女性の密かな悩みである尿もれ。若い女性でも妊娠・出産を機に“尿もれ”を経験する人は多いですよね。

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けれど産後に赤ちゃんのお世話をするだけで、尿もれのことは特に何もしなくても、気がついたときは尿もれしなくなっていたという人も多いかもしれません。

尿もれ解消トレーニングを伝授する整体師の山田典子さんによると、「それは自然に治ったのではなく、赤ちゃんの世話をする中で、自然と骨盤底筋も鍛えられ、尿もれを解消したのです。決して自然治癒したというわけではありません」と話します。

今回は、山田さんの著書『しゃがむだけ! 尿もれ解消法』から、尿もれ解消&予防法をご紹介していきます。

尿もれパッド依存症になっていませんか⁉

そのままにしているだけでは治らないのが尿もれ。

尿もれの対処法には尿もれパッドもありますが、「尿もれパッドはその場しのぎにすぎません」と山田さん。

水道の水漏れはタオルを巻くだけでは解決にならず、パッキンを取り替えなければ根本的な解決にならないのと同じように、尿もれもパッキン=骨盤底筋を鍛えることが欠かせないのです。

なぜ尿もれするのか?

なぜ尿もれで悩む人が増えているのでしょうか。

一つには、使われない筋肉は衰えるということ。

昭和一桁世代は、身体を使って家事をするという自然と骨盤底筋が鍛えられる生活でした。
ところが昭和半ばごろから、普通に生活していると骨盤底筋が衰えてしまう変化が訪れました。
掃除、炊事、洗濯、どの家事でも劇的に筋肉を使わない生活になってきています。
いつもあまり意識されることのない骨盤底筋はもっと忘れられ、使われず、使われていないことも意識されないということが起きて、当然な状態であるといえるでしょう。

出典(『しゃがむだけ! 尿もれ解消法』)

ウォーキングだけでは身体のいろいろな筋肉を使っているとは言い難く、正座やしゃがむ、といった動作で足腰を鍛えることも必要なのです。

もうひとつ、悪姿勢が引き金になっているケースもあります。

背中の丸まった猫背。
猫背になると、頭が前に出て、背中が丸くなり、骨盤が後ろに傾きます。
この骨盤後傾ではお尻から太もも裏が硬くなるので、内ももを締めにくくなります。
それが原因となって、骨盤底筋がしっかり縮まないという現象が起きています。
つまり骨盤底筋の機能が低下し、尿もれが起こりやすくなっていくのです。

出典(『しゃがむだけ! 尿もれ解消法』)

ソファーや電車でのラクな姿勢は、積もり積もって尿もれにつながっていく可能性があります。

1日10回しゃがむだけ!尿もれ解消法

しゃがむだけ!『尿もれ解消法』

自身も尿もれを克服した経験のある山田さんが提案しているのが、しゃがむ動作を取り入れた『尿もれ解消法』。

1日10回2週間、ただしゃがむだけ!

骨盤底筋を鍛える方法はいろいろありますが、しゃがむだけなら、難しくないので、いつでも忘れずに行うことができます。

ベストなしゃがみ方とそのポイント

  1. 足を肩幅に開いて立ち、(身体の安定のために) 手を前に出す(前へならえの感じ)
  2. おしりがかかとにつくまで、一気にしゃがみこむ
  3. 一息おいて立ちあがる

※注意点1しゃがむときや立ちあがるときにふらつく場合は、壁に手をつく、いすの背もたれをつかうなどして、身体をささえてください。

※注意点2 足首の硬い方は、おしりがかかとにつくまでしゃがみこむことがむずかしい場合が多いです。また、しゃがみこんだ時点で後ろに引っくり返る場合もあります。はじめてこのエクササイズに挑戦するときには、注意点1を守りつつ、ゆっくりやってみることをおすすめします。

出典(『しゃがむだけ! 尿もれ解消法』)

毎日の生活の中で、とにかくしゃがむエクササイズをやってみましょう。まとめて10回でもいいですし、気がついたらしゃがんでみる、でもよいそうです。

たとえば、洗濯物を干すとき、何か下の方にある物をとるとき、充電などプラグに電源を差しこむとき…。とにかくしゃがむという動作を意識して行ってみましょう。

尿もれ解消には “間違ったおしっこ”をしない!

このように女性に一番多い腹圧性尿失禁は、骨盤底筋の衰えが原因となっています。

妊娠後期や出産後には骨盤底筋に負担がかかって、尿もれを誘発するのですが、それ以外にも便秘でいきむことや肥満も骨盤底筋の負担となります。

また見逃せないのが、『間違ったおしっこ』です。

尿意がなくてもおしっこをしていませんでしたか?
『間違ったおしっこ』はお腹に力を入れておしっこを出す、そして、おしっこをしたいという感覚がないのにおしっこをしぼり出す…というおしっこです。
一方、『正しいおしっこ』であれば、リラックスできますし、気持ちいいものなんです。
自然な形で出る正しいおしっこと膀胱に圧力をかけて無理に押し出す間違ったおしっこは、身体への負担が全く違います。
無理な力の重なりが骨盤底筋、尿道、膀胱に結果的に負担をかけ、尿もれの原因となっていきます。出典(『しゃがむだけ! 尿もれ解消法』)

お腹に力を入れず、リラックスしながらするのが正しいおしっこのカギとなります。

骨盤底筋への負担を取り除きながら、鍛えていくことが尿もれ解消の近道。日常的にできることは意外とたくさんありますね。

そして「しゃがむトレーニング」は骨盤底筋だけではなく、背中がすっきりとして、姿勢が美しくなったり、ぽっこりお腹を解消するというメリットもあります。

まさに一石二鳥の女性には欠かせないエクササイズです。ぜひ取り入れてみましょう!

【参考書籍 著者】山田 典子
東京都に生まれる。東京学芸大学教育学部を卒業。整体師。「スパイラルセラピー芦屋」を主宰。
小学校5年生のときに指圧を知って以来、50年ほどかけて人体の研究をする。自分自身、50代で腹圧性尿失禁の兆候に悩まされるが本書に書いた方法によって2週間で治す。
以後、尿もれ解消法を伝えていくことをライフワークにしている。スパイラルセラピー(身体ほぐし)のセラピストとして兵庫県芦屋と東京で施術をおこなっている。