米グーグル7月15日インド大手財閥リライアンス・インダストリーズ(RIL)傘下の通信会社ジオ・プラットフォームズに45億ドル(約4800億円)を出資することで合意したと明らかにした。7.73%のジオ・プラットフォーム株を取得するという。

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インド向け低価格スマホを共同開発

 これに先立つ同13日、グーグルは新設の基金「インドのためのグーグル・デジタル化基金」を発表。これを通じて今後5~7年で、現地企業やインフラ整備に約100億ドル(約1兆1000億円)を投資すると表明していたが、今回の出資はその第1弾になるという。

 グーグルが明らかにしていたインドの投資対象は、(1)現地の多言語に対応した情報へのアクセス拡充、(2)同国独自のニーズに対応した新製品・サービスの開発、(3)現地企業のデジタル変革支援、(4)医療や教育、農業分野における、人工知能(AI)などの技術の活用である。

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 ジオ・プラットフォームズへの投資ではまず、このうちの(1)と(2)に取り組むようだ。今回の出資に関する発表に併せ、グーグルとジオ・プラットフォームズは、両社がインドの実情に合わせたスマートフォンを共同開発することで合意したことも明らかにした。

加入者数約4億人の最大手

 米ウォールストリート・ジャーナルによると、親会社のRILはこれまで、ジオ・プラットフォームズの携帯電話会社「リライアンス・ジオ・インフォコム」に300億ドル(約3兆2000億円)を投じてきた。

 同社がインドの第4世代(4G)通信サービスに本格参入したのは2016年の9月。それ以降ジオは、端末代や通話料を実質無料にするといった販売攻勢で利用者数を伸ばし、同国最大の通信事業者になった。

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 現在のジオの携帯電話加入者数は3億8800万人。だが、インドではいまだ大半の人がインターネットを利用しておらず、スマートフォンの普及率も低い。米国の世論調査機関ピュー・リサーチセンターが昨年公表したレポートによると、インドの成人スマートフォン所有率はわずか24%で、新興国市場の中で最も低い。

 こうした中、グーグルとジオは、誰もが手軽に買える低価格Android端末を開発し、同国のスマートフォン人口を拡大させたい考え。グーグルは声明で、「携帯電話利用者をいかにしてスマートフォンの所有者にしていくかを一から考え直す」と述べている。

フェイスブックは6100億円を出資

 インドのデジタル経済は今後急拡大していくとみられている。移動通信関連の業界団体GSMAの調査・コンサルティング部門であるGSMAインテリジェンスは、インドのモバイルインターネット利用者が今後5年で1億7100人増加すると予測している。この人数は同期間に予想される米国と中国を合わせた新規利用者数の2倍。

 こうして急成長が見込まれる同国市場には、世界中から投資マネーが集まると言われている。とりわけ最近はその成長性に期待し、ジオ・プラットフォームズに出資する企業や投資機関が増えている。

 例えば、米フェイスブック(FB)は今年4月、ジオ・プラットフォームズに57億ドル(約6100億円)を出資することで合意したと明らかにした。また、フェイスブック傘下のワッツアップとRIL傘下のリライアンス・リテールは、インドのEC(電子商取引)プラットフォーム「ジオマート」で業務提携した。

 米半導体大手インテルの投資部門であるインテル・キャピタルは7月2日、ジオ・プラットフォームズへの2億5000万ドル(約270億円)の出資を発表した

 米CNBCによると、今年6月には、アブダビ政府系ファンドのムバダラ・インベストメントが12億ドル(約1300億円)、サウジアラビアの政府系ファンドが15億ドル(約1600億円)をそれぞれジオ・プラットフォームズに出資すると明らかにしている。

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