リーマンショックから世間が立ち直り始めた2013年くらいから、大企業も新規事業を模索し始めた。

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 CVC(Corporate Venture Capital)を創設したり、シリコンバレーに人材を派遣したり、様々な打ち手を打っている。

 毎度のことだが、これは2000年から何度も見てきた光景であり、景気の鈍化と共にしりすぼみになるわけだが、今回のコロナ禍では思いの外、新規事業の検討は続くのではないかと思っている。

BCGダイヤモンド

 企業は、創業期→成長期→優位性確立期→効率性追求期というサイクルで回っている。

 これは、私が4年半ほどお世話になったBCG(ボストンコンサルティンググループ)のBCGダイヤモンドという概念である。

 このBCGダイヤモンドは、BCGポートフォリオや累積経験カーブに比べると、やや地味であり、あまり使う人がいないのであるが、私は大好きなコンセプトの一つだ。

 成長期はワンマンでガンガン引っ張って行けばいいのだが、優位性確立期になると差別化が必要になる。すなわち戦略が必要だ。

 しかし、そのフェーズが終わると優勝劣敗がはっきりしてくるので、効率化を促進することでキャッシュを生み出すフェーズとなる。

 そして再び創業期になる。

 どうやら日本企業の多くが1990年代に優位性確立期を迎え、2010年以降は効率性追求期だったのではないかと思われる。

 1990年代から2000年代前半には戦略プロジェクトが多くの企業で行われ、「選択と集中」という言葉がもてはやされた。

 しかし、現在、選択と集中という話は聞かない。

そろそろ終わる効率追求期

 どちらかと言うと、コスト削減、業務改革、デジタル化。すべて効率追求型のプロジェクトである。

 ただ、この効率追求期も徐々に終焉を迎え、再び時計の針が創業期に向かっているように感じるのである。

 もちろん、優位性確立期や効率性追求期にも新規事業に乗り出す企業は存在したが、CVCや新規事業の旗振りも、ITバブルの崩壊、リーマンショックなどで挫折してきた歴史がある。

 しかし、今回はどうもそうはいかないのではと感じている。世の中が、創業期のフェーズに向かっているのだ。

 そうなると、企業も新たな新規事業を創出しなくてはならない。

 しかし、長年そんなことはやっていないので、どこから手をつけていいか分からない場合が多い。

 そんな時、我々コンサルタントにはいろいろな相談が入る。

 私は、とりあえず日本のベンチャー企業のビジネスモデルをすべて頭に入れることを勧めている。

 東証マザーズに上場している企業は2019年末で315社。JASDAQグロースが37社、スタンダードが669社(JPXのサイトより)。全部で1000社ほど。

ベンチャーのランドスケープ

 これを頭に全部入れて頭の中に「ベンチャービジネスとはどんなことがあるのか?」というランドスケープを作ると様々なアイデアが湧いてくる。

 全部が大変ならマザーズだけでも調べてみることをお勧めする。

 月に100万円をウーバー・イーツで稼ぐ方の記事を読むと、非常に面白いことが書いてあった。

 彼はウーバー・イーツをやる前にメッセンジャーの仕事をされたそうだが、その際、グーグルマップを使わず、紙の地図を読み込んで、頭に地図を入れたと言うのだ。

 そのため非常に効率的に回るランドスケープが頭にできていたのだと思う。

 ツールに頼っていたらランドスケープはできないが、自分で学べば全く違う光景が頭に入ることとなる。

 企業で新規事業担当になった方には、まずマザーズ上場銘柄のすべてのビジネスモデルを読み込むくらいのことは、やってみて損はないだろう。

 後はナスダックの最近3年間くらいの上場銘柄を把握してすれば鬼に金棒である。

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新規事業を成功させるには、すでに存在するベンチャーのビジネスモデルを全部頭に入れることが先決だ