DOCOMOMOはモダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織で、日本支部のDOCOMOMO Japanにより、このたび自由学園南沢キャンパスの遠藤新の建築群(15棟+門)が、「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選定されました。
自由学園の創立当初の校舎「自由学園明日館」(東京都豊島区)は、米国の高名な建築家フランク・ロイド・ライトとその愛弟子の遠藤新により設計・建築され、現在は国の重要文化財となり、DOCOMOMO Japanの「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」にも2003年に選定されています。
昭和初期に東京都東久留米市に自由学園が移転する折には、帝国ホテル建設を終えたライトは帰国後であったので、遠藤新がライトの思想を継承して校舎を設計・建築しました。
遠藤新は学園創立者の羽仁もと子・吉一夫妻と樹木の配置に至るまで相談を重ねて構想し、その教育理念の実現のための器・環境としてこのキャンパスを創り上げました。
自由学園ではこのキャンパス全体が、学科・生活・芸術すべての分野につながる学び・探求の場であると考えています。

自由学園女子部(中等科・高等科)遠景 手前が体操館 正面奥が食堂と教室棟 左端が講堂

■選定された自由学園南沢キャンパスの建築物は以下の通りです。15棟+門

遠藤新設計 (1929年1936年に建てられた)
門、 

初等部/食堂1棟・教室3棟、
女子部/食堂1棟・教室4棟・回廊2棟・体操館1棟・講堂1棟、
男子部/教室1棟・体育館1棟

※耐震工事等を経ていますが、遠藤新の当初のデザインを大事にしています。


DOCOMOMO Japan選定作品紹介ページ「227 自由学園南沢キャンパス」 
http://www.docomomojapan.com/structure/%e8%87%aa%e7%94%b1%e5%ad%a6%e5%9c%92%e5%8d%97%e6%b2%a2%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%b3%e3%83%91%e3%82%b9%ef%bc%88%e9%96%80%e3%80%81%e5%88%9d%e7%ad%89%e9%83%a8%e9%a3%9f%e5%a0%82%e3%83%bb%e6%95%99%e5%ae%a4/

DOCOMOMO Japanでは、総合評価の中で下記のように紹介しています。
「南沢キャンパスは、遠藤新が羽仁先生との合作だと書き残すほど建学の精神を最も良く表した建築群である。
キャンパス内の遠藤新による建築が作り出す環境は、地所の自然を捉えて人と自然を仲介する役割を遺憾無く果たしている。これは遠藤新の有機的思想の集大成であり、我が国における学校建築のなかでも一つの理想を実現させた重要な作品群と言える。」

DOCOMOMO Japan選定 遠藤新設計 自由学園南沢キャンパス建築群
初等部(小学校)遠景 正面の食堂を囲むように教室棟が建っている



■自由学園明日館

自由学園創立当初の校舎で、現在重要文化財に指定されている「自由学園明日館」は、2003年に22番目の選定建築として登録されています。

https://jiyu.jp/
選定作品紹介ページ「022 自由学園明日館」

http://www.docomomojapan.com/structure/%e8%87%aa%e7%94%b1%e5%ad%a6%e5%9c%92%e6%98%8e%e6%97%a5%e9%a4%a8/

■自由学園の教育と環境の関わり

「生活即教育」を掲げてきた自由学園では、学びは教室の中だけにあるのではなく、起伏を活かして点在する美しい木造校舎と豊かな自然が調和するキャンパス全体が、学科・生活・芸術すべての分野につながる学びの場であると考えています。

この環境は、子どもたちの感性をはぐくむ上でも大事な要素となっています。

遠藤新設計の木造校舎は、建築後90年近く経ったものもあります。
もっとも特徴的なことは、初等部から大学部までの代々の在校生自身が、このキャンパスは、室内も庭園も自分たちの学びの場、生活の場として責任をもって毎日掃除・管理をしてきたことです。自分たちで教室や食堂、お手洗い等々、すべての場所の掃除をしています。

・初等部(小学校)の子どもたちは、都内ではめずらしい温かみのある木造校舎を、毎日教師と共に屋内外の掃除をしています。

・中等科・高等科では、生徒自身が責任を持ち、高等科3年生を中心とした「委員会」の呼びかけの下、全員が

室内も外回りも全員が関わり、分担して清掃・管理をしてきています。
・最高学部(大学部)では、樹木・植物の調査研究も含めて、キャンパス全体の庭園の手入れや管理に携わっています。

生徒・学生の手に負えない大掛かりなことは学園が業者に依頼していますが、日常的なことは、できるだけ自分たちのことは自分たちですることを重んじてきています。

中等科以上では清掃にとどまらず、室内で使用する家具類「机、椅子、ベンチ、すのこ」なども生徒が手作りにし、長年使えるよう修繕も含めて管理をしてきました。
サイドテーブル、花を生ける陶器の壺、花台、衝立、クッションやラグ、テーブルセンターなども、長年の間に生徒・学生が美術の学びの中で、建物の雰囲気に合うようにと整えてきました。食事をそろって食堂で頂く日々の食事時間のためや、様々な行事の折に使えるようになど、これらの建物での生活が豊かになるようにと、その時々の生徒たちが考えて整えてきました。

このように、自分たちの生活を自分たちで創りだすという考えの下で、この建物とキャンパスが代々活用されてきています。生徒たちは、四季の自然と美しいデザインの校舎に触れながら、よいものを長く大事に使うことと、新しいことを取り入れていくことの両面を日々学んでいます。

■選定に際して 自由学園学園長 高橋和也

この度の選定により、南沢キャンパスの価値を多くの方に認めていただけることになり光栄に思います。
自由学園では、これらの建物やキャンパスを活かして、子どもたちがどのような学びをするのかが最も大事なことであると考え、時代と共に発展してきました。

自由学園は来年2021年に創立100周年を迎えますが、将来新しい社会を創っていく子どもたちにとってよりよい学びができるよう、現代社会に必要な視点も持てるよう、新しい学びのあり方も研究し推進中です。
そのために、校舎の外観を重んじながらも、室内は教育内容に沿ったものに改修していくことも検討しております。
その文化的な価値と環境を大切にしつつ、自由学園はこれからも子どもたちのためのよりよい教育を中心に据えて進んでいきたいと考えています。


■自由学園南沢キャンパスの建物や自然などは、自由学園公式インスタグラムでもご紹介しています。
@jiyu_gakuen

https://www.instagram.com/jiyu_gakuen/
#自由学園建物図鑑

東京都選定歴史的建造物
このたびDOCOMOMO Japanに選定された建築物の中で、下記5棟の建物は東京都歴史的建造物にも選定されています。
自由学園女子部食堂 1934年築 1999年都選定
自由学園初等部食堂 1931年築 2002年都選定
自由学園女子部体操館 1934年築 2002年選定
自由学園女子部講堂 1934年築 2002年選定
自由学園男子部体育館 1936年築 2002年選定

東京都歴史的建造物一覧 東京都都市整備局HP

https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/kenchiku/keikan/list_rekisi.htm

男子部(中等科・高等科)体育館

■学校法人自由学園沿革

WEBサイト https://www.jiyu.ac.jp

1921年に日本で最初の女性新聞記者、羽仁もと子と、その夫でジャーナリストの羽仁吉一によって創立された。来年2021年に創立100周年を迎える。
創立100周年記念サイト https://www.jiyu.ac.jp/100th/

設置校:幼児生活団幼稚園 初等部(小学校) 男子部・女子部(中等科・高等科)最高学部(大学部)
中等科以上は寮があり、国内各地、また海外から入学している。

■本プレスリリースの問い合わせ先

203-8521 東京都東久留米市学園町1-8-15
自由学園広報本部 
メール kh@jiyu.ac.jp

配信元企業:学校法人 自由学園

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