韓国の株式への個人投資家をアリ(蟻)と呼び、コロナ禍において韓国株の大暴落を買い支えた「東学アリ運動」に発展したことは以前書いた。

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(「コロナ禍収束に賭けた韓国人サムスン株買い漁る」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59916

(「選挙もコロナもそっちのけ、財テクに走る韓国人https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60123

 それから約4か月経った今、韓国の株価指数は昨年の水準まで戻り、彼らが一番に買い漁ったサムスン電子の株価も安定してきた。

 ここで一儲けしたアリたちは、海外投資に目を向け始めた。

 韓国で個人的に投資するとなると、まず不動産(主にアパート)と株である。

 不動産に比べ、株は比較的少ない資金で運用することができる。そのため、コロナ禍で低迷する株にまず投資が増えた。

 これまで不動産で儲けたという人は多く見かけるが、株で大儲けしたという人はほとんど見られない。

 不動産はこれまで横ばいはあるものの、ずっと右肩上がりを続けてきたからだ。

 しかし、韓国人はIMF(国際通貨基金)危機、リーマンショックと何度か暴落を経験することで、暴落した株価は必ず元に戻ることを学習した。

 そのため、3月の大暴落を見るとひるまず株価市場に投資を始めた。特に、韓国の株売買では証券取引税はあるものの、譲渡益課税がかからないことも大きな要因として挙げられる。

 では、なぜ不動産には資金が流れなかったのか。

 現政権になってからひっきりなしに打ち出される不動産関連法改定(3年間で22回、最新は7月10日発表)によって、不動産(特に、住居用アパート)の値段が発表の度に高騰し、一般庶民の手に届かないところまで行ってしまったのが一つ。

 そもそも、不動産関連法の改定は庶民のための住居を提供するためのものだったはずなのに、現政権の意図とは反対に市場が動いた。

 現政権に変わる時に不動産価格は高騰することは薄々感じていた。

 なぜなら、現政権の前身といえる廬武鉉大統領の時代もことごとく不動産価格を抑えるための施策を発表したが、その度に高騰し、結局、次の政権になってから相場が落ち着いたからだ。

 毎月のように打ち出される改定法によって、賃貸に暮らす人も持ち家の人もどちらも居心地の悪いものになってしまっている。

 悲惨なのはまだ買っていない人たちだ。

 ある地区では1週間に1億ウォン(約1000万円)、1か月で3億ウォンも値上がりすることがあった。

 このような状態になると、次の対策でその地区にはアパートを買う時、銀行からの貸付ができないようにした。

 そうすると、規制されない地区のアパートの値段が上がる、といった具合だ。そうしてどんどん規制地区が増えていく。

 すでに引退して持ち家としてアパートを一つ所有し暮らしている人に対しても、保有税をどんどん高くすることでその家を売らないと税金が払えない状態に追い込んでいる。

 とにかく情け容赦のない不動産に関する税金地獄のせいで、余計に株に投資する人が増えたともいえる。

 さて、不動産に行けない資金が東学アリ運動の際に株式市場に流れ、その後、彼らが目をつけたのが米国の株式市場だ。

 韓国で株式市場が活況になると、現政権は2023年からこれまでの取引税を多少下げるものの、譲渡益については20%以上課税すると発表したことも大きく影響している。

 米国の株価もコロナ禍で暴落があったが、例えばアマゾンドットコムやテスラは上昇を続けた。

 その中でも韓国の個人投資家たちが、今年の上半期(1月~6月)に最も多く買った銘柄は「テスラ」であった。

 現在テスラの持株のうち、0.55%を韓国人が保有し、「韓国人が最も多く保有している銘柄」となった。

 SNSユーチューブなどを見ると、「テスラ」を宗教のように崇める人たちがいる。

 テスラの技術が世界を変えると信じる人たちを「テスラム」と呼ぶ。確かに周囲でも株の話をする人が増え、テスラで一儲けしたと喜ぶ人たちも見かける。

テスラ」の次はマイクロソフトアップルアマゾンと続く。

 いわゆるナスダック指数の「FANGMAN(フェイスブックアマゾンネットフリックスグーグルマイクロソフトアップル、エヌビディア)」に集中して買っている(エヌビディアは画像処理に強い半導体メーカー)。

 彼らが買った上位銘柄のうち42銘柄が米国の株式だ。米国株に走る理由は、高い成長率と安定性を持ち合わせているからだ。

 韓国にはサムスン電子以外に長期投資で髙い利回りが期待できそうな優良銘柄があまりないという理由もある。

 また、アマゾンテスラは配当金がないものの、アップルマイクロソフトなどは配当金もある。韓国の銀行の金利がゼロ金利に近づいている今、割のいい配当金は長期投資に向いている。

 テスラ6月10日(現地時間)史上初めて1000ドルを超え、7月13日の終値は1497ドルであった。

 時価総額では自動車部門1位のトヨタ自動車を超えた。

 テスラの販売台数は、コロナ禍による市場需要の減少および工場稼働中断でも市場予想値の6万5000台~7万台を超える9万650台を記録した。

 バッテリーデー(テスラ開発中バッテリー情報を公開する日)が6月から9月に延期されたが、第2四半期が黒字になると期待感が高まった。

 株式に走ったアリたちは、テスラアマゾンも高くなりすぎたことを懸念し、今度は上り調子の中国株にも乗り出している。

 中国の銘柄では医薬品メーカーの「Hansoh Pharmaceutical (翰森製薬集団)」、騰訊控股(テンセントホールディングス)が韓国人の好きな銘柄である。

 また、意外なのは韓国人が買った海外銘柄のうち、10位に「ゴールドウィン」がランクインしていることだろうか。

 ゴールドウィンは、日本のアパレルメーカーである。

 昨年の勢いはなくなったもののいまだに続いている日本不買運動の中、日本の銘柄が入っているのは面白い現象だ。

 それに、ゴールドウィンは昨年の9月には韓国人が買った海外銘柄の1位にランクしていた。

 その時はすでに日本不買運動が始まっていたけれど、株を売買する人口が少なかったせいか誰からも指摘も受けず、ゴールドウィン株を買っていた。

 政治的にはいがみ合っても経済的なところはしっかりポイントを押さえて投資するスマートなアリたちなのだ。

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