故人の冥福を祈るために行われる納骨。一般的に四十九日や一周忌などの法要の際に行われることが多い中、「勝手にお墓を開けて納骨してもいいのか」という相談が弁護士ドットコムに寄せられた。

相談者は、亡くなった兄弟の葬儀をあげたものの、生活に困窮。納骨式のお布施や会食費(御膳料)など、納骨にかかる費用が用意できない状態だという。

そこで、墓が置かれている寺や管理費用を支払っている親族に何も知らせず、自分で納骨することを考え始めたようだ。

もし、勝手に墓に納骨した場合、何か責任を問われないのだろうか。僧籍を持つ円城得寿弁護士に聞いた。

「遺骨遺棄罪に問われる可能性が高い」

ーー勝手に墓に納骨する行為は、何らかの犯罪に当たりますか

「刑法には、『遺骨遺棄罪』(190条、3年以下の懲役)が定められています。

ここでいう『遺棄』とは、習俗上の埋葬等とは認められない方法で放棄することであると解されています。そして、遺骨を無断で勝手に墓に入れる行為は、社会生活において、習慣的にも風習としても、通常は行われない方法による埋葬と言えるので、習俗上の埋葬とは認められません。

よって、遺骨を勝手に墓に入れる行為は、遺骨遺棄罪に問われる可能性が高いといえます」

――刑法以外ではいかがでしょうか

「墓地埋葬法で、埋葬には市町村長の許可が必要と定めており(5条1項)、違反者に対する罰則(21条1号、1000円以下の罰金又は拘留若しくは科料)もあります。

通常、遺骨を埋葬する場合、市町村長が発行する埋葬許可証を受ける必要があり、これを受けずに埋葬した場合には、墓地埋葬法違反に問われます」

賠償責任に加え、遺骨の収去を求められることも

――民事上の責任はどうなるでしょうか

「一般に、墓地管理者は、墓地管理規則を定めており、『墓地内においては、管理者が認可した遺骨以外のものを収納することはできない』と定めている場合が多いと思われます。

したがって、全くの部外者が、無許可で勝手に遺骨を埋葬する行為は、墓地管理規則で保護されるべき法益に対する侵害と考えられ、不法行為に基づく損害賠償責任(民法709条)を追及されることになります。

また、刑法、墓地埋葬法や墓地管理規則で保護されるべき法益に反して遺骨を遺棄する行為は、墓地管理者の所有する墓地の所有権に対する侵害行為といえますので、所有権に基づく妨害排除請求として、遺棄した遺骨の収去を求められます」

――今回の相談では、親族が墓地の管理費用等を支払っていたようですが、相談者本人が支払っていた場合はどうでしょうか

「この場合、上記の不法行為責任に加えて、墓地管理規定違反による債務不履行責任を問われる可能性が高いと考えられます。

墓地管理規則では、『利用者がその規則で定める条項に違反した場合には、墓地使用の許可を取り消す』と定められている場合が多いようです。

したがって、墓地内において、管理者が認可した遺骨以外のものを納骨した場合、墓地管理規則違反の責任を問われて、墓地の使用許可自体を取り消され、墓石等の収去を請求されるおそれがあります。

なお、墓地管理者は、墓地や遺骨の管理台帳を備えている場合が多く、また、出入り口に防犯ビデオを設置している場合もあります」

ーー勝手に墓に納骨すること自体、容易ではなさそうですね

低額で納骨することができる方法も

ーー納骨費用が用意できない場合、どうすればいいのでしょうか

「安易な遺骨の遺棄や放棄は、犯罪に該当する可能性が高いです。

最近では、低額な永代供養や合法的散骨サービスも存在しているようですので、探して相談してみるとよいでしょう」

ーー故人が安らげるような方法で納骨してほしいですね  

【取材協力弁護士
円城 得寿(えんじょう・とくじゅ)弁護士
2012年12月弁護士登録、滋賀弁護士会所属。
僧籍を持つ弁護士として、「あなたを守るお坊さん弁護士」をキャッチフレーズに、民事・家事・刑事など幅広い分野で多くの事件を扱ってきた。
全国の寺院から法律トラブルの相談を受けており(https://www.enjoh-law.com/support/temple.html)、事例式寺院墓地トラブル解決の手引き(新日本法規)の執筆者一覧にも名前を連ねている。
現在も、住職の実兄を手伝い、寺務に携わる。
事務所名:円城法律事務所
事務所URLhttp://www.enjoh-law.com/index.html

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