 全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52292725.html
 

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