高齢者とコロナ感染予防

高齢者はコロナ感染予防に積極的ではない傾向/iStock

 世はまさにポスト・コロナ社会。感染予防のために、マスクの着用や手洗いの徹底、社会的距離の実行が望ましいという認識は、世界共通となった。

 新型コロナは軽症でも後遺症があるという研究結果も報告されており、誰にとっても危険なものであるが、特にリスクが高いとされているのが高齢者だ。発症したときに高齢者が入院・死亡する可能性は、若い年代に比べて圧倒的に高い。

 だが、高齢者がコロナ感染予防策を積極的に守っているかと言えば、そうでもないらしい。もちろん個人差はあるが、自己隔離やマスク着用の割合が低いことが、日本を含む27か国7万2000人以上を対象とした調査で明らかとなった。

 

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日本を含む27か国7万2000人以上を調査

 エディンバラ大学(イギリス)の研究チームが調べたのは、新型コロナの感染予防に対する高齢者の態度・遵守状況である。

 日本を含む27か国7万2000人以上を対象に、「必要があれば自分を隔離するか」「特定の予防対策を守っているか(手洗い、マスク着用など)」といった質問をし、その回答を年代別に分析した。

 調査対象は以下の27か国だ

オーストラリア・ブラジル・カナダデンマークフィンランドフランスドイツ・香港・インドネシアイタリア・日本・マレーシアメキシコオランダノルウェーフィリピンサウジアラビアシンガポール・韓国・スペインスウェーデン・台湾・タイ・アラブ首長国連邦イギリス・アメリカ・ベトナム

高齢者は自己隔離せず、マスクの着料率も低いことが判明

 その結果判明したのは、体調の悪化や医師からの助言があった場合に、自分を隔離すると考えている高齢者の割合は、50代・60代とほとんど変わらないということだ。

 さらに外出寺のマスク着用率の点でも若い世代より低かった。

 その一方で、公共交通機関の利用や少人数グループとの会合・客の招待を避ける割合は高かった。

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Pixabay

高齢者に予防策を守るよううながす対策が必要


 こうした結果は、政府が行っている感染予防対策は、高齢者に限って言えば、成功からは程遠いことを示唆していると研究チームは述べている。

 リスクが高いはずの高齢者が意外にも予防対策をとっていないことを認識した上で、今後は彼らがそれを守るよう促していく必要があるとのこと。

 特に各国で都市封鎖が解除されつつある現状では、外出時に全員がマスクを着用することはとりわけ重要であるそうだ。

 ちなみにスコットランドでは、公共交通機関はもちろん、店舗やスーパー内でのマスク着用が義務化されており(11歳未満の子供や特定の障害がある人は免除)違反すると罰金を取られる。イギリスでも7月24日より同様の措置がもうけられ、違反者には最大100ポンド(約1万3000円)の罰金が科される。

 ドイツスペインイタリアギリシャでも同様の規則が適用されている。

この研究は『PLOS ONE』(7月2日付)に掲載された。

Elderly people and responses to COVID-19 in 27 Countries
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0235590
References:eurekalert/ written by hiroching / edited by parumo 全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52292777.html
 

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