【識者コラム】CLが唯一のビッグイベント、勝ち残るチームから候補者をリストアップ

フランスフットボール」誌が主催する2020年のバロンドールは、中止が発表されている。

 1956年の第1回受賞者はイングランドのスタンレー・マシューズだった。以降、昨年最多6回目の受賞となったリオネル・メッシまで毎年続けられてきた伝統ある賞である。ところが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で欧州選手権(EURO)、コパ・アメリカが相次いで開催を見送り、ビッグイベントがUEFAチャンピオンズリーグ(CL)くらいになってしまった。

「今年のような特異な1年を通常と同じに扱うことはできないし、してはならない」という中止の理由は、まあそうだろうなとは思う。だが、そうなると仮に選ぶとしたら誰になるのだろうと考えてみたくなるものである。

 今年のCLは8月から再開の予定だ。残っていたラウンド16第2戦の後、準々決勝からはポルトガルでの集中開催となる。当然、ホーム&アウェーではなく一発勝負。選ぶなら、この大会の優勝チームからというのが妥当だろう。

 ただ、リヨンアタランタ、RBライプツィヒチェルシーが優勝した場合は、相応しい選手がいるかどうかは微妙な感じになってきそうだ。年間MVPなので、CLの活躍だけというわけにもいかない。ティモ・ヴェルナー(ライプツィヒ)なら可能性があったが、チェルシーへ移籍してしまったのでCLではプレーしない。それ以外のチームで候補者を絞ってみる。

レアル・マドリードカリム・ベンゼマセルヒオ・ラモス
マンチェスター・シティケビンデ・ブライネラヒーム・スターリングセルヒオ・アグエロ
ユベントスクリスティアーノ・ロナウド
アトレティコ・マドリード=ヤン・オブラク
ナポリ=カリドゥ・クリバリ
バルセロナリオネル・メッシ
バイエルン・ミュンヘンロベルト・レバンドフスキ
パリ・サンジェルマンキリアン・ムバッペネイマール

 これにプレミアリーグ優勝のリバプールからモハメド・サラーサディオ・マネロベルト・フィルミーノを加えると、15人の候補者リストができ上がる。

 ただ、国内リーグ優勝だけのリバプールから選出するのは無理があるだろう。CLを制した昨年は、フィルジル・ファン・ダイクが受賞すべきだったと思う。

CLの組み合わせはPSG恵まれている

 オブラク、クリバリは、たとえチームがCLで優勝しても、バロンドールという感じではないかもしれない。ここからトップ5に絞り込むと、ベンゼマデ・ブライネメッシレバンドフスキネイマールだろうか。DFの受賞は過去の例から見ても難しいので、ラモスは外した。

 CLの組み合わせから言うと、PSGがけっこう恵まれている。リーグ・アンが打ち切りになっているので、試合勘のなさというハンデはありそうだが、優勝すれば初というインパクトもある。

 というわけで、幻のバロンドール2020の受賞者はネイマールと予想する。幻だけどね……。(西部謙司 / Kenji Nishibe)

2020年のバロンドールは新型コロナウイルスの影響で中止に【写真:Getty Images】