6月末から7月初旬にかけて、多くの企業から夏のボーナスが支給されました。今年は新型コロナウイルス感染症COVID-19)により経済にもさまざまな影響が及び、ボーナスの支給額も減少傾向にあるようです。

そんな今年の会社員の「夏のボーナス平均額」はいくらだったのでしょうか。大手企業と中小企業に分けてみていきましょう。そして、いまだ落ち着きを見せないコロナ禍において、ボーナスをどのように使う人が多いのでしょうか。さまざまなデータをもとに、2020年夏のボーナス事情を紐解いてみました。

大手企業の夏ボーナス平均は92万5,947円、前年比6%減

日本経済団体連合会6月17日に発表した「2020年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)」によると、大手企業の夏ボーナス平均は92万5,947円、前年比6%減でした。今年は新型コロナウイルス感染症COVID-19)の影響もあり、リーマンショック以来のマイナス幅であるようです。

しかも、これは恵まれた大手企業の平均金額。では、中小企業を含めた一般的な就業者のボーナス事情はどうでしょうか?

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中小企業のボーナス事情

みずほ総研が5月25日に発表した「2020年夏季ボーナス予測」によると、民間企業の1人あたりのボーナス支給額は34万6,480円と予測されており、前年比9.2%減となっています。多くの民間企業では、1か月あたりの所定内給与に支給月数をかけてボーナスの支給額を算出するため、みずほ総研の試算では、この所定内給与と支給月数の両方が減少するとのことです。一部大手支給額の約3分の1という大変厳しい数字となっています。

コロナショックによるボーナスカットは、中小企業はより深刻な状況ということがわかります。大幅なカット、企業によっては存続の危機に面し、ボーナスを出す余裕のないところが多いようです。また、コロナ禍の最前線に立っている医療従事者にボーナスについても支給されず、大量の辞職者が出たニュースも記憶に新しいところではないでしょうか。

感染症対策で6割以上が夏レジャー「予定なし」

夏といえば、旅行やレジャーなどさまざまなイベントが目白押し。しかし新型コロナウイルス感染症COVID-19)感染予防の観点から、今年はレジャーを控えようとする世帯が多いようです。

株式会社GVが2020年6月25日7月1日にかけて全国500世帯を対象に行った「2020年 夏支出調査」によると、今年の夏レジャーの予定が「ある」と答えたのは38%、「なし」は62%と、半分以上の世帯が夏の予定を立てていない現状がみられます。さらに、「なし」と答えた人のうち、「コロナ感染症対策のため」と回答したのは285人にのぼりました。
夏のレジャー予算も、およそ7割が「0円(予定なし含む)」と回答し、平均値は1万9,570円。2019年の夏レジャーの支出平均が約8万円であったのに鑑みると、かなり低迷していることが分かります

「今年は学校の夏休みが短いですし、補習もあるんです。田舎の祖父母に会いに行くのもリスクが高いような気がしますし、近所でちょっと外食する程度かな」(Mさん・42歳)

「コロナの影響で接客業の夫は収入が減り、ボーナスはなし。私のパート収入でなんとか家計を保っていますが、レジャーにお金をかける余裕はないですね」(Iさん・34歳)

感染予防だけではなく、自粛によって生じた経済的な打撃も夏のレジャー予定に大きな影響を与えているようです。また、子どものいる世帯では学習の遅れを夏休みでカバーすることを重視している人もいるようでした。

「夏ボーナス」を貯金にまわしたい人も約6割

ボーナスは貯金する、という人は例年多く見受けられますが、その流れは今年も変わらないようです。

共通ポイントサービス「Ponta」を運営する株式会社ロイヤリティ マーケティングが2020年5月に会員3,000名を対象に行った「第41回 Ponta消費意識調査」によると、「夏のボーナスの使い道」は7年連続で「貯金・預金」がトップ。「ボーナスの半分以上を貯金・預金したい」人は6割おり、またこの時点で「支給されない・分からない」と答えた人も5割にのぼりました。一方で、節約志向に関しては減少傾向となり、その理由として「節約にまわす余裕がないため」という回答が18.4%ありました。

「毎年たくさんもらっているわけではないのですが、今年はとくに少ないので貯金ですね。コロナの影響がいつまで続くかも分からないので」(Yさん・35歳)

緊急事態宣言が解除されてからも、新型コロナウイルス感染症COVID-19)の感染者は増え続けています。今後まだどうなるか分からないという不安の声も大きいようです。

ボーナス依存度の高い家計は今一度見直しを

クレジットで「ボーナス払い」を選ぶ、車や旅行など大きな支出はボーナス頼りという世帯もあることでしょう。

「大きな買い物は『ボーナス払い』にすることが多いので…ボーナスが減って、支払いはギリギリになりそうです」(Rさん・31歳)

クレジットでの買い物や住宅ローンをボーナス頼りにして家計をやりくりしていると、今回のような非常事態でボーナス額が減ってしまうことで、とたんに家計が破綻してしまうリスクを負うことになります。今回のことを機に、今一度ボーナスと使い道を見直し、リスクに耐えられるような家計を考えてみるのもいいかもしれませんね。

【参照】
日本経済団体連合会2020年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)
みずほ総研「2020年夏季ボーナス予測
株式会社GV「まねーぶ」調べ「2020年 夏支出調査
株式会社ロイヤリティ マーケティング「Pontaリサーチ」調べ「第41回 Ponta消費意識調査