新型コロナで経済活動が抑えられたことにより、世界の大気汚染レベルが低下している。大気がきれいになることで、太陽光発電量が増加すると考えられるが、MITの研究チームがこれを実証したようだ。

研究チームは綿密な分析の結果、世界で最もスモッグの多い都市の1つデリーで太陽光発電による出力が8%以上増加したことを発見。これは、大気汚染レベルが太陽光発電におよぼす影響を定量化する初の試みだという。

パンデミックにより分析の条件が整う

太陽光発電量の増減の要因としては、天候やソーラーパネルの特性などさまざまな条件を考慮する必要があり、通常であればこれらから大気汚染レベルを切り離して測定することがむつかしい。

研究チームは、数年前からデリーにて調査を実施してきており、太陽光発電量と日射量のデータを持ち合わせていた。またこれまでの調査から、ソーラーパネルのタイプごとに大気汚染レベルによる影響が異なることを把握していた。

そして今回、パンデミックによって規格外に大気汚染レベルが低下し、たまたま分析の条件が整ったようだ。

デリーの太陽光発電総出力が3月下旬に8.3%増加

研究チームは、デリーのアメリカ大使館が収集する大気汚染データと保有するデータを組み合わせ、近年の大気汚染によりデリーの太陽光発電施設の総出力が約10%減少したことを確認。これをベースラインとしている。

新型コロナによる影響を測定するために、都市封鎖後のデータと過去3年間のデータとを比較したところ、大気汚染レベルは約50%低下しており、結果として太陽光発電の総出力は3月下旬に8.3%、4月に5.9%増加していたとのこと。

同分析結果は今回のみならず、太陽光発電への大気汚染の影響をモデル化するのに役立つ可能性がある。

参照元:Covid-19 shutdown led to increased solar power output/ MIT News