映画並みのスケールと、海外ドラマばりの中毒性…そんなドラマ、観たくありませんか?

【写真を見る】人気シリーズ最新作のテーマは“医療AI”!近未来を予言する衝撃のストーリーとは…

WOWOWが贈るオリジナルドラマには、映画ファンや海外ドラマファンが、日本のテレビドラマに感じてきたであろう“物足りなさ”を払拭するような作品が目白押し。

この連載企画「レコメンW」では、映画ファンの代表として映画プラットフォーム「MOVIE WALKER PRESS」の編集部、海外ドラマファンの代表として雑誌「DVD&動画配信でーた」の編集部がタッグを組み、必見のWOWOWのオリジナルドラマをレコメンドしていきます。

「日本のドラマはあんまり…」と思っている映画ファンも、海外ドラマファンも、この連載を読めばWOWOWのオリジナルドラマの魅力に気づくこと間違いなし。第1回となる今回は、「MOVIE WALKER PRESS」編集部の三浦が、「連続ドラマW パンドラIV AI戦争」(全6話)の必見理由をご紹介します!

WOWOWのオリジナルドラマ「連続ドラマW」って?

WOWOW独自のドラマ製作プロジェクトとして2003年にスタートした長編ドラマ枠「ドラマW」。市川崑監督や大林宣彦監督ら日本映画界のレジェンドたちが手掛けた作品は大きな話題を呼び、2008年からは連続ドラマ枠「連続ドラマW」の製作も開始。濃密な人間ドラマから骨太な社会派ドラマ、映画スケールのアクションや本格ミステリーなど幅広いジャンルの作品を次々と生みだし、これまで「東京ドラマアウォード」や「日本民間放送連盟賞」など数多くの賞を受賞している。

■今回レコメンドするのは「連続ドラマW パンドラⅣ AI戦争」!

「連続ドラマW」の記念すべき第1作としてスタートした「パンドラ」を起点とした本シリーズは、革命的な発明によって“パンドラの箱”を開いた人々の運命を、シリーズごとにオムニバス形式で描いた社会派ドラマシリーズ。三上博史主演の第1作ではがんの特効薬、佐藤浩市主演の「連続ドラマW パンドラII 飢餓列島」では遺伝子組み換え食品、江口洋介主演の「連続ドラマW パンドラIII 革命前夜」では“自殺防止治療法”。そして堺雅人が主演を務めたスペシャル版「ドラマWスペシャル パンドラ〜永遠の命〜」ではクローン人間と、毎回実力派俳優を主演に迎え、挑戦的なテーマが描かれてきた。

シリーズ最新作「連続ドラマW パンドラIV AI戦争」で扱われるテーマは“医療AI”。向井理が演じる最先端の医療AI“ミカエル”の開発者である主人公の鈴木哲郎は、IT企業が経営する医療センターで患者の診断を受け持っていた。多くの患者を救いたいと願う鈴木と海外に後れを取らないために医療のAI化を早急に進めようとするIT企業代表の蒲生(渡部篤郎)に対し、“神の手”を持つ外科医の上野(原田泰造)や医師会会長の有薗(黒木瞳)は難色を示していた。そんななか、AIによって早急に手術が必要であると診断された患者が術後に急死。患者の遺族は医療センターを相手に医療過誤訴訟を提起する事態へと発展してしまう…。

現実世界でも様々な分野で急速に活用が進められているAI。その一方で、人の生命に関わる医療にAIがどこまで介入すべきか、個人情報保護などの法整備についてなど、いまなおあらゆる議論が交わされている。万が一医療過誤が起きたら責任は誰が負うことになるのか。また、AIは誤った判断を下すことがあるのか。

近い将来に起こりうるであろう問題を予見した本作の見どころとなる“3つのポイント”を、類似したテーマを持つ映画作品と絡めながらレコメンドしていこう。

■レコメンド1 緻密な考証に基づいた“AI医療”のリアル

今回レコメンドを担当する「MOVIE WALKER PRESS」編集部の三浦は、「普段あまりドラマを見ることはないですね」というが、本作については「6話イッキ見しました!スリリングな展開にハマりましたね」と熱っぽく話す。

「今年公開された入江悠監督の『AI崩壊』では、個人情報や健康状態を管理していたAIが突如暴走を始めて、大混乱に陥る様が描かれていました。同作と『連続ドラマW パンドラIV AI戦争』は、AIは人類がよりよく生きるためのパートナーなのか、それとも敵なのか、という共通のテーマがリアルで、とても引き込まれました」。

本作の劇中に登場するAI“ミカエル”は、あくまでも「診断」をする役割に徹し、まだ多くのデータを蓄積する発展途上の段階であるという点が、AI医療の現在地をリアルに描写している。開発者の鈴木ですらその全容を完全に掌握できておらず、登場人物のほとんどがAIに対して信頼と疑念の両方が入り混じった感情で向き合っているのだ。

「オーソドックスな医療ドラマだと思って観ていると、“ミカエル”のように、僕のような素人にはSFのように思える最新の医療技術が出てきて、最初は驚きました。しかし、解説が物語に無理なく組み込まれているので、最終話を観るころにはすっかりAIに詳しくなることが出来ました(笑)」。

■レコメンド2 信念を曲げない男たちの対立

このドラマでもうひとつの見どころなるのは、AIを推進する者たちと、一歩引いた姿勢を貫こうとする者たちとのぶつかり合いだ。

AIにミスは無いと信じる開発者の鈴木と、AIの診断で急かされることがなければ患者の異変を見落とすことはなかったと主張する外科医の上野の対立を主軸に、医療AIを導入して日本の医療を変えようとする蒲生の存在や、AIによって仕事を奪われるのではないかと危惧する医師たちの姿。さらには政治家の暗躍などがひしめきあい、医療ドラマ特有のピリピリした人間ドラマが展開することで、作品の密度がより一層高まっていく。

「先進の技術をめぐる医療現場の衝突を描くというのは、シリーズ化やドラマ化もされた映画『チーム・バチスタの栄光』と通じるところがありますね。『連続ドラマW パンドラIV AI戦争』は、AIを題材とした近未来SF的な面と同時に、医療ドラマとしても満足できる作りなんです。それに加えて、三浦貴大さんが演じる弁護士と、山本耕史さんが演じる新聞記者の2人が真相解明に当たろうとする姿は、サスペンス映画好きにはたまらないポイントです!」。

■レコメンド3 現実化しつつあるテクノロジーへの警鐘

そして、なによりも重要なことは、このドラマで描かれるAI診療の実現がすぐそこまで来ているということだ。劇中のように画像診断や疾病診断で用いられることはもちろん、今年初旬には世界で初めてAIを活用して開発された新薬の臨床試験が日本で開発されるなど、日進月歩で研究が進められている。

「劇中で『AIの診断はブラックボックスだ』という意見に対して、主人公が『医師の経験や感性も同じだ』と言い返すシーンが印象的でした。データに基づく完全なAIと経験則に基づく不完全な人間、どちらが正しいのか考えさせられました」。

「僕は、スティーヴン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演の『マイノリティ・リポート』が大好きなのですが、『完璧と思えたシステムにほころびが生じた時、それに向き合うことができるのは人間だけ』というテーマが共通しているなと感じました。『連続ドラマW パンドラIV AI戦争』では主人公がAIのシステムを漠然と過信していた状況から、疑問を持つことで真の理解へとつながっていきます。今後、AIなどより高度なシステムを扱っていくには人間自体が進歩しなければいけないでしょうから、僕らも技術に踊らされないように勉強していかなければなりませんね」。

シリーズ作として一貫したポリシーを貫きながらも、ひとつひとつの作品が異なる登場人物で異なる題材を描いているのが「パンドラ」シリーズの魅力でもある。

はたして人類は“AI”をはじめとした革命的な発明とどのように共存していくべきなのか。決して開けてはいけない“パンドラの箱”を開けてしまった男たちの姿は、これからの未来を生きる我々にヒントを与えてくれるはずだ。

「連続ドラマW パンドラIV AI戦争」は7月23日(木・祝)23時50分よりWOWOWプライムにて全6話を一挙放送。シリーズ過去作品の「連続ドラマW パンドラII 飢餓列島」(2020年8月31日まで配信)、「連続ドラマW パンドラIII 革命前夜」(2020年9月30日まで配信)、「ドラマWスペシャル パンドラ〜永遠の命〜」(2020年10月31日まで配信)もWOWOWメンバーズオンデマンドにて好評配信中だ。

構成・文/久保田 和馬

「連続ドラマW パンドラIV AI戦争」の“3つのポイント”を紹介!/[c]wowow