角界の懲りない面々とはこのことか。

 大相撲7月場所(東京・両国国技館)に出場していた東前頭5枚目の阿炎(あび、26歳)が、7日目の25日から「強制休場」させられた。場所前と場所中、他の部屋の幕下力士とともに「夜の店(キャバクラ)」に出入りしていたことが発覚。師匠の錣(しころ)山親方(元関脇・寺尾)が、今場所中の残りの出場を禁じた。

 阿炎は25日に37度6分、幕下力士は37度台の発熱があり、新型コロナウイルスの抗原検査を2度受けた結果、いずれも陰性だった。それでも後日に発症するケースがあるだけに「隔離」されることになった。幕下力士は初日から休場している。

 日本相撲協会は場所前に「基本的に外出禁止。不要不急の外出をしない」などのルールを定めたガイドラインを各部屋に配布。感染対策へ一丸で取り組んでいただけに、芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は「情状酌量の余地もない。さんざん何回もやらかして、世の中がどんな状況か考えてほしい。子どもじゃないんだから」と怒りが収まらない。

 実際、阿炎は「何回もやらかしている」お騒がせ男だ。昨年11月には、十両力士の手足、口をテープでしばり、身動きを取れなくした様子を投稿。動画が拡散され、暴力を連想させるとネット上で炎上した。以来、相撲界の個人SNSは全面使用禁止に。力士からの情報発信は好評だったが、ファンとのSNS交流をシャットアウトさせた張本人でもある。

 その一件を発端にSNSのリスクを学ぼうと今年2月、全協会員を対象にしたコンプライアンス研修が行われた。ある意味、阿炎のために設けられたような研修会だったにもかかわらず、終了後に飛び出した言葉は「爆睡してた。寝てたし、何も聞いてねーし」。再び世間から猛バッシングを浴び、協会から度重なる厳重注意を受けた。


 しかし人の命が関わる今回は、個人の悪フザケでは済まない。5月には、三段目の勝武士(しょうぶし)さんが新型コロナウイルス性肺炎による多臓器不全のため、28歳の若さで亡くなった。同じ悲劇を繰り返さないよう、多くの人が細心の注意を払い、我慢をして迎えた本場所だっただけに、阿炎には厳罰を求める声が多い。

 加えて、親方衆の不適切行動まで表面化した。場所前、中川親方(元前頭・旭里)による部屋の弟子たちへの暴力やパワハラ行為が日常的に繰り返されていたことが判明。田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)は「不要な外出禁止」期間に、飲食店で泥酔する写真がSNS上にアップされてしまった。

 いくら注意しても、SNS研修をしようが、ガイドラインを配ろうが、後を絶たない不祥事。まして部屋で指導にあたる親方自らもトラブル…。新大関・朝乃山の話題もかすんでしまうドタバタ続きに、相撲協会は頭を抱えている。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

角界の問題児・阿炎 ガイドライン無視し、キャバクラ通いで強制休場「情状酌量の余地もない。子どもじゃないんだから…」